表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/92

その15

遅くなって申し訳ありません。

まだ調子が戻らないため、またしばらく不定期投稿が続きますが、よろしくお願いします。

この間、小説が出来次第すぐ投稿するので、決まった時間に投稿はしません。


 ん? どうして、白い天井が見えるんだろう?


「無理してはならんと言うたのを忘れたのか、れいちゃん」


 どうして、この人がここに……? とぼんやりとしながらも考えてみる。


「お前は繊細だ、すぐに発作を起こすのにも関わらずお人好しで何もかも抱え込んで助けようとする。……ふぅ、晴火に任したつもりだったが、今回ばかりは異常なくらいのストレス数値を叩き出していたから様子を見に来たんじゃよ」


 頭が痛くてぼんやりとして、視覚では誰だかわからないけど、多分朱基さん。心配かけて申し訳ないなぁ。


「……ごめんなさい、いきなりのことで回避が出来なかったんです……」


 まだ視界が回復しない。

 ん? いつもなら一番近くにいるもふもふ感がない……?


「コハク、……コハクは?!」


 なんでだろう? コハクがいないことが不安でしょうがない。

 慌てて、視界が見えないまま、起き上がろうとしてバランスを崩して、誰かに支えられる。他に大人の気配はしないから、多分朱基さんの手だ。


「お前の代わりに調査とやらの同行をしとるよ。あまり無理をするな、お前は国民を守る立場ではあるがまだ大人の保護下にあるんだぞ? ここは大人しく休んでおきなさい。調査には新たちが同行してるから、安心しなさい」


 いきなり起き上がったので、ピキッとしたような痛みがこめかみに走り、布団に頭をうずくませた。


「……かつてないほどの数値を叩き出していたからのぅ、心配になって様子を見にきて正解だった。コハクが晴火でさえも、お前が気絶している間お前に触れさせることすらも許さなかった状況から見て、トラウマの根本的な何かとストレスになった状況と重なったんじゃろう。酷な事を聞くが、何か思い出したことはあったか?」


 その問いに首を横に振る。


「気絶する前に何かを言っていたことは覚えているのですが、言葉にならない何かを発していたので、覚えてないんです……。思い出そうとすると、くっ……、こっ、このように頭痛が走るんです……」


 結構この発作は体に負担を与えたらしい、少しでも思い出そうとすると痛みが走る。


「るりさん、じゃったな? 行き過ぎたこと言うことは自覚しておるが、あの娘と関わるのはお前の体に負担がかかる。これ以降関わらない方が良いのではないか?」


 こうなってしまったからには説得力はないが、彼女に対しては嫌悪感はなく、関わらないと言う選択肢はできればとりたくない。


「それは違います。今回はるりさんが原因ではなく、別の女子が関係していて……」


「それは晴火からも聞いた。しかし、保健室に訪ねてきた理由は彼女にある。彼女が悪くなくても、その発端になる可能性があるなら、儂はそれも潰しておきたいのじゃ」


 ぐっ……! そう言われると、そうだけれども。


「今回ばかりは、素直にそうすることが出来ません。……初めて、嫌悪感の抱かない異性と出会えたのです。初めて、仲良くなりたいと思える相手なのです」


「じゃがな……」


「……わかりました。るりさんとの関わりは最低限にします。でも、完全に関わりを途絶えることはしません。それをするときは、彼女が原因で発作を起こしたときです、それでいいですね?」


 妥協案としてこれくらいにしてほしい……。

 そう考えていると、朱基さんはため息をついてやれやれと言った顔をした。

 それからは、何か言うこともなく、晴火先生が返ってくるまで柘榴の相手をただするだけだった。



「調査してきました」


 眠そうな顔をして、目をこすりつつ、手に持つ紙に目を移するりさん。


「零さんが言った時刻前に土や植物を鑑定しましたが、何もおかしなところはありませんでした」


 なるほど。

 持ち歩いているメモ帳に、るりさんが言ったことを忘れないようにメモをする。


「時刻内になるとマークされていた木々が活性化されていることがわかりました。……ですが、それ以上のことはわからなかったのです。何が弱点なのか、何の手がかりも見つかりませんでした。お役に立てず申し訳ありません……」


 何の手がかりもない……?


