第一章 第8話 初めて好きな娘の部屋に入った結果・・・ その9
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程なく、インターホンが鳴り、かなみが迎えに行く。
ドアからスイっと入ってきて小さく手を上げるナギちゃん。
チュッパチャ◯プス咥えてる。
ん?
最後の一つじゃなかったんじゃん!
ウソじゃん!
「やあ、きたよぉ」
「・・・うん。見えてる」
瑠璃はお尻をずらしてクッションを半分譲る。
ナギちゃんは瑠璃のとなりに並んで座る。
それだけのやり取りであとは無言。
何だこのローテンション同士のやりとり。
お兄さん、テンション低い系キャラは一人でいいと思うな。
しかも君ら二人アンダー世代じゃん。
もっと元気だそうぜ?
「あ、ルガリウ?」
「いいよ?」
「やた」
単語すくねーなこの二人。
ほんとに仲良くなるとこんくらいのやりとりでいいんだろうか。
特に会話もなく、黙々と食す二人。
無言なのだが、顔は美味そうにほころんでいる。
そのシュークリーム・・・マジで美味そうだな。
ナギちゃんさっきウナギ食ったのに、パクパク食ってる。
瑠璃よりちっこくて細い感じなのに、よく食うなぁ。
その栄養、どこ行ってるの?
とりあえず胸には行っていないが。
かなみはそのままナギちゃんのお茶を淹れにいったみたいだが、ナギちゃんは断りもせずに瑠璃のティーカップから勝手に飲んでいる。
「ね? ニーニくんて・・・帰ってる?」
む、やはり俺の様子を見に来たのか?
「わかんない」
「下の階、だれも居なかったけど・・・自分の家、ルゥ、入った?」
「入ったよ?着替えたし」
瑠璃、俺が戻る前に部屋入ったのか!
や、でも、無事ってことは、メリー・・・もう居なかったんだな。
良かった・・・。
ホントに。
何かあったら、耐えられん。
ん?
てことは瑠璃、自分の部屋のドア破壊されてたの見たんだな。
うわー、言い訳どうしよう。
「あのさー、なんか・・・異常というか、変なこと、なかった?」
「・・・?
変なことならほぼ毎日あるでしょ?」
いや、ねぇだろ。
むしろドアの破壊は異常事態にカウントしないのか?
「いや、そりゃそうだけど・・。
そうじゃなくてニーニくんで」
俺に対しての変なこと?
やっぱりとりあえず心配してきてくれたのかな?
俺、神社でかなり変だったからなー。
「にぃ・・・お兄ちゃんと会ってないよ?
今日はさ、ほら、オトモダチのアレが急にあったから、ちょっと気になってとりあえず早退したんだけどね・・・」
「あー。お知らせきてたね。
わざわざ、まじめだねー、最近多いし、私、無視してた」
「実は・・・今回のオトモダチは、まことさんとかなみさんが相談しての指名で・・・。
いろいろあってちょっと気になってね。
ちゃんとオトモダチになったら、ナギにも紹介しようと思ってたんだけど・・・立ち消えっぽい。
予感はしてたんだけど」
「あ~、やっぱソレ系だったか。
実は予想してた。
で?結局、流れて他の人になったんだ?
でも、体、ダイジョブっぽいね。流れても。
元気だったよ?」
「うん。かなみさんから聞いたけど、平気みたいね。
ん?なんでナギが大丈夫ってしってるの?」
「会ったから」
「え?なんで?」
「元々、知り合いなんだから、別に会っててもいいでしょ?」
「えー・・・いや、ま、いいけど・・・・意外」
「そう?」
「二人で会ったり?」
「そういう時もあるね」
瑠璃は少し無言でナギちゃんを見つめ、ナギちゃんは歯を見せてニッと笑った。
「えー・・・あー、ま、いいや。ダイジョブでしょ」
「どういう意味?」
「そのままの意味。
そういえば、さっき調べたら代わりの新しいオトモダチは・・・多分、埼玉なのかな・・・」
「遠い。それだとうちらのメンバーにはならないっしょ。
そんなとこまで出張したくないし、どうせ絡みないだろうし、いいよもう。
だいたいメンツ多すぎだって。
ただでさえお客の数は限られてるんだから!」
「やる気あるね・・・」
「や、だって稼げるし!」
ナギちゃんはフンッと鼻息を出し、タトゥーの入った右手で小さくガッツポーズをした。
瑠璃は、そんなナギちゃんを見て薄く笑った。
・・・。
・・・・。
・・・・・。
なんか、ちょっと、よくわからない。
女同士のドロドロした会話?
