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20話 防壁

マルスは村に帰って来てから

何度か森の中を調査していた。だがこれと言って成果は上がっていない。

「ガレイスさん、段々魔物が増えてきていますね。」

「そうだな魔物の種類も多くなってきているしな。防衛に専念したほうが無難だな。」

「でも防衛だけではスタンビードが起きたときに被害が大きくなりますし、魔物が減ればスタンビード自体が起こらない可能性もあります。」

「んーーー、そうだとしても今の戦力では防衛に専念するしかないだろう。」

「もっと強くならないといけませんね。それと迷宮を早く見つけないといけません。」

「マルス村長、その迷宮なんだが魔物を生み出すのが迷宮というのは俺も正解だと思うがそれだけなのか。」

「エッ、レギウスさんが迷宮から魔物が生まれると言っていましたからそうではないんですか。」

「いや、迷宮から魔物が生まれるのは間違いはない。だがそれだけだと魔物の数が多すぎるだろう。他に魔物が生まれる、もしくは現れるところがあるんではないかと思ってな。」

「迷宮が何個もあると言う事ですか。」

「そう考えるのが一番だと思うぞ。一つの迷宮ではこんなに魔物が外に溢れる事はないだろう。複数の迷宮が存在しているんだろうな。」

「そうなるとますます迷宮探索が難しくなりますね。森全体で複数の迷宮なんて対応出来ませんね。」

「そうだ守る事しか出来ないだろうな。スタンビードを耐えれる防衛力を持たすことが一番だと思うぞ。」

「村の防衛としてはやはり防壁でしょうか。」

「防壁だけ作ってもダメだろうな、数千にも及ぶ魔物が来たら、いくら防壁があっても中に入り込まれる戦えない者はたとえ数匹の魔物でその村は全滅する。」

「村人すべてが戦えるようにしないとダメだと言う事ですか。」

「そうだな防壁を作り、魔物と戦える者達で守る。魔物の発生源が一か所であったならばそこを潰せばいいが、数か所あればすべて潰さないと魔物を抑える事は出来ない。何処にあるかも分かっていないからな。」

「そうですね、今は防衛力を上げるようにします。ですが森の探索は続けます。少しでも魔物の発生源を特定したいですからね。」

「そこは協力するぞ、まぁそのぐらいしか協力できんしな。ガハハハハハ。」


マルスは自分の村の防衛を考えていた。防壁を作る事は騎士もいる今なら出来る。だが資材が無いのである。防壁の材料となるレンガが無いのだ。後、建築の専門知識もない。高い防壁を作成するには建築の知識が必要なのだ。マルスはとりあえずはレギウスに相談することにした。


「レギウスさん、相談があるんですがいいですか。」

「どうした村長。」

「あのですね村の防衛力を上げるために防壁を作りたいのですが、レンガと専門家がいないんです。」

「村長、そんな事かお前たちは魔法を使えるじゃろう。魔法で防壁を作ればいいではないか。」

「魔法で防壁ですか無理ですよ。」

「そんなことはないぞ一人では無理でも何人かでやれば出来るぞ。」

「村長、ここで村長が出来る防壁を作ってくれるか。」

「土の魔法で防壁を作るんですよね。」

「そうじゃな、土を固めて強度を上げるんじゃな。魔力を注ぎ込めばそれだけ強度が上がる筈じゃな。」


マルスは壁をイメージしながら土魔法を使った。すると縦横2メートル、厚さ50センチの土の板が出来上がった。その周りは土が無くなり窪地になっていた。

レギウスはマルスの作った壁を剣で強度を確かめたりしている。


「どうですかレギウスさん。」

「中々良い出来じゃぞ。これなら魔物の突撃にも耐えられるじゃろう。」

「でもこんな小さな壁じゃどうにもなりませんよ。」

「そうじゃな、だからこれを繋げるんじゃな。」

「繋がるんですか」

「よいかこの壁は今は建てる物として村長は作ったな。これを寝かせると安定するじゃろう。これを積み上げていけば良いじゃ。もっと安定させるのであれば寝かせた壁の間に建てた壁を挟んで作れば強度もあがるじゃろうな。」

