京、友達が出来る06
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雑賀の行いによって驚いて怒気を消失した京は、突如として崩壊した公衆トイレに意識が集中している西郷を(今ならなかった事に出来るかしら)などと思い、気づかれない様にゆっくりと踵を上げ西郷を立たすと、素早く掴んでいた胸倉から手を放し、静かにその場から立ち去ろうとするが………頭に止まっていた彩凰が「ピィーー」(私もあそぶぅー)と茂みに隠れている雑賀の元へ飛んで行く。
「サイちゃん待ってーーそっちに行ったらダメよー」
京は茂みに隠れる雑賀に「ピィーピィーピィー」(私も打ちたい。私も遊ぶぅー)と突く彩凰を捕まえると、雑賀がイケオジ感をだしてサムズアップしてきた、此処で京は雑賀に助けられた事を理解する。
京の周りにいる、世界で最強にして最悪な、赤き軍団、赤き鬼神、血の悪魔、血の暴風、赤いイナゴ……多くの二つ名で呼ばれる不死の者たちとの立ち合いなら問題なくても、一般人である少年に拳で貫こうとしたのだ。
一線を超えるのを雑賀によって救われた事に京は感謝するが。
「…雑賀のおじ様ありがとうございます………ですけど、そのイケオジ感出されると少し…イラッとしますね」
「………………姫様…そ・そ・そんなご無体なことを」
京から強烈なボディーブロー食らった雑賀がその場でorzと崩れ落ちるのをよそに、この場から静かに身を隠して、シャーリィに素直に謝り(少年達とは二度と会わない)と考えた京だが、彩凰を声を発して追いかけたことで少年達から注目を浴びてしまう。
「……きょ…京。何なの急に現れたそのへ…」
怯えながらも黒田は口を開いたが最後まで言い切れずに口を噤む。黒田は正しい判断をしたと言える。もし彩凰など言ったものなら、間違いなく少年達はその場で消し炭になっていた。
小学生ながらも軍師を目指している黒田は日頃から多くの情報に接しているが、将軍家の情報は基本秘匿にされていて、なんのコネも無い小学生の黒田が得ることは不可能だが、過去の文献には僅かながらも三鬼や彩凰が書かれた物があり”七色に輝く白銀の彩凰様は小さなお姿で、我々の前に顕現された”と書かれた一文を思い出し、噂話でしか無いが吉祥城には姫御殿があると言われている。二つの事を繋ぎ合わせて眼前で彩凰と戯れる京を見る。
(⋯俺はとんでもない勘違いをしていたのか)突如恐怖に襲われ顔面は蒼白になり足が勝手に震えだす。西郷、沖田、斎藤も僅か30分に満たない間に次々に起きた出来事が処理できずに、ただ京を見つめ慄いていた。
京は⋯⋯フーちゃんこと不動明王に再度すがっている。
『⋯フーちゃん。この状態はどうしたらいいのかしら』
『京は神頼みではなく僕頼みだね』
『またそんな意地悪するの。ねえどうしたらいいと思うの』
『⋯⋯流石に僕もお手上げかな』
『そんなぁ〜⋯サイちゃんならどうするの』
『ピィーー』(バンバンしてあそぶぅー)
彩凰の一言で京は何か素晴らし事でも閃いた様に瞳を輝かせて「⋯そんなぁーそんなぁー」と嘆く、使い物にならなくなった雑賀のロケットランチャーに手を伸ばすが、フーちゃんこと不動明王が京を止めるように言う。
『京ダメだからね。ロケット弾をはなって上書きしようなんて思ったら。間違えなく引き返せなくなって京の夢は叶わなくなるよ』
京の夢とは世界征服か、母親の実家を継いで女皇となて自堕落な生活をすることか、それとも全宇宙の覇者か⋯其のうちの一つでも望めば晴信とアーヤにとっては正に鴨ネギである、両手を上げて大喜びするだろう。だが京はその何れかではなく、ただ好きな人と結婚し普通の生活を望んでいた。
