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大力(嘘)で身を立てる  作者: ろん
プロローグ

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プロローグ① とある戦場

小高い丘の斜面に1万を超える兵士が陣を構えていた。

数日前の最初の先陣到着から最後の部隊も揃い、対する敵を待つのみ、という構えである。


丘の麓から少し離れたところに、300名ほどの偵察部隊が到着した。

すでに構えている丘の敵兵を観察し、その情報を後続の軍に伝えるためである。


しばらく経って、1人の兵士が偵察部隊から抜け出し、丘の軍の方へと走り出した。

まだ少年といってもいい年頃の兵士が、鎧もまとわず、馬にも乗らず、自らの足で、である。


丘の軍は斜面に構えているため、後方からでも麓がよく見えた。

抜け駆けだとしても余りにも無謀な一人駆けに、丘の軍では、陣を構え終えたあとの引き締まった雰囲気は霧散し、その兵士に対して指を指して笑う者もいた。


その兵士は、丘へと一定の速度で走り続けた。


ついに丘の軍とその兵士が接触、というその瞬間、丘の軍の先頭が弾けた。


その兵士は、一定の速度で軍の中を走り続けた。


その兵士の進路にいた丘の軍の兵士たちはみな弾け飛び、その兵士の障害にはならなかった。

麓から見えた、丘の軍の本陣に向けて、その兵士は走り続ける。

その兵士の後ろには弾けた丘の軍の兵士たちの血肉の河ができていた。


丘の軍の本陣の兵士たちも弾け飛び、丘の軍を率いる将軍の前で、その兵士は足を止めた。

将軍が何かを話し出す前に、その兵士は将軍の首を叩き折った。


その兵士は将軍の死骸を掲げ、丘に響き渡る声で宣言した。


「大力のアルトが、敵将を討ち取ったぞーーーーー!!」


大軍同士が会敵する、その前に、その戦場は終わりを迎えた。

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