第一章 第8話 初めて好きな娘の部屋に入った結果・・・ その8
◇ ◆ ◇
特殊捜査班・灰谷真太郎の眼前で、放課後ティータイム(家だが)を始めたかなみと瑠璃。
「ムッフッフ・・・買っちゃったねー」
「だいぶ散財しちゃいましたねー」
「ま、いつもご苦労様~な自分へのご褒美、ご褒美~」
どこの疲れたOLのいいわけですか?
ニヤニヤしながら袋を開け、取り出したのはパンとケーキ。
リモコンいじって手元を拡大。
お、ルガリウの袋じゃん。
こいつら、贅沢め。
美味しくてちょっとお高めのパン&ケーキ屋ルガリウ。
このへんに住む女子はみんな好きだ。
なんか頼み事をするときに「ルガリウでなんか買っていいから」と言うと結構通る。
ソースは瑠璃とかなみとマイマザーとかなみのおばさん。
「んん! おいしーっ!」
「かなみさんっ!
こっちもいいですよ?
ひとくち食べてみます?」
「あ、わーい。
あ、じゃ、これも食べてみてー。新作だって!」
「あ、すっごいサクサク、おいしっ!」
「ねー、これ期間限定だって。
グランドメニューにしてほしーっ!」
・・・。
おお・・・うっむ。
エロくはない。
エロくはないが、なんか・・・。
かわいい子がキャイキャイもの食べて、はしゃいでるのって・・・。
う ん ! イ イ ね !
なんつーか、ちょっと口の周りについたパイの欠片とか、舌で舐め取るのとか・・・微エロだよねー。
健全な中にそこはかとなく漂うエロスのパフューム。
アリですわ~。
おっと、かなみの口周り。カメラをズームズーム。
いま、シャツの胸元に落ちたパイの欠片、パイの間に入っちゃったんじゃないの~?
ボリュームあり過ぎだから、隙間がでかいんだよぉ?
まったくぅ!
ウェッヘッへ!
さあ、ひろいたまえ!
そのヒラヒラの飾りがついたブラウスのボタンをぷちんぷちんと外して!
パイに落ちたパイを拾いたまえよぉ・・・。
そしてカメラは胸元にズウゥゥゥム・インッ!
デデ―――ン♪
「ヒッ!」
びっくりした!
「シンタロウ、あうと―――っ」って言われたかと思った。
いや、アウトかセーフかと言われたら・・・。
まぁ、かなりアウトだったと思うけど。
で、何?いまの。
ドッキドキなんですが。でですが。
「メールです。ちょっと、失礼します」
メールかよ。
瑠璃はポケットからスマホを取り出し、スイスイと操作し始める。
ていうか、年上の前でメール返信とかにいちいち失礼しますとか言うんだ。
きっちりしてるな、瑠璃。
ていうか、え? スマホ?
瑠璃、スマホ持ってた?
いつから?
ブザー付き子供携帯だったんじゃ・・・。
機械苦手だからいらないとか言ってたんじゃ。
「フフ、だれからだと『デデーン音』なの?」
音にツボったのか、かなみがちょっと笑いながら訊く。
「ナギです。ちなみにかなみさんは『コイーン♪』です」
「まさかのマリオッ?」
「まことさんは『ピロリロリロリン♪』です」
「ゼルダだっ!」
ツッコミ速いな、かなみ。
意外にゲーマーなのか?
よく見ると部屋の隅にPS4あるな。
そして瑠璃。いつの間にかマコ姉のメアドもゲットしてんだな。
それにしてもわざわざ人によって着信音変えたり、マメだな。
そしてそのチョイスもなかなか。
クールビューティな妹は、意外と茶目っ気がある・・・。
ふむふむ・・・。うん。
つーか、俺、番号もメアドも知らねぇんですけど――――っ!
瑠璃ィイイイッ!
冷たくない?
兄に対して冷たくない?
スマホ持ってること自体秘密にしとくって!
泣きそうだよ!
俺が君に何したっていうんだ!
夜中にハッスルしてパンツ喪失して寝ちゃって無修正朝立ち見られただけじゃないか!
そして今、全裸に靴下&チンコケース&ヘッドホンで、のぞきしてるだけじゃないか!
こんな俺を嫌わないでくれ!
優しくしてくれよーっ!
◇ ◆ ◇
何度かデデーン♪とやりとりしている瑠璃。
ねぇ、ところで、どうやって瑠璃の番号聞けばいいと思う?
スマホ持ってる事自体を秘密にしているってことは、もう、教える気、皆無だよねー?
泣きたい。
泣こう。
ハンカチあるし。
「ナギ、来るそうです。いいですか?」
「ん? いいよ」
「ていうか、もう、うちの玄関前に来てるそうなんで、こっちに呼んでも?」
「いいよ」
え?ちょっとまって?
なんで?
なんでナギちゃん来るの?
なんで来ようとしてるの?
単に瑠璃に会いに・・・じゃないよな。
今家の前ってことは、いきなりうちに連絡なしに来てるってことだもんな?
あの子、俺がメリーと対決しに自宅に戻ったの知ってるよね?
てことは俺の様子を見に来た?
いやでも、まさか俺の話を信じてるわけじゃ、ないだろうし・・・。
いきなり押しかけて、なんのつもり?
ちょっと混乱気味の俺。
何考えてんのかわかんないからな、あの子。
なんか・・・ふ、不安だ。
その9に・・・つ、つづくんだ。




