奇妙な目覚め
未熟な部分が多いですが、関心持っていただけたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
気が付くと
口の中が何か鉄臭く不愉快な感覚でいっぱいだった。
倒れた時の衝撃で、口の中が切れたんだと分かるのに数秒ほど。
体中痛い。
慌てて腕のライフサポートバンドを確認すると、最後に覚えている時間よりだいぶ経過していることに驚いた。
47時間も倒れていたなんて、ちょっと信じられない。
「ライフサポートバンドの故障か?」
このバンドは作業時のサポートもするため、映像記録や自己健康チェックまでお手の物の優れもの
だが今は傷だらけで映るのは時間帯だけ。
急いで近くの操作端末を探して見るが、駄目だ。
パチパチと奥から音が微かに聞こえるだけで完全に画面は真っ黒。
未だにクリヤにならない頭の記憶とあっちこっち損傷している船内活動服の様子を見るとこうなる。
