商店街会長
【第二幕:ハロウィン編】
「会わせたい人がいるの」と言って楓が訪ねてきた。父親に彼を紹介する時みたいな文言だなと思った。しばし見上げて登場を待つ。
「いやぁ泉さん、こんにちは」
どこかから声がする。
「ここです。ここ」
目線を下すと、正面には小さなおじさんがいた。身長は子どもの俺とそう変わらないサイズ。見上げていたから全く気がつかなかった。
「駄菓子フェスにも来てくれていたんだけど、泉は当日走り回ってたから」
「えっと……どちら様?」
「商店街会長の……荻野さんよ」
(商店街会長!?!?)
「萩野です」
「萩野さんじゃねーか。なんで名前わかんねえんだよ」
「だって昔からの馴染みで、いつも“おっちゃん”って呼んでるから」
楓は子どもみたいに頬を膨らませる。
「それで、今日はどうされました?」
「最近この地域でブイブイ言わしている生意気な奴がいると聞いてしめに来たんだって」
「えっ!!!」
「っていうのは冗談で」
「おい」
「なんかね、この前の駄菓子フェスが思った以上に好評だったみたいで。地域の子どもたちと一緒になって作るイベントを続けていきたいそうよ」
子育て支援に独自の教育体系。地方創生にはまず若い人を集めないといけないもんな。どこも必死だ。
そう考えるとこれまでやってきたことは、対外向けのアピールにはもってこいだもんな。
駄菓子フェスでは小学生に準備も運営も手伝ってもらったし、PuPuの幼児ルームは育児に勤しむ親たちのコミュニティスペースとなっている。ナレッジは着実に溜まりつつある。やっぱり子どもたちと直にパイプを持ってるのってめちゃくちゃ強いな。
“おっちゃん”が口を開く。
「うちの若い連中も町おこしするぞとやる気になっておりまして。もしよろしければ町長さんや県議員さんともお繋ぎしますんで」
なるほど。ただの好々爺というわけでもなさそうだ。商売を続けていけばいずれはぶつかると思っていたが、ついに政治が関わってくるか。
「そのためにも3つほどお力をお貸しいただきたい」
“おっちゃん”はそう言って深々と頭を下げた。




