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俺がビキニアーマーでどうすんだ!?  作者: ダラリノコトダマ
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第一章 第11話 試しに一戦交えてみた結果・・・ その7

◇ ◆ ◇


 うーん。

 コレは・・・やべぇですよ。

 ガチで。


 大体、何分でこの空間が解除されるかが分からない。

 だからペース配分もできない。


 ポヨンの口ぶりだと、そんなに長時間ではなさそうだったけど。

 でも、半日とかのスパンならありそうだ。



 ポーチの中に何度か声をかけるも無反応。

 毒ガス攻撃効きすぎ。


 一人で、情報のない戦いは厳しいぜ。


 絶対、後一時間はもたない。

 いや、ヘタしたら10分以内でヒットされるかも。



 まじかよ・・・。

 ダメだ。

 やべぇ。

 ゼェハァ。

 息、続かねぇ。


 俺、また詰んだかも。

 ホントにパンチ喰らって・・・死ぬかも。


 ウソだろ?

 勘弁してよ。

 こんなトコで死にたくねぇよ。


 童 貞 の ま ま 死 に た く ね ぇ ・ ・ ・ 。



 だって、まだ何もしてないんだ!


 かなみにキスもしてないんだ!


 かなみがおかずのおすそ分け持ってうちに来た時、うちの母さんに促されてお茶していった後のカップを舐め舐めしてやろうと(ゲスと呼びたければ呼べ!)したが、瑠璃がサッサと片付けてしまったために未遂に終わったんだ。


 だから大きくなってからは間接キスもまだなんだ!


 なにもしてない!

 かなみに色々むちゃくちゃして「もうらめぇ~」って言わせてない。


 夏休みの家族旅行に、二人して仮病使って留守番して、三日間くらいずっとイチャイチャでグチャグチャでドロドロで「もぅ・・・げん・・・かい(はぁと)」って言わせてない!


 ない! ない! ない!


 なのに死ねるかぁ!


 諦めない!

 絶対に諦めないぞ!


 驚いたことにエロマンからのマインドパワーの供給がスゲェ。

 全然くじける気がしない!


 よし。こうなったら・・・。

 もはや攻撃・・・するしか。



 でも、どうやって?

 使えるものは全て使う・・・といっても、何もない。


 ・・・いや、違うな。

 さっきなかったけど、今は・・・ある。


 キュピーンと来たぜ!

 俺は、絶望色に染まっていた自分の瞳に力強く光が宿るのを自覚した。



 視線を下げる。

 そして、最初には無かった、奴が砕いた床のコンクリート片を拾い上げ、いったん距離を取る。



 のろのろと近づいてくるポッポーに対峙し、右手で軽くコンクリを握りながら指にいい感じに掛かるところを探る。


「かなみとの恋路を邪魔しやがって。覚悟しろよてめぇ」


 俺は、ゆったりと振りかぶる。

 下半身手動の滑らかな体重移動から脱力気味のオーバースロー。

 リリースの瞬間に力を込め、投げた。


「雄々断弐死陽兵(オオタニショウヘイ)の百六十五鬼炉素途霊斗(165キロストレート)―――っ!」



 ギ ュ オ ン ッ !



 風を切る高い音が鼓膜を震わせた。


 そして衝撃音。



 ポッポーの胸部前あたりにぶらぶら揺れていた人頭が、「 ゴ ガ ッ ! 」っと音を立て大きく陥没した。


 頭の中の半固体状の黄色い塊がビシャっとはじけ、衝撃で仰け反るポッポーの青白い上半身を大きく濡らした。


「ボッ・・・ボォ」

 ポッポーの足が、初めて、止まった。


「お、おおぉぉ?」



 大◯翔平の165キロストレートと言って投げたが、おそらくそんなもんじゃなかった。


 昔一回だけ行った、200キロの球が打てるバッティングセンター。

 あの200キロをはるかに超えてた。


 素早く二個目を拾う。

「フンッ!」

 風を切り裂くコンクリ片。


 ガンッ!

 二投目は肩の肉をえぐった。青い血が飛び散る。


 その後も距離を取り、コンクリを拾い、投げる。

 明らかに人間の域を超えている球速と球威で化け物の体をえぐる。


 ポッポーは、長く巨大な両腕でハト頭と上半身をガードしながら、それでも徐々に前へ出てくる。

 ガードしたりする知能はあるのね。



 何発もコンクリを投げる。

 腕に生えていたハトにヒット。ハトが潰れる。

 体から流れるのは青っぽい血だが、ハトの部分が潰れると赤い血が飛び散る。


 う~ん、グロい。

 放送できるのか?(どこへだ)



 現状、上手く行っている。

 でも油断はしていない。

「俺ツエ―――ッ」とはならない。

 

 たぶんその思考、命取りになるから。


 あくまでも冷静に、きちんと距離を保ち、ガードの隙間から見える一番でかいハトの頭を狙う。

 あそこを潰せれば勝てる・・・気がする。


 勝利が見えると、疲れも消える。

 さっきまでゼェゼェ言ってたのに、今は呼吸も一定のリズムだ。


 

 勝 て る か も し れ な い 。


 高揚感がじわじわと湧いてきた。

 俺、少し笑ってたと思う。



 その8につづくと思う。


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