お兄様は規格外、そして私は想定外
馬車に乗り込むと「お兄様、お話したいことがあります」私はそう切り出した。
「うん、ディが鑑定の後、顔色が悪くなったからね。何があったの?」
「はい。ですが、考えをまとめる時間をくださいませ。夕食の後、お時間頂けますか?」
「分かったよ、大丈夫、何があっても、私はディの味方だ。それだけは忘れないでね」
「はい、はい、ありがとうございます。お兄様」
そう言って涙ぐんでしまった私の手を、お兄様は優しく包んでくれた。
すると、ブワっと、頭に文字が浮かんで来た私は、処理しきれずに、意識を手放した。
目が覚めると自分のベットの上だった。
どのくらい経ったのだろう。
外も暗いようだし、まずは、このまま状況を整理しよう。
そう、鑑定式で、水晶に文字が浮かんだのだ。
〝風属性〞それは分かった。
問題はその後ろに書かれていた模様と言われたモノ。
それは
懐かしい、慣れ親しんだ日本語だった。
日本語で
〝浄化〞
〝鑑定〞
〝魔王の銃爪〞
と書いてあったのだ。
浄化と鑑定はいい。
というよりも、ものすごくありがたい。
浄化出来ると言うことは、魔物の傷を浄化出来るという事ではないか。
正直、めっちゃ助かる。
そして、鑑定も、わからない事があれば鑑定すれば良いじゃないか。
マジで救世主だ。
しかし、これが私がさっき意識を失った元凶なのだ。
お兄様が泣きそうな私を励まそうと手を握ってくれた時、お兄様の魔力を感じてしまったら、ブワっと、情報が頭に流れ込んできた。
多分、あれが鑑定の結果で、お兄様の情報なんだろう。
勝手にお兄様を鑑定してしまった。
それこそ、自覚しないことまで。
うん、どうしよう。
お兄様、規格外。
魔法の才能がぶっ壊れてた。
風属性は間違いない。
その下に使える魔法が書いてあって、〝風魔法〞があった。
うん。これは良い。当然だ。
しかし、その後に、グレーの文字で
〝竜巻〞〝嵐〞〝ホワイトアウト〞
が並んでいたのだ。
これは、まだ解放されていないが、レベルアップしたら使えるって事なんじゃないか?
竜巻は、まぁ、まだわかる。
魔力を込めて風を回せば、なんとかなりそうだ。
嵐、って…
広範囲で、天気に影響でちゃうの?
ホワイトアウト、って…
風属性だけじゃなくて、氷属性混ざってません?
私達の上の四大公爵家の属性ですよ、お兄様?
そして、そのもっと下に、グレーの文字で書いてあったのが
〝魔王候補〞
これは、もう、ひどくない?
物語の強制力なの?
なにがなんでもお兄様を魔王にして、滅ぼしたいの?
絶対、絶対、阻止してやる。
ってか、お兄様に触れたら勝手に鑑定して倒れたのよ。
これは、早急に対策しないと、人に触れてしまう度、倒れる。
アンに着替えさせてもらおうとしたら、倒れるじゃん。
マジでヤバい。
そして、私の最大の問題が
〝魔王の銃爪〞
なんじゃこれは。
マジでこれがなんなのか知りたい。
お兄様の〝魔王候補〞と関係あるのかしら?
あ、自分を鑑定してみれば良いのかしら?
お兄様に触れて、魔力を感じたら鑑定出来ちゃったんだから
私も、自分の魔力を感じて…感じて…感じて?
いや、焦るな、そうよ、水晶に触った時のあれよ、アレ。
………ん?これか?
よし、鑑定!!
私は再び、意識を失った。
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