08:五年後
「にゃふ、そんなこともあったにゃ〜」
昔話を語り終えると、キャシー姫様が感慨深そうに頷きます。
すっかり成長され、十五歳となったキャシー姫様。たったの五年で彼女はさらに美しくなったな、と僕は思ったのです。
猫らしい愛嬌と、人間の女性らしいふくよかな体。
そのどちらも持ち合わせるキャシー姫様は、最高に素敵な方になったんです。
「あの時、まさか本当に夫婦になるだなんて思っていなかったです」
「キャシーなんて愛してるの意味も分かってなかったんだから、お互い様なのにゃ」
あれから色々なことがあったのです。
話せば長くなりますが、とにかくキャシー姫様は大冒険をして、窮地にあった世界を救い、英雄になったんです。そして晴れてキャシー姫様はこの獣人王国へ帰って来たのです。
「僕と結婚するって、本気です?」
「もっちろん。キャシー嘘は吐かないのにゃ!」
……キャシー姫様もすっかり乙女になられたということですね。
僕が本当に姫様に釣り合う器なのかと言えば、それは恐らく違うとは思うのです。でも、もしもキャシー姫様が許してくださるなら僕は。
「姫様」
「何にゃ?」
「キャシーと、そう呼び捨てで呼んでもいいですか?」
僕の問いかけに、彼女は「にゃふっ」と笑い、そして――。
「もちろんなのにゃ!」
姫様――キャシーの、あの日の夕陽みたいな真っ赤な笑顔。
僕にはそれが眩しくて、心からキャシーのことを愛おしく思ったのです。
そうして帰国早々、僕たちは結婚式を挙げ、夫婦となったのでした。
〜完〜
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