私を嫌って。
「あっ、一くんと朝陽くん♡」
彼女が一の腕に縋り付くと、一は慣れたように、優しく返事をする。
「瀬戸さん。どうしたんですか?」
「実はぁ〜、琳のお店ぇ、全然人来なくて困ってるんですぅ……、2人とも来てくれませんかぁ、?」
「いいですよ。いいよね?朝陽。」
「勝手にしたら。」
「じゃあ、案内してもらっていいかな。」
「もちろんです♡。」
瀬戸は一の腕にピッタリと胸を押し付け、上目遣いをしながら案内をしている。だが、一は何も靡かない。
朝陽は露骨に嫌な顔をしてるが、しっかりついていっている。
「つきましたぁ♡」
にっこにこの笑顔で案内され、辿り着いた場所は本格的なお化け屋敷だった。
「では、楽しんでいってくださいね♡」
少しして2人の、いや朝陽の叫び声が密かに聞こえた。
「瀬戸さん。そろそろ私と交代だよ。」
「………」
そのまま、瀬戸は返事をせずに去っていった。
「やっぱ、あの子私たち感じ悪いよね。」
「ね。男にだけいい顔して…あんなのに騙される男もあれだよね……。」
「ぶりっ子っつーか、男が好きなだけのビッチ女でしょ。」
クラスの女子達からの陰口がヒソヒソと瀬戸本人に聞こえる。
(いい。それで。それでいいの。どんどん私を嫌って。)
そして、それぞれが楽しい時間を過ごし、
「一人でまわるのも意外と悪くないな。」
新たな一面などが見られ、
「ら……河埜!お前が教師やってるのは本当だったんだなぁ?兄貴は感動だよ〜」
「離れて。今僕仕事中……」
文化祭の幕は閉じた。