「朱基さん」


 かくなる上は、僕のスキルを全面に使っていこうと思う。


「なんじゃ、れいちゃんの頼みならなんだって聞いてあげよう」


 朱基さんの名前を呼んだ途端、嘘でしょ……となぜか動揺しているるりさんの態度は不思議でたまらないが、それはおいといて。


「……今の段階では、原因を見つけるのは不可能でしょう? 出来れば使いたくなかった手ですが、これ以上増えないために基となるエネルギーを一定にするため、成長するのにエネルギーが多く必要な植物をあの森で育てましょう」


「まあ、それが妥当じゃろうな。……れいちゃんは儂に植える植物を選んで欲しい、と言うことじゃな?」


 その言葉に僕は頷けば、恐る恐ると言ったようにるりさんが手を挙げた。「ん?」と声をかければ、


「その方法だといつかエネルギーが足りなくなって、また違う問題が生じるんじゃないかと思うんですけど……」


 ごもっともな意見が返ってきた。けど、僕はまずゾンビ化を何とかしたいと思ってる。だから、今回はこの作戦でいくと決めた。


「それについてはここのギルド長に話を通しておくし、対策もあらかじめ考える。その上で、この作戦でこれ以上悪化しないようにする、それだけだよ」


 完璧に解決することは、今回ばかりは不可能だと思う。それは、朱基さんも同様なようで、僕の意見を尊重してくれた。


「……るりさん、じゃったかな? れいちゃんが気絶している間、ことの顛末を資料で見させてもらったが、この方法が最善策じゃと思うぞ。

ゾンビ化に関わったエネルギー量は相当膨大な量じゃ。儂も伊達に長生きをしていない、今までの知識を活かして吸収と放出のバランスが均等になるような植物を厳選し、植える本数も考えて用意する。

恐らくその植物は有栖家一動植物に愛されるれいちゃんが育てるんじゃから、悪いようにはならん。もしなんかあれば、儂のギルドからも手助けをするから安心せい」


 ふふっ、僕の植物育成能力の高さと動物に好かれやすい体質は、有栖家では誰にも負けないことは自分でも自信を持って言えることだ。

 植物を植えることで、極端に悪い方向にはいかないと思う。


「どう転がるかはわからないけど、多分ね、悪いようにはならないような気がするんだ。……心配なら、作業する時一緒に来てもいいよ?」


 そう提案してから、僕は我にかえる。

 ……そう言えば、るりさんと関わるのは最低限にすると約束したんだっけ? とちらっと朱基さんに視線を向ければ、やれやれ……と顔が語っていたが、特に反対ではなさそうだった。


「……来るかどうかは好きにせい、れいちゃんの邪魔さえしなければ儂は誰がいようと構わん。れいちゃんに害を加えた際には……、わかっているじゃろうな?」


 普通の少女にかけるような威圧じゃないよ……、朱基さん……。

 度々倒れたり、パニックを起こしたりするから、多少の過保護はしょうがないとおもうけど、さすがにそれはやりすぎだと思う……。まあ、るりさんが異性だと言うのも警戒している点だとは思うけど。


「……邪魔しません、害も加えません」


 威圧を堂々と受け入れる彼女に、なぜだか少しホッとした。




「まあ、ここら辺を植えるのが妥当じゃろうな」


 るりさんを帰した後、朱基さんと一緒に図鑑を

眺めながら、候補に挙げられた植物のどれを植えるか決めていた。


「んー、僕と相性が良いのは多分、精霊花ですかね。これで良いとは思うんですけど、朱基さんはどう思います?」


「ふむ。相性が良いなら、精霊花を植えても良いんじゃないかの? 選んだ中なら、恐らく悪影響は与えないと思うからのぅ……。それ以上の効果を期待するなら、相性の良し悪しは大切じゃ。精霊花なら儂の植物園にもあるからすぐ用意できる、早急に応急処置を行うのが良いじゃろう」


 なら、精霊花で決定だな。

 おっと、そろそろ柘榴のミルクの時間だ……と立ち上がろうとするとそれを止められて、デレデレとした顔で朱基さんが柘榴の元へと向かっていき……。


「ミルクなら儂がやろう。れいちゃんはまだ本調子じゃない、作戦を行うまでゆっくりと横になってれば良い。下準備は全て儂が行っておくから安心せい」


 そう言われてしまった。

 その言葉を合図に、コハクがベッドの上に上がり、寄り添うように座って、僕のお腹を尻尾で寝かしつけるように優しく叩いた。その心地よさに眠気に誘われ、僕はゆっくりと瞼を閉じるのであった。