アレが流れるって何?
友達のアレが急に・・・とか、もしかして妊娠して流産とか?
え? 中学生だろお前ら。
たまに風のウワサでそんなの聞くけどさ。
ヤッホー知恵袋の落書きじゃねぇんだから・・・。
お前ら、そんな不真面目系フレンドいるの?
かなみにマコ姉も・・・なんか絡んでるの?
メンバーってなに?
出張ってなに?
お客ってなに?
稼げるってなに?
なんか・・・いやな感じする。
「ま、それで、早引けして帰ってきたらマンションの玄関でかなみさんに会って・・・。
指名のがオトモダチになれなかったのは残念だけど、体は平気みたいだし、とりあえずお茶しようってなって・・・着替えてルガリウ行ってたの。
で、エレベータで上がってる時に、かなみさんがにぃに・・・お兄ちゃんの声が聞こえたって言って・・・一応、もう一回ウチに戻ってみたら、玄関前に、それがあったんだよね」
瑠璃の視線の先には俺の荷物。
やっぱ、なんかよくわからん話をしてるな。
友達がなんか(流産なのか?)あって?
なぜか瑠璃が早退して?
友達を指名するってなに?
で?何故か早退したかなみ(部活もさぼり?)とお茶?
なんじゃそら?
ていうか、ちょっと気になるんだけど、なんでにぃにって言った後お兄ちゃんて呼びなおすかな?
かなみの時はともかくナギちゃんはニーニくんって言ってんだからお前もにぃにでいいだろ。
いつもみたいにさぁ。
スマホの件といい、ちょっと悲しすぎだよ。
距離感が!
「あ、ニーニくんの・・・荷物?
玄関前に置きっぱなし? ・・・で、本人は?」
「さぁ?」肩をすくめる瑠璃。
「チッ、逃げたのか。オバケなんかないというのに」急に舌打ちのナギちゃん。
いや、逃げてないよ!?
オバケもいるし、全力を持って戦うつもりだったよ!?
なんなら今も逃げずにここにいます!
でも、大ボスの前の中ボス(ウ◯コ)が予想以上の強敵で・・・。
結果として服も剥かれてこんな感じに・・・。
泣きたい。
「オバケ? なんのこと?」
「怯えた人は、柳を幽霊と間違えるってこと。
面白いことになってるかと思ってイチャイチャ恋路を邪魔しに来たのに・・・」
いや、ある意味面白いことになってたよ。
傍から見たら滑稽なほど脂汗かいて悶絶してたよ。
あと、メリーとイチャイチャは絶対無理だろっ!?
「よくわかんないな・・・いや、あ。
ああ!そういうことか。多分わかった。
ナギ、鋭いね。指名のこと、知らなかったのに」
何がわかったん?
何がすごいの?
え?
あれ?
「むふふ。いつも通りでしょー?
あ、これ、おっいし。サクサクだっ」
「期間限定だって」
え?
話おわり?
何が、何で、何の話しているんですかねぇ?
君たち?
全然わからんよ?
分からんまま終わったよ?
パンとかどうでもいいやん。
というか、なんか君らの日本語自体いろいろわからなかったよ?
良からぬ話なの?
中学生のモラル、大丈夫?
あと、君ら、話の内容とか単語、端折り過ぎじゃない?
それでお互い通じるの?
お兄さんには全然通じなかったよ?
え?
俺がバカなの?
その10へつづくの?




