クエスト①迷子の猫探し
“おっちゃん”からの依頼は次の3つだった。
・迷子の猫探し(大工の若頭タク)
・新作スイーツ(洋菓子店のサナエ)
・金色の毛糸を見つけて(手芸屋のミチ)
何かと思えば、なんだこのF級クエストみたいな依頼たちは。最初に大きな政治の話をされたから、一気に拍子抜けしてしまった。
状況をうまく飲み込めなかったが、無下にすることもできないので了承しこの場は終わった。
さて、3つのクエスト、どれから手をつけよう。
(まあ、一つずつだな……)
えーっとなになに、大工の若頭のタクさん。
《うちの猫が迷子になっちまった。模様は両目の目元に黒斑があるのが目印だ。見つけてくれたら、お礼に金色のいいものをあげるぜ》
ふぅーーー。いろいろとツッコみたい気持ちを抑え込む。クエストを受注してしまったからには仕方がない。
それに、お礼の金色のものが3つ目の金色の毛糸だったら、数珠繋ぎで案外すんなり終わりそうだし。
まずは、と。スマホを取り出し渚にTEL。ワンコール待たずに繋がった。
「何かをお探しですか」
(話が早い! 早過ぎて怖い! どこかでみてるのか?)
「目元に黒斑がある猫を探していて」
「ああ、そんな猫なら、よく見ますよ。確かこの時間は小学校の校舎裏にいるはずです」
情報網がえぐい。というか、猫までストーキングしているとは。もはや渚がいれば世の中の犯罪を未然に防げそうである。まあストーキングがそもそも軽犯罪なんだけど。
「たまたまですよ。倫也くんのサッカーをしている姿を見ようと張り付いていたら見かけて。珍しい柄だったので覚えていただけです」
まあ、そういうこともあるか。渚が言うとたまたまに聞こえないところが恐ろしい。
「ありがとう、行ってみるよ」
電話を切り、学校へと向かう。南門から校舎の裏手へと回る。物陰からひっそりと声がする。
「こいつをジャイアントパンダ育てあげて、大金持ちになるんだ」
「ちょっと、そんなにカルパスあげたらお腹壊しちゃうよ」
「にゃー」
会話の主は、冴と芽依である。両目の目元に大きな黒斑がある猫は、嬉しそうにむしゃむしゃとカルパスを食べている。良い子のみんなは真似しないでね。
「にゃー」
14時17分、確保。
さっそく商店街まで赴き、大工の若頭タクさんに会いにいく。
「ありがとう、お嬢ちゃん。助かったよ。これ、お礼だ。遠慮なく受け取ってくれ」
大工の若頭タクさんが差し出したのは、金色の腕輪だった。毛糸じゃないんかい。
ーークエストは続く。