 次目が覚めた時には朱基さんはいなくて、テーブルの上には妖精花が用意されていた。枯れないように工夫されているあたり、さすがは朱基さんだなと思った。

 これなら2、3日は良い状態のまま植えなくても保てそうだ。無理をするとまた朱基さんに厳重注意を受けるので、すぐの作業はやめておこう。

 ベッドに腰掛けながら、ぼんやりとそう考えていると「あー」と声を出しながら、柘榴が膝の上に乗ってきた。


「どうしたの、柘榴?」


「んだぁー、あぅ?」


 そう何か話した途端、僕は光に包まれ、反射的に目をつぶってしまう。……嘘でしょ、スキルを使ったような力の流れを感じる。

 僕は柘榴に何をされたの……?


「きゃぁ!!」


 ……まあ、柘榴が喜んでるから良いか? 特に体に違和感はないし……。

 スキルの発現が早い子もいるんだなぁ、と僕は何故か不思議に思わず、どうしてか晴火先生に報告しようとは思わなかった。


 次の日。


 いつものように、柘榴をあやしながら朝食を作っていると、妖精花にもふもふ達が興味深そうに集まっているのを見つけた。特にいたずらしているわけではなさそうなので、好きなようにさせておくことにした。


「ふぁ……、体調はどうだ?」


「昨日1日休んだので大丈夫ですよ。今日は新くん達と学園祭の打ち合わせをしようかなと思うので、柘榴のことよろしくお願いしますね」


「了解」


 眠そうな晴火先生。昨日は晴火先生のところで寝たから、悪夢を見た柘榴に起こされちゃったかな?

 さっさと朝食を作り、朝食を済ませ、待ち合わせの場所へと急ぐ。


 ……そう言えば、僕は免除されてるから授業は葉月先生のしかないけど、2人は授業があったはず。それなのに、午前中のうちに話し合いの場を設けてもらって良かったんだろうか、と今更思ってみる。

 まあ、彼らのことだ。サボりではないとは思うけど、なんて考えているうちに集合場所の中庭のベンチに着いてしまった。

 僕が一番最後に着いたようで、なぜかちゃっかりるりさんも混ざっていた。……彼女とは約束していなかったはずなんだけどな、まあいいか。


「皆、待たせちゃったかな?」


「いや、今来たばかりですからお気になさらず。今回はお手伝いに誘ってもらってありがとうございます。でなければ、今頃生徒会の手伝いをしてなければならなかったので助かりました」


 ん? 今頃?

 もしかして、今学園祭準備期間で授業がない感じですか、そうですか。

 保健室にこもってばかりだから、そこら辺にうといんだよね……。


「こちらこそ、晴火先生には手伝う人がいなきゃやらせないって言われたから助かったよ」


 そう伝えれば、3人ともにっこり笑って「いえいえ」と言ってくれた。

 そんな3人に感謝しつつ、僕は特に急いではいないけど、足早に説明していく。


・製作は僕が担当すること。

・新くん達に担当して欲しいのは接客と飾り付けであること。

・飾り付けのテーマは森モチーフにした雑貨屋さんであること。


「さて、質問や意見はある?」


 すると恐る恐ると言った様子でるりさんが手を挙げる。どうぞ、と促せば、


「製作を1人でやるのは無理があるのでは?」


 気遣いのある質問をしてくれた。るりさんは、優しいね。


「ほとんど持ち合わせのものを販売するだけだし、ストックは余るほどあるんだ。作るのはハンカチとかだけだよ。僕は裁縫のスキルがあるし、数を作るのは大変じゃないから大丈夫だよ」


 それに、下手に製作に人数を割り振っちゃうと品質が安定しないしね。接客の方がストレスになるし、接客がなくなるだけでかなり負担が減る。


「ほかに販売してほしいものとかない?」


 珍しく戦闘狂の彼女が顔を赤くして、小さな声でこう言った。


「……雑貨屋さんなら、れいさんの従魔さんとペットさんをぬいぐるみにして販売するとかどうですかね……」


 ……かわいいもの好きなんだぁ、へぇ。

 女子受けしそうなものが少なかったし、採用。裁縫スキルがあればなんとかなりそうだしね。

 製作頑張るとしますか、その前に買い物行かないといけないか……。


「了解。……買い物に行くけど、皆ついてくる?」


 僕はそう皆に投げかけるのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