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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
第一部 辺境開拓村

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ドクター・ストップ・・・ではなくチャイルド・ストップ

エルン村長と後で来てほしいと言われ、エルン村長の部屋に行くと、エルン村長とアデリナさんが待っていた。


朗報を伝えるという雰囲気ではなく、どこか暗い雰囲気だ。


何かあったのだろうか?



部屋の扉を締めて二人の前に行くと、椅子に座るように勧められた。


「何か、あったんでしょうか?」


心して尋ねると、2人は顔を見合わせ、眉が下がり困ったような顔になった。



そして、こちらを向いたエルン村長が話しを切り出した。


「この頃、アルトはいろいろと忙しくなってきたね。農作業の手伝い、訓練、大森林探索、それに身体術や魔術を使えるようにさせる作業。アルトは本当にこの村に必要不可欠な人材になっているよ」


「でも、アルトはまだ5歳なんだよね。本当に今更だけど・・・アルトに子供らしい時間を過ごさせてやることができているのか、私たちは反省していたところなんだ」


アクチュア王国では、近隣諸国も同じだそうだが、年が明けると歳を1つ重ねる数え年で年齢を決めている。


後2ヶ月もしないうちに年が明けて6歳になるんだけど、そういうことじゃないだろうな。



俺が何と答えていいか分からないまま考えていると、アデリナさんが続けた。


「この間ね、オレグとイリナから、アルトと全然一緒にいれないって言われたのよ。アルトは忙しいから、って伝えようと思ったんだけど、オレグと1歳しか違わないアルトに、仕事だけさせてしまっていいのかとも思い返したのよね」


「それに、オレグにはアルトとイリナがこの村にやってくるまで、年の近い子供がいなかったから、2人が来て本当に喜んでいてね。そして、イリナにはそれまでアルトしかいなかったでしょう?この子たちからアルトを取り上げてしまっていいのかとも反省したのよ」


うーむ。

意外な方向の話だったな。



ギフトに覚醒して、アルトと有仁の意識が統合して、現状を把握して、俺が村を出ていくまでにできることをしないといけないという義務感に駆られ、有仁の感覚でタスクをこなしていた、と改めて考えると思う。


妹のイリナと弟分のオレグに関する、アルトの感覚を蔑ろにしていたかもれしれないな。



有仁の世界では有仁もプライベートの時間を十分にとっていたのに、アルトと有仁の意識が統合してからは常にどれも緊急かつ重要なタスクと考えて動いていただろうか。


有仁の子供時代は生まれた環境から抜け出すために必死になってあがいていたけど、その時の感覚が近いか。


何もなかったあの頃と違って、外部の脅威があるものの、周りの人達に恵まれ、ギフトや思考力の点でも優位に立っている。


急ぎ過ぎ、焦り過ぎだったかな。




自分なりに反省して考え込んでしまった。

深刻な顔もしてしまっていたかもしれない。


エルン村長が慌てたように話しかけてきた。


「アルトが悪いわけじゃないんだよ、もちろん。私たちがアルトの仕事を詰め込みすぎてしまったと反省してね。私もギフトに覚醒してから南の辺境開拓村では仕事に放り込まれたけど、今のアルトみたいに仕事だけになんかはなっていなかったからね」


「いえ、僕もいろいろ考え過ぎて、焦っていたのかもしれません。焦って常に全力でいると周りが見えなくなってしまいますし、実際にオレグとイリナのことを考えられていなかったですからね」


俺の答えに、エルン村長もアデリナさんもほっとしたようだった。


「アルトに子供らしい時間も過ごしてもらえたら嬉しいと考えているよ。まあ、オレグとイリナの面倒を見させてしまうことになるかもしれないけど」


「僕も、2人と遊ぶのは楽しいですから」


「ふふっ。子供にもっと遊びなさいと言うのは私も初めてかもしれないわね」


そういうわけで、今抱えている仕事を調整して、オレグとイリナと一緒に過ごす時間を確保するようになった。


この作品を読んでいただきありがとうございます!


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