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この結婚は間違いじゃない〜告白相手を間違えた令嬢は、溺愛されていることに気づかない〜  作者: 涙乃


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10/10

婚姻届の行方

「フレディ……待って、どうしたの、もう、この絵のことは聞かないから……ひゃあっ」



リディアは壁に見慣れない絵が飾っていたので、フレデリックに尋ねたのだ。


「きれいな()()ね」と。


「夕日だ!」と、ガンとして譲らないフレデリックから、唇を奪われたかと思うと、寝室へと運ばれていた。




◇ ◆ ◇



その夜の執務室にて一一。


フレデリックは、リディアに問われた絵画を取り外し、裏面に隠しているものを眺める。


ブランデーを注いだグラスからは、カランと氷の音がする。




「あぁ、いい……これを、私に渡すために……ここの文字が少し波打っているな。緊張しながら書いたのだな、いい、これを私のために……」



かつて、自身へと渡されるはずだった婚姻届。



先日アーサーより手に入れたものだ。


アーサーの帰還パーティーにはリディアは欠席させたが、まさかあいつがリディアに会いにくるとは予想外だった。


早々に婚姻届は奪い返し、帰らせたものの、リディアに来客があったことが知られてしまった。


ぐぬっ、許せん!


アーサーにはもう一度釘をささねば!



色褪せて、少し擦り破れている婚姻届を丁寧に伸ばすと、絵画の裏に戻す。特注の額で、両面が透明ガラスとなっている。


「むふふ、いい……」



リディアの署名の隣に、自身の署名も記入した婚姻届を眺めていると、歓喜のあまり下半身に熱が籠る。


「いかん、いかん、今は……」



フレデリックは元通りに壁に絵を戻してから、表の絵を変更することを決意する。



なんで()()()の絵画を飾ってしまったんだ……くそっ、だめだ、リディアの口から()()()()など言わせてなるものか!


この絵画は早々に撤去せねば!



フレデリックは、執務机に並べた使用人の名簿を確認する。


そこには、名前と共に愛称も記入されている。



「護衛のアーチボルトは……愛称はアーチー⁉︎ だめだ、アーサーと似ている。アーという言葉が聞こえた時点で許せない。こいつは、リディアと接点のない箇所へ配置替えだ。


侍女のアーサリン……けしからん!悪いが配置替えだ!」



そうして、しばらくアのつく使用人だけが異様に配置換えされることになる。




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