その3!
次に目を覚ましたのは、その日の夕方だった。
目を覚ました瞬間、
『お知らせです』
と表記されていたので、それに触れるイメージをすれば、勝手に開いた。その内容はこうだ。
『転生者専用クエストをクリアしました。このクエストは、前世の記憶を持つ中でも、不慮の事故により転生した方のみ行われるクエストです。
転生者ごとに合わせたクエストとなっておりますので、チートを望まない方にはユニークスキル、ユニークモンスターのテイムとなっておりますので、安心してスキルの追加、ユニークモンスターのテイムを行なってください。
さて、ここからは《有栖零》様個人のクエスト内容、ユニークモンスターについてお知らせしたいと思います。
有栖零様のクエスト内容は、逃げてきたスライム2匹を余所者として退治しようとする森の住民である動物から守ることでしたが、スライムの1匹が予想外の行動をし、クエスト内容が変わりましたが、2匹を無事に保護しましたので、クエストクリアとします。
クエストクリアの報酬として、ユニークモンスターのテイム資格を渡します。
注意! このクエストの依頼主は神または天使です。その依頼を受け、テイムした従魔はあらかじめ名前が付けられています。
スライム達のステータス詳細
・ハッサクーーーーー名前の通り、ほのかに柑橘類の香りがするオレンジ色のスライム。
・スキルーーーーーー調合(香水、石鹸担当。ただし、香りは問答無用で柑橘類の匂い)
ーーーーーーーーーお菓子作り(ただし、柑橘類の菓子しか作らない)
ーーーーーーーーー柑橘投げ(柑橘類の果物、ただしそれはレモンに限る。目にぶつけ、果汁を眼球に浴びせシバシバさせる。地味にHPが減る)
・サクアーーーーー桜色のスライム。1週間に一度桜餅を贈呈してくる謎のスライム。
・スキルーーーーーーお菓子作り(しかし謎に桜餅縛り。桜餅は作るのに時間はかかるが、絶品。
ほんのり桜の香りがするお餅しか作れない。なぜかわからないが、お餅は大量生産可能。自分で自分のお餅を食べられる)
ーーーーーーーーー投げる(何を? もちろん、出来立てのピンクのお餅ですよ。突き立てなので、とてももちもちです。)
ーーーーーーーーー共食い(何を食べるかって? そりゃ、餅に決まってるじゃないですか。食べたあとは餅の量によってサイズアップします。)
攻撃力はなく、進化もしませんが、従順で主人想いな子達ですので、どうぞテイムすることを考えてみてはいかかでしょうか?』
(……いや、最初からテイム出来るならするって決めてたし、無理だったらこの森で保護するって決めてたからテイム出来るならするよ?)
とそう考えながら、ちらりと橙色のスライムを見た後、桜色のスライムを見る。
この子達がテイムすることを断るなら、この森で暮らせるように手配することも出来る、無理維持はしないと決意した。
『クエスト説明は以上です、スキルレベルアップのお知らせです。テイム、探索のスキルレベルが2に上がりました。
新しく、従魔位置特定と転生者専用クエストの特定が出来るようになりました。この2つの機能もレベルアップするごとに性能が上がります。
・従魔位置特定ーー従魔の位置が特定できます。
レベルアップすると、従魔までの最短距離を検索できるようになります。
・転生者専用クエストの特定ーー転生者専用クエストを見つけることが可能となりました。現在の機能としては発見可能と推奨スキルレベルの検索のみです。
レベルアップすると、クエスト概要とクエストクリア報酬がわかるようになります』
その説明が終わった後、脳内でステータス表記が自動で閉じた。
(……今回は《後天性スキル》は解放されなかったのは残念だけど、この子達に会えたらから良いか)
そう考えたなら、2匹のスライムの頭を撫でていれば桜色のスライムが急にカッと目を見開いて起きたのでびっくりして、思わず撫でていた手を離す。
「んぱぁ?(にぃにぃだぁれ?)」
あー、これが『生物の声を聴く者』の効果かぁ。
でも、テイムしなきゃ聞こえないはずなんだけど。あれかな、テイム資格を得たからかな。
「にぃにぃは有栖零って言うの。君たちを僕の家族にしたいんだけど、君はどう?」
「んぱぁ?んぱぁ!(にぃにぃが、さくあのますたぁになってくれるの? にぃにぃのやさしい手をしてるからすきだからいいよ!)」
(……いいの?!)
