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8 脳内お花畑軍団
俺と妹があたふたしている間にも(ミニコントとは言わないでくれ)、断罪は進んでいく。
令嬢さんの顔色が悪くなり、今にも倒れそうだ。
そして、王太子達は勝ち誇った様に偉そうにしている。
何でこんな無茶苦茶やっているのに、周りは誰も止めないんだ。
これが王族パワー?
それとも貴族社会の「常識」なのか?
ただ、わかっているのは、ここで公爵令嬢を破滅させてはいけないということ。
公爵令嬢をこんな形で破滅させたら、ヒロインが破滅するときは、もっと悲惨なことになる。
「あの時、あなたがやったことよ。」
蔑む目で見られる未来が容易に想像できる。
「お兄ちゃん、どうしよう?
時間がないよ・・・」
妹もついに焦った声になった。
しかし
現実問題、今からヒロインが王太子を止めようとしても無駄だろう。
さっき試しに「えっと」と声をかけただけでマシンガンの様に言葉が返ってきた。
「大丈夫だから任せて。」
「オリビアの優しさは素晴らしいと思うけれど、今回は我慢してくれ。」
「君の笑顔は俺たちが守るよ。」
「後で祝杯をあげようね!」
ダメだ。
この脳内お花畑軍団は絶対に止まらない。