「物凄く時間が掛りそうですね。」

「村長はこの防壁を一日どのくらい作れる。」

「そうですね、多分ですが2,300は行けると思います。」

「一人一日200個として子供たちと騎士たちで一日5000個は作れるじゃろう。最初に作る者が一番天辺に来るように一度作った物の下に壁を作っていくのじゃ。そうすれば動かすこともしないで済むじゃろう。」

「そんなことが出来るんですか。」

「出来るぞ以前はそのやり方で建築を行なっていたのじゃな。だが最初はすべて村長がやらないといけないがな、魔力の調整と形を作るのは一人でやらなければいけないんじゃな。」

「た、大変そうですね。」

「物凄く大変じゃな。だが一度作ってしまえば同じものを作るのは簡単じゃ、他の者も出来るようになる同じ場所にコピーを作るようなものだな、物が目の前にあるのだから同じに作る事は出来るようになるが魔力量が同じにならないと作れないのだな。だから二人一組にして作らせるようにすれば良いじゃろう。一度やってみてはどうかな。」

「みんなで一度やってみます。レギウスさん壁を寝かせて使うのと縦に使うのを組み合わせると言っていましたが寝かせた壁を二つにしてその間に立てた壁を柱のようにしても大丈夫ですか。」

「おーその方が強度は上がるじゃろう。」


マルスは土魔法を使える者達を集めて防壁の説明をする。防壁造りをするために土が窪むことを利用して防壁の前に堀にすることにした。村の者達は村の外で防壁造りの訓練をするようになった。その間にマルスは村を囲む防壁の基礎を作るために頑張っていた。今の西13村は500メートル四方で囲える。農地の一部は入らないがスタンビード対策の防壁の為、マルスは一辺が300メートルにして防壁を作る事にした。完全に防衛するには一辺が500メートルでは人が足りないのである。奴隷が増えてはいるが戦力としては考えられない。あくまでスタンビードの時に役立てるために出入口を4か所造り村と農地の往来をしやすくすることにした。将来的には堀に水を引込み農地の水やりを楽にしたいと思っている。

まずはやってみる事にした。万一失敗しても何かに使えるだろうと簡単に考えるようにしたのだ。失敗しても作り直せばいいだけである。マルスは物事を真面目に考えすぎるとレギウスに言われたからだ。


マルスは必死であった。残された子供たちの事、突然騎士爵になった事等。普通ではありえないことがいま自分の周りで起こっている。すべてはスタンビードで村が壊滅したことが原因である。


村を中心とした一辺が約300メートルの四角形の防壁を作っていく。一部農地や家などがあったが取り壊し防壁と堀の位置を確定した。防壁が完成すれば夜は防壁内で安心して眠る事が出来るようになるのだ。

マルスは一人気合が入っていた。

黙々と防壁の天辺部分、(今は基礎部分)を作っていく。強度を確かめながら堀の幅を計算しながら作っている為に最初の作業は5日かかってしまった。一番の基本作業の為にマルスは慎重に作業したせいであった。

マルスの作業が完了してからは早かった。騎士と子供たちの訓練の成果が出ていた。二人一組で防壁を作っていく。一つできるごとに防壁が高くなっていくのである。

マルスは防壁の上も十分なスペースを取るために4.5メートルの幅になった。寝かせた防壁2つと立てた防壁の厚さ分50センチで4.5メートルである。


この防壁作業は最優先で行なわれた。魔物の襲来がいつ来るのかが分からないために最優先としたのだ。

そのために朝から晩まで魔法の使える者達が総出で行なった。2か月で高さ9メートルまで来ていた。予定は10メートルの防壁である。ほぼ完成を目の前にしていた。出入口の門は注文してある為にまだ届いていないが数日中にこの村に騎士たちが運んでくる予定になっている。


「やっと形になりましたね。」

「マルス村長、上出来だぞ。」

「デリックさん、レギウスさんありがとうございます。」


マルス、デリット、レギウスの3人は村の外から防壁を眺めていた。自分たちが一から造り上げた物が誇らしかったのである。西13村にいるみんなが防壁を見て誇らしい気持になっていた。



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