しかも、僕の手が優しいからって言う理由で、僕と契約するって……、サクアも人に襲われたのに僕に頼ったハッサクも無防備すぎる。
もう少し悩むとかさ、ワンアクションあっても良いと思うのだけど……。
「んきゅ! んきゅ! (ボクもにぃにぃがますたぁになってほしいの! たすけてくれたから、やさしいってわかるから)」
(……2匹が良いなら良いけどさ)
そう考えた瞬間、お馴染みのピコンッと言う音が脳内に鳴り響く。
『テイムおめでとうございます。スライム兄弟が貴方の従魔になりました。
従魔にも信頼度があります。スライム兄弟が好きな物をあげたり、話しかけてあげましょう。
通常なら信頼度は100まで上がり、進化をし、3段階進化できます。ユニークモンスターの場合、進化をしません。その代わり、3段階信頼度を上げることが出来ることは変わりませんが、1段階ごとにその段階の限界の信頼度を上げたごとに、ユニークスキルを従魔にランダムで渡します。
おめでとうございます。スライム達の命を守ったため、信頼度が30まで上がりました。
信頼度を上げるときは従魔達の好きなものを見つけたり、好きなものをあげたり、協力して1つのことを成し遂げると上がります。
仲良くする努力をしてあげてくださいね』
(……ああ、だからか。テイムをする前から、信頼度が高かったからテイムがすんなりいったのか)
納得。
そんなことより、今はサクア達のご飯を何にしたら良いかと言うことだ。取り敢えず、ハッサクは柑橘類のいい匂いがするから、柑橘類をあげておこう。
それから、サクアはやっぱりお餅かな。あとは桜に関連するものをあげよう。
その中で、食べたものを中心に主食としてあげよう、そうしよう。
「……そもそもこの世界にお餅があるのか?」
異世界転生者だとバレる覚悟でお父様にきいてみよう。
※※※※
「お餅あるぞ? ふむ、テイムしたスライムのサクアの方がお餅好きである可能性があると。なるほどな。今、用意させよう」
(あるんかいっ!!)
しかもすぐに用意させるのか。やはり、この屋敷のものは身内に甘いな。
「変わったスライムだが、まあ問題はないだろう。緑水の位である私達は別に我々は戦闘要員ではなく回復ポーション作り要員、食糧生産要員だからな。
自分の身を守れる程度で良いのだ」
有栖家は、緑水の位の貴族でありながら、他の貴族の中では異端者だ。
ちなみに貴族のくらいの高さ順はこうだ。
立場ーーーー光帝(王様)
ーーーーーー光継(王子、姫)
ーーーーーー宰相
ーーーーーー癒しの位(王族を除く貴族では唯一癒しの力が使える)
ーーーーーー炎青の位(赤い炎と青い炎を操る家系)
ーーーーーー緑水の位(育ちの手と水系統の力が強い家系)
ーーーーーー風雷の位(風と雷を操る家系)
ーーーーーー土影の位(土と影の力が強い家系)
ーーーーーー火の位(紅い炎を操り、鍛治を得意とする家系。炎青の位の直属の親戚であり、部下)
ーーーーーー水の位(水とイルカを操る家系。緑水の位の直属の親戚であり、部下)
ーーーーーー風の位(風と妖精を使役する家系。風雷の位の直属の親戚であり、部下)
ーーーーーー土の位(土とゴーレムを使役する家系。土影の位の直属の親戚であり、部下)
それに続いて最後に傭兵族、騎士族が貴族として末端だ。
他の貴族は貴族貴族しているところもあれば、身分差は建前上気にするが、能力の高い国民について正統に評価する者もいる。
しかし、緑水の位の家系は違う。
代々、身分差を気にせず、貴族の枠を気にせず生きてきた。だからこそ、緑水の位は変人貴族と貴族から言われている。




