第一章 第11話 試しに一戦交えてみた結果・・・ その8
◇ ◆ ◇
ド ゴ ン ッ !
「シャァッ! いったぁ!」
20球ほど投げた時、腕のガードの隙間に入ったコンクリ片が、ついに巨大ハトの頭部を捉えた。
命中したコンクリはハトの頭で跳ねて、霧のドームの天井付近まで飛ぶ。
ハトの頭は半分以上が吹き飛び、片目とクチバシがかろうじて残っていた。
コレは、やったんじゃね? じゃね?
ポッポーの巨躯がグラリと傾く。
そして、マンガやアニメでよく見るようなズズゥン・・・みたいな倒れ方ではなく、普通に足から崩れて、ドサッと前のめりに倒れた。
コンクリの砕けた埃がモワッと舞う。
グギギ・・・ボッボボボ・・・と啼き声が小さく聞こえる。死んではいない。
体に生えている小さい鳩どもは、まだ赤い目で俺をにらんでいる。
次の球を投げる体勢のまま、少し様子を見ていると、片腕を立てて、起き上がろうとし始めた。
なかなかすごい生命力。
最後の一投のつもりで振りかぶり、ギュンと投げる。
豪速球が狙い通りに命中し、半分残っていたハト頭が無残に潰れ、起き上がろうとしていたポッポーは再び床に崩れ落ちた。
俺は「ッシャァア!」とガッツポーズ。
ノーアウト満塁から三者連続三振とったピッチャーのように。
コレは、勝ったっしょ?
コレで勝ってなかったら、もうダメっしょーっ?
いやぁ~、マジでホントにガチでしんどかった~~~~。
つーか、初戦でこの敵ダメでしょ―――?
勝ったから良いようなものの、チュートリアルでこの敵出てきたらマジそのゲーム糞だわ。
相当ドMじゃない限り、即座にイジェクトボタン押してそのままTATSUYAの中古買取コーナーへ直行ですよ。
それで言われるんですよ。「すみません、在庫過剰で買い取りできません」ってな!
「え? 発売日なのにですか?」
「はい、今日は朝から『アルカトピアの騎士』の持ち込み多くて・・・」
「ハハ・・・ですよねぇ」ってなるんですよ!
◆ ◇ ◆
夕日が沈みかける空を、見上げる。
まだ霧は晴れない。
紫のフィルターを通して見る夕暮れの街の景色は、どうにも現実感がない。
ポッポーはまだ時折りビクッビクッと痙攣している。これ、生きてるのか死んでるのかわからないけど完全に動かないようにならないと勝利になんないのかな~。
めんどくさいな。
このまま霧に触れて外出ちゃおうかな。
家帰りたい。
お茶飲みたい。
でもまだ、ゴールドと経験値貰ってない。
俺の予想だと、死んだら光の粒になって消えて宝石もしくはコイン的な物がチャリンと残るんじゃないかと思うんだよね~。
・・・なんてのんびり考えていた俺は、ほんとバカ。
パ リ ィ ィ イ ン !
ビクッとして音の方を見る。
ドームのほぼ中央にあった異空間のヒビ割れがさらに大きく割れた。
「ボッボォ・・・ボボッボォ・・・女じゃ・・・ない」
「ボボボ・・・ボロッボォ・・・男・・・殺す」
「ボッボー、ボッボ、ボッボー・・・男、擦り潰して、・・・喰う」
お、おぉお?
新 た な ポ ッ ポ ー ・・・三体、出現。
オ ワ タ 。
これはマジで終わった。
先ほど、かなみとのエロ行為達成をモチベーションに頑張ったエロマンも、さすがにこれは無理。
ヘタリと座り込む。
死にましたわ、俺。
みなさま、今までどうもありがとう。
俺、擦り潰されて食われます。
ついばまれます。
鳥の餌です。
マジ、クソゲーだ。『アルカトピアの騎士』。
発売日の翌日には、ワゴンセールで10円だ。
ゆっくりと近づいてくる、三匹のポッポー。
その向こうで死にかけていたさっきのポッポーの背中がメリメリと裂け、新しいハトの首が出たのが見えた。
今度は四つん這いで、「ボボッボォ・・・」と言いながら這って来る。
いいよもう!
いまさら、これ以上難易度上げなくても!
三匹も四匹も一緒だよ!
勝てねぇよ!
プログラマー、ドSか!
絶 望 の 空 に 嵐 を 吹 き 荒 れ さ せ る な !
その9につづくるな!




