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この結婚は間違いじゃない〜告白相手を間違えた令嬢は、溺愛されていることに気づかない〜  作者: 涙乃


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6/10

リディアside①

「フレディ?具合はどう?怪我の手当てをしてもいい? そこに座って」



ソファーに横並びに座ると、リディアはフレデリックの後頭部の手当てを始める。



「少し、沁みるかも……大丈夫?」


「リディア、君はなんて優しいんだ。私の妻。そう、私のかわいいリディア」


「フレディ⁉︎ えっ⁉︎」



フレデリックはリディアの手をとると、口付けを落とす。


「やっと、来てくれた。ずっと、待っていたんだ。今日、大事な話があると伝えていただろう? なぜ離れようとする?」


「大事な話?何を言っているの?もう、その話は終わったじゃない。覚えてないの……?」



そういえば、ジェームズが言っていたわ。フレディは、打ち所が悪くて、部分的な記憶がないとか……。

今日、話があると言ったことは覚えてるみたい。けれど、私と話した記憶がない?

部分的な記憶喪失って、そんなことがあるの?

でも、まるで別人みたい。打ち所が悪かったのね……。私のせいだわ。



「ごめんなさい……フレディ……」


無意識にフレデリックの頭を撫でる。



「リディア……」


「フ、フレディ⁉︎ ど、どうしたの、離してっ。この匂いは……お酒臭い……フレディ、飲み過ぎたのね、ちょっと離して。きゃぁっ」



フレデリックは、リディアをきつく抱きしめた後、横抱きにしてベッドへと運ぶ。


「フレディ、あなた酔っているのよ。飲み過ぎよ。今日は、もう休んだ方がいいわ。だから……離して……」


ベッドの上で組み敷かれたリディアは、混乱していた。



「そうだな、休んだ方がいいかもしれないが、まだ大事な話を伝えていない」


「大事な話?こ、この状態で聞くの?」



フレディは、いったいどれだけの量のお酒を飲んだの? こんな体勢では、何も頭に入ってこない。


「あぁ、逆に聞くがどういう風にされたいんだ?」


「される?何を?ちょっと待って、フレディ、あなた何か変よ。大事な話って?」


「それは、もちろん……寝室に呼び出したのだから、分かるだろう?リディア……」



何を言っているの……?さっきは別れようと言っていたじゃない。

忘れてしまったの?

酔っているからといって、酷い……あんまりよ……。

私は、気持ちが通じ合えたらと想っているのに。

酔った勢いで結ばれたくなんかない。

朝、目覚めたら後悔するでしょフレディ。

部分的な記憶喪失だからといって、受け入れられない。


「フレディは……誰とでもこういうことをしたいの?私達の関係が、契約結婚であること……そのことも忘れてしまったの?」


「それはっ……」


焦ったフレデリックは、手を緩める。


「覚えているのね……?嘘つき……」


「ちが、違うんだ、リディア、泣かないでくれ。ひとまず私の話を聞いてくれないか。ソファーに座ろう。リディア……、頼む」



コクンと頷くことしかできなかった。


フレデリックはリディアを抱き抱えて、ソファーへと連れて行く。


鼓動が早鐘をうつ。フレディの胸板から伝わってくる鼓動も早かった。


「リディア、私にチャンスをくれないか。明日は、私達の記念日だ。一緒に街へ行かないか。私達はデートらしいことをしたことがない。2年も一緒に暮らしていたというのに……。君の時間を私に分けてくれないか。あの頃のように、一緒に過ごしたい」



あの頃のように? 図書室で過ごした日々が懐かしい。


「ふふ……」


真っ直ぐにフレディに見つめられて、嬉しい。本心で言ってくれていると分かるから。あなたもあの頃のことを覚えていてくれたのね。でも……。記憶が混乱しているのかもしれない。だって……。



「あぁ、リディア。君の笑顔は魅力的だ。あの頃よりも、もっと」


「フレディ……本当にごめんなさい。頭を打つと、こんなにも人が変わってしまうなんて……。フレディ、大丈夫だから。勘違いしないから。何かのフィルターがかかって、私のことがそんな風に見えていると分かっているから。きっと、記憶はそのうちに元通りになるから。ねぇ、フレディ、明日は記念日なんかじゃないのよ。それでも、いいの?」



「記念日、あぁ、確かに結婚記念日ではない。明日は、リディアの髪に初めて触れた記念日だ。リディアの制服に、抜け毛がついていた日を覚えているか? 背中で見えないから取ってほしいと言ってくれた。そうだ、実際に見せよう」


おもむろに立ち上がると、フレデリックは壁に隠してある隠し棚から小袋を取り出した。


「この小袋は、形状記憶の効果があるんだ。アーサーと一緒に購入したものなんだ。アーサーのことは、今は考えないでおこう。ほら、当時のまま綺麗だ」



「気持ちわる……捨てよう。なんか、いや……」


「気持ち悪い……?いやなのか……。かわいいリディアの髪は私だけのものなのに。最後の手段として、この髪の毛があれば、どこにいようとリディアの追跡だってできるのに……。そ、そういう道具もあるとアーサーが言っていた。とにかく、元の場所に保管しておく」


フレデリックが立ち上がった隙に、リディアは急いで部屋から逃げ出す。


「フレディ、おやすみなさい!」


自室に戻ると鍵を閉めて、ベッドへと倒れ込んだ。フレディが何か言っていた気がするけど、今のフレディは普通でなない。関わってはいけない気がする。


今夜は、色々なことがあった。

いつか、終わりが来ることは分かっていた。でも……。あれからもう7年も経つのね。アーサー、元気かな……。怪我などしてないといいけど。はぁ……。いったい、どんな風に話したらいいのかな。


それに、フレディ……。怪我はすぐに治ると思うけど、あんな状態で仕事に支障はでないかしら。

目が覚めたら、元通りになっているかもしれないよね。そしたら今度は、一緒に出かけようと言ったことを忘れているのかな。

真面目なフレディが、あんな風になるなんて、なんだか可笑しい。まぁ、ちょっと、引く部分もあったけれど……。髪……、だめだめ、考えないようにしよう。



精神的な疲れもあり、リディアは深い眠りへと誘われた。

























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