(ならどうっしろって言うのよ⋯サイちゃんと遊んだら引き返せないって言うのに、フーちゃんは頼れないし雑賀のおじ様は⋯無理よね)袋小路から抜け出そうと京は珍しく頭を回転させる。自分の知識と記憶の中から最適解を探る為に思考をフル回転させ、ついに解決策を見つける。
それはエーブィから教えられシャーリィと共に磨き上げた必殺奥義⋯女神の微笑みver京。全ての事を笑って誤魔化して無っかた事にしてしまう都合の良い⋯⋯いいや最強の奥義を身内以外で初めて緊張しながらも実行に移す。
体の緊張を解すために軽く柔軟をして、集中するために目を閉じて息を整え終わると少年達へ春風満面の笑みを見せ、左手で彩凰を抱きながら一回転して見せた。
恐怖で足がすくみ動けない沖田に斎藤。西郷は⋯怯えながらも次は何があるのかと期待する様子を見せ。少年達の中で唯一真実にたどり着いた黒田は、恐怖のあまり倒れそうになりながらも(どうか早く無事に解放してくれ)と願い、少年達はそれぞれの思いの中で京の一挙手一投足に注視していると、いきなり柔軟を始めた京を見て頭の中が「????????????」で埋め尽くされると微笑みを向けてきた。
少年達が京の清らかな微笑みを見た瞬間、恐怖という黒雲に覆われていた心に光がさし、優美に右足を軸に回る様を見ると光風が吹き渡り黒雲を晴らし、恐怖の原因の記憶も黒雲と共に消えていた。
京は少年達の表情の変化から上手くいったと判断し心の中で(やったわ)とガッツポーズをとるも、この場から早く立ち去ろうと作り笑顔で言う。
「それでは皆さん、京は此れにて失礼しますね」
唯一京の真相にたどり着いた黒田だが、その真相は黒雲と共に消え去ったが本能が訴えてくる(京とはこれ以上関わるな)と。京が早くこの場から立ち去って欲しい黒田は作り笑顔でこたえる。
「ああそうだな、そうした方が良い」
二人の利害が一致したと安堵する黒田。本心は走って立ち去りたい京だが不自然に為らないように、さりげなく踵を返す⋯ここで京が少年達と別れる事ができれば其々が別の運命を歩み以後交わることはなかったが、運命は自分で切り開くと言わんばかりに西郷が動き出す。
目を輝かせながら京のもとに駆け寄り、京の右手を両手で握り感激したように口を開いた。
「京。お前すごいな」
「⋯え」
突然の西郷の行動に京は理解できず、鳩が豆鉄砲を食らった顔で西郷を見るが、そんな京の様子など関係なく興奮した思いを吐き出すように話を続ける。
「アニメとかでよく怒った母ちゃんの後ろに炎が吹き出すけど、あれ本当に出来るんだな、ビックリしたは。これからは母ちゃんを怒らせないようしないとな」と言い終わると無邪気にニッカと笑う。
(ドックン)西郷に笑顔を向けられて京は心が動いたのを感じた。自分の意思とは無関係に頬がわずかに赤みを増すの感じる。そんな心の変化を察したかは分からないが彩凰が「ピィ」と京の顔を見ると「ピィーーー」と鳴きながら京の左手からのがれ西郷の頭の上に止まった。
「サイちゃんだめよ。戻ってきて」
自分より背が高い西郷の頭の上に止まった彩凰を捕まえる為に手を伸ばすが、届かないのでピュンピュンとはねて捕まえようとするも、西郷は体をのけ反らせそれを躱し、頭に止まる彩凰を両手で優しく捕まえると胸元で抱き直し彩凰を撫でる。西郷を受け入れたふうに彩凰は嬉しそうに「ピィーピィー」囀る。
「この鳥可愛いなぁ。名前はなんて言うんだ」
(⋯信じられない。サイちゃんが普通の人に懐くなて)彩凰の様子に戸惑いを隠せない京の視界に沖田と斎藤が入ってきた。
