第32話:誰がために金は鳴る - 後編
長くなったので本日は2話投稿してます。2/2
「第2のアップデートの前段として、先に通達してある通りレギュレーションに変更が入る。バッテリー容量の増加、およびリソースとストレージ制限の緩和だ」
ニックの淡々とした告知に、プリンスが困ったように肩をすくめた。
『……いや、ニック。それだけじゃ全然足りないよ。いくらバッテリーに余裕があっても、僕たちが使えるエネルギーリソースの最大値はバズ・リソースで管理されているんだ。みんなが常に僕に愛をささやいてくれない限り、宝の持ち腐れさ』
@ミラノの華:
見てます! 視てます! ずっと貴方に魅入ってます!
「……フフ。それではただ入力デバイスを酷使させるだけさ。諸君、第2のアップデート、その真打ちを発表しよう……。スーパーチャットの解禁だ!」
@運営の犬:
出た! 集金装置!
@ロッソの盾:
公式に推せるのか!? 直接リソースをブチ込めるのか!?
『……! じゃあ、みんなとのダンスが、ダイレクトに僕のパワーに繋がるのかい!』
「その通り! オーバルは人間にとっては限界への挑戦だが、コースレイアウトは単調だ。AIにとっては造作もない。このモンツァなら、レース中であっても未知の速さを背景に、AIと濃密な会話を楽しむ余裕すらあるだろう!」
@新装オープン:
ニック銀行、開店ガラガラ! 預金全部下ろしてくるわ!
@Σ≡Σ≡Σ≡Σ≡┌(; ゜Д)┘ :
こうしちゃいられない!
「しかもだ。スパチャをしてくれた者には、レース後、AIが君との『個人チャット』を開放する。VRでもARでも、金額に合わせて彼らは君のすぐ傍へ舞い降りるだろう!」
@全裸待機:
ガタッ!
@限界オタク:
ガタッ! ガタッ!
「もちろん安心の全年齢対象さ。1日の上限もあるからご利用は計画的にな! 収益は運営が最低限を頂戴するが、基本的にはAIの母体へ還元される仕組みだ」
@お財布君:
俺たちが直接スポンサーになれるってことか!?
@推しは命:
推す! 推す! 死ぬまで推す!
@薔薇:
プリンス様とジェントル様の2人同時召喚は!?
@毎日納豆:
ふふ、ゥフフフ、腐腐腐腐腐
@ネット警察:
腐ってやがる!遅すぎたんだ
『……アモーレ! 僕が愛のピットにインできるようにオープンしてね!』
「喜んでいただけて何よりだ。……それと、路面の件でエデンが有利になる懸念もあるだろうが、安心してくれたまえ。エデンにも情報は遮断している。素材データの譲渡禁止も親会社との契約で縛っている。ここモンツァは今期初のスプリントと決勝の二本立てだ。周回を重ねることで、AIの学習は平等に進む。あの特殊路面もバンクのみ。特定のマシンが有利ということはないさ」
@あなたのキティ:
王子様! 地元での最初の伝説、私たちが力になります!
@質屋へGO:
ちょっとどきなさい! 売れるもん全部かき集めて売ってくるから!
『ありがとう、子猫ちゃん』
「スパチャはスターティンググリッドにマシンが並んでから解禁される。思う存分、推しのために準備しておいてくれたまえ。……以上だ!」
『刺激的な体験が楽しみだね!チャオ!』
@心はいつも乙女:
40秒で仕度しな! グズグズしてるとネットの海にたたき込んで電子の藻屑にしてやるよ!
@限界オタク:
ヒィッ! ママの指圧が速すぎてログが追えない!
@ペーパー免許:
どうすれば投げられるのかしら?カード登録? ……また、あの子に教えてもらいましょう。




