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第七話 質問タイムはチャンスを逃さずです

そのあと、残りのおはぎを二人で食べた。

……食べたんだけど。

私は気づいてしまった。

(これ、質問するチャンスでは?)

だって目の前には、軍服姿の飛行士さん。

しかも私の命の恩人。

しかも――

(しろさん)

そう、しろさんである。

いやよくわかんないけど、いいよね。


これはもう聞くしかない。

まずこれは……必須!

「しろさんって、結婚してるの?」

私はじーっと目を見て聞いた。

しろさんは一瞬固まって、それからものすごく勢いよく目をそらした。

「い、いえ!まだ二十歳ですし!独身です!」

声がちょっと裏返っている。

(あ、二十歳なんだ、ということは)

「私より三つ上なんだ!」

いい感じじゃありません?

それから、私はさらに踏み込む。

「じゃあさ、お付き合いしてる人とか……いるの?」

しろさんは今度は姿勢までピンと伸びた。

「い、いえ!去年までずっと外地にいましたし!おりません!」

ものすごい即答だった。

(そっか)

なんだか胸のあたりが、ほっとした。

……もちろん、私は普通の顔をしている。

たぶん。きっと。そうであってほしい。

でも、しろさんは全然こっちを見ていないから、気づいてないみたいだった。

「外地って……ビルマとか?」

新聞で読んだ知識を総動員である。

たまにしか読まないけど。

「はい。ここに来る前はフィリピンにいました。その前がビルマで、その前はニューギニアです」

「ニューギニア……」

なんだか地図帳みたいな名前がどんどん出てくる。

でもなんかすごくない?

「一度だけ、オーストラリアにも行きました」

「オーストラリア!?」

私は思わず身を乗り出した。

オーストラリア——

「コアラ見た!?」

しろさんは一瞬きょとんとして、それから苦笑した。

「いえ、空からでしたので……」

あ、そっか。

操縦士だもんね。

やっぱり空からじゃ見えないか。

「でも着陸はしました。そのとき砂漠は見ました」

「砂漠!」

なんだか急に世界が広がった気がする。

(いいなあ)

「今度お話聞かせて!」

「は、はい」

そう答えるしろさんの声は、なぜか少し緊張している。

なんでだろう。

私は普通に話しているだけなのに。

……そのとき。

「あ」

私は気づいた。

また、くっついてしまっている。

私はいつのまにか、しろさんの肩のすぐ横まで近づいていた。

(またやった!)

私は慌ててちょっとだけ離れる。

「すみません……」

ちょこんと頭を下げる。

それから、少しだけ俯いたまま聞いた。

「そうしたら……」

指をぎゅっと握る。

「私、またここに来てもいい……かな」

一瞬、沈黙。

次の瞬間。

「も、もちろんです!」

しろさんがほとんど反射みたいな速さで答えた。

私は顔を上げる。

ちょうどそのとき、しろさんが横を見た。

目が合った。

「よかった!」

思わず笑顔になる。

すると、しろさんは急にポケットからハンカチを取り出して汗を拭いた。

……そんなに暑い?

そして次の瞬間。

ガタン。

しろさんがいきなり立ち上がったので私はちょっと焦った!

「ひ、飛行機をお見せします!」

……え?

私は一瞬きょとんとした。

それから――

(飛行機!?)

ちょっと意味わかりません!

でもまぁいいか。

――こうして私は、

陸軍の飛行場の中を案内してもらうことになったのだ。

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