「西郷だけズルいぞ。俺にも抱かせろよ」
「京ちゃん。可愛い鳥だね僕も触っていいかな」
二人が彩凰に触れようと手を伸ばすと、嫌がるように彩凰は二人の手を突く。
「いたい、いたい。京ちゃん僕は嫌われているみたい」と残念そう肩を落とす沖田。
「いたい、いたい、いたい。何で西郷だけなんだよ」と少し負てくれたそう言う斎藤。
黒田に目を向けると驚いたように西郷を見ていた。
此処にいる全員を受け入れたならまだ分かるが、西郷だけ何故受け入れたのか分からず京は彩凰へ尋ねる。
「⋯サイちゃんなんで西郷くんだけなの」
「ピィー」
「ないしょって。サイちゃんヒドくない」
二人?一人と一匹の会話を近くで聞いていた西郷が話に入ってくる。
「サイちゃんって言うんだな。可愛い名前だな」彩凰を撫でながら西郷が京を見る。
「けどお前すごいな。サイちゃんとも喋れるんだな」
(⋯え。そうよね普通は鳥とは喋れないないわ。京も喋れないもの⋯⋯けどサイちゃんは鳥?⋯⋯⋯やだ⋯完全に忘れてたわ、違うわサイちゃん竜じゃない。なら問題ないわね竜は喋るものよ本にも書いてあるわ。普通のことよ、京が変な子じゃないと証明しないと)
京は自分が普通の子だと言い張るために、とんでもない爆弾を投下しようとする。
「西郷くん。聞いて京は鳥とはしゃ⋯⋯⋯」と釈明しようとしたが、西郷はすでに京には関心が無く彩凰と会話?していた。
「サイちゃんは何で俺に懐いてくれたんですか〜」
「ピィーーー」
「そうですか~俺がカッコいいからですか〜」
「ピィー?」
ゆるやかな時間が過ぎる中、公園の入口から西郷を呼ぶ少年の声が聞こえてくる。その声は段々と大きくなり、今は声の大きさで近くにいることが分かるが少年の姿は認識出来ない。霊能からマーを操る事ができる何でもありの京ですら認識できないのだ。京は狼狽えながらも口を開く。
「なぁ何がおきているの⋯一体どうなっているの」
一人狼狽える京を見て少年達は”そんな反応になるよな”とも言いたげな表情を向けてくるが、どうしたら良いか分からない以上、京はただ少年達を見るしか無い。
先程まで沖田や黒田の顔あたりでしていた声が、今は地面あたりで聞こえてくるが、その声が凄く落ち込んでいるようだ。
「⋯いいんだ。どうせ俺なんか、俺なんか、俺なんかぁあーーー」最後には泣き出してしまった。
「⋯え?どうして泣き始めたの?⋯ど⋯どうなってるのよ?も⋯もしかして京がなかしたの?どーぉしたらぁーいいーのよーーー」
アタフタする京に沖田が教えてくれる。
「京ちゃん落ち着いて。まずは其処を見てみて」と沖田は斎藤が屈み、何も無い所に両手を沿わしている場所を指差す。
「落ち着いて斎藤が手を置いているあたりを集中して見てごらん」
京は沖田に言われる通りに意識を集中して見てみると靄の様な物が見え始め、少しづつその存在が認識できるようになってきた。初めは輪郭がぼやけていたが今はしっかりと見る事ができる。そこにはいじけて膝を抱えて座る少年がいた。
「やったわ。京にもみえたわ。ありがとう沖田くん」
喜びのあまり沖田に抱きつく京だか、沖田は顔を真っ赤にして意識が飛んでしまった。
「沖田くん。沖田くん。沖田くん。しっかりして沖田くん」
京が心配して沖田に声をかけるが、斎藤が笑いながら言ってくる。
「京ちゃん。沖田はほっといていいから。けど凄いね京ちゃんは、俺なんか弥助と幼稚園から一緒だけど、見えるの小学校に入ってからだもんな」
斎藤の話を聞いていた、弥助と呼ばれた少年は急いで立ち上がり京の右手を両手でつかみ嬉し泣きしながら京に感謝を伝える。
「君は僕がみえているんだね嬉しいよ。ありがとう。この感動を君にどう伝えたら良いんだろ。こんなにも早く認識してもらえるなんて。母さん以来はじめてだよ」
「⋯⋯⋯⋯そ、そうなのね⋯こちらこそ⋯ありがとう?」
対応に困る京に西郷が弥助の肩を組み紹介してくれる。
「こいつは猿飛弥助。こいつは凄いぞ、俺達の秘密兵器で何でも出来るからな”隠密”て呼ばれてる。で俺達五人で全国取るんだ」
猿飛弥助の事を少し補足すると、彼は生まれながらに無自覚でマー粒子を体の周りに展開していて、多くの光を吸収し乱反射させている。真性のステルス体質の持ち主である。
この公園には京以外にも弥助の存在に驚愕する者がいた。雑賀と根来衆だ。京がまだ公園にいる間は侵入規制は解いても、誰もが簡単に入ってもらうと警護に支障を来す恐れがあるいじょう、公園周辺には三ツ者(代々望月千代女の名を継承する、15代現頭首が率いる忍び衆)が展開されていた。ある者は突然産気づいた妊婦、ある者は突然吐血する青年や女性、ある者は道に迷ったお婆さん、ある者はウンコ座りするヤクザ、ある者はパンを咥えて走る女子校⋯⋯あらゆる手段を講じて妨害していたのだが。
その網を安々と抜ける弥助が雑賀の眼の前の現れたのだ。雑賀は初めは驚愕するも、今は獲物を狙う肉食獣のように弥助をみていた。
話はかなり脱線してしまったが西郷が弥助の顔を見て尋ねる。
「おまえ、俺になんか用事があったんだよな」
「そうだよ。大変なんだよ。麟鳳の奴らがいきなり攻め込んで来たんだ」
今迄で京を囲む輪から距離を置いていた黒田が怒気を込めて言う
「今日は休戦日なのに、なんて奴らだ」
沖田に斎藤も思いを口に出す。
「あいつら、自分らが特別だなんて言いやがるからな。ムカつく」
「こっちがチクらないと思って、やりたいほうだいしやがる」
麟鳳の生徒である京は肩身の狭い思いで聞きながらも、このドサクサに紛れて身を隠そうとするが、西郷に腕を強く捕まれて体を引っ張られる。
「え?なんで」
「京。お前には何か色々と嫌な思いをさせたみたいだからよ、詫びになんないかもしれないが俺達の縄張りに招待してやるよ」
「⋯なんか⋯大変そうだし京は遠慮したいのだけど」
そんな京の願いなど無視するように西郷は少年達に檄を飛ばす。
「ここで文句を言っていても仕方ない。取り敢えず急いでむかうぞ」
「ピィーーーー」と彩凰は面白そうだと鳴き、京は⋯⋯。
「なんでよぉーーーーーーーーー」と伝わらな思いに嘆きながら西郷に引っ張られて行く。
◇凰居府 国会議事堂◇
京が西郷に引っ張れる中。
国会では党首どうしの激論が行われるなか、急遽首相と全閣僚が退席する尋常ではない事態に混乱し、野党だけでなく与党からも激しいヤジが飛んでいた。
国営放送も国会中継を中断しコメンテーターが勝手な憶測を話し。ワイドショーも各局の主張のもとで好き放題話している。
ネットニュースでもトップニュースに上げられ、株式市場も一時過去最高下げ幅を記録した。混乱は日本国内に留まらず、海外にも波及していく。
ある国の大統領は寝入る所を突如と起こされ。ある国の首相は普段より早く起こされ、各国代表は予定を急遽変更し、日本で何が起こっているのか情報を集めるように指示を飛ばし、某国書記長が外遊の日程を確認しなが薄笑いを浮かべていた。
京がついた一つの嘘が世界を混乱の渦に陥れる
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ここまで毎日更新してきましたが、書くのが遅くて⋯変則更新になります。




