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一ノ瀬の過去

一ノ瀬 千紘

その名前になったのは小学5年から6年になる頃だった


それまでの名前は 大羽 千紘

幼い頃、父に死別して以来母と二人暮らしだったが、母が再婚することになり、一ノ瀬になった

それと同時に僕は転校した


花咲は転校前、5年生の時のクラスメイトだ

おとなしい印象でクラスの女子とは少し距離を置いていた

この頃、女子のグループは僕らから見ても排他的で、グループに入らない子には冷たかった

なので、花咲に声をかける子もほとんどいない

花咲はいつも一人だった


僕はそんな花咲のことがずっと気になっていた

花咲はよく教室でノートに絵を描いたりしていた

一度それを偶然見たことがあって

そのあまりの綺麗さに驚いた


花のようにも見えるし虹のようにも見えるような

パステルカラーの綺麗な絵だった


また動物も好きなのか

いつも兎小屋のところでウサギをなでては話しかけていた

その時の花咲はクラスでは見せないような優しい顔で笑ってたんだ


だから僕は

昼休み、ドッチボールするからこいよ

遠足、同じグループになろう

事あるごとに声をかけた


何度も断られたが

花咲と仲良くなりたくて懲りずに話しかけた


ある日、学校に迷い込んできた猫を花咲と保護したことをきっかけに

花咲は僕に話しかけてくれるようになった

それをきっかけに仲良くなり一緒に遊ぶようにもなった

この時の猫は先生に引き取られたみたいだ


でも、僕は6年生になる前に転校することになり

花咲ともそれっきりになってしまった


それが…まさか

同じ会社に就職していたなんて

知った時はかなり驚いた


普段は全く関わることのない部署だったから

花咲のことは知らなかった


同期たちが

「2つ上の花咲さん、いつも素敵だよなぁ」

「いやぁ、かわいいし、優しそうだしいつもニコニコしてて…いいよな」


そう話しているのを聞いて

どんな人だ?と思い、部署をのぞいてみた


そこには

小学生のときとは全く印象の違う

明るくてみんなに笑顔を振りまく花咲がいた

花咲、僕が大羽って知ったらびっくりするだろうな笑


しばらくは忙しくなるみたいだから…

また、そのうち話そう


「えーと、大羽くん…ごめん、覚えてない」って言われたら

ちょっとショックかもしれないが…

…それも覚悟しておこう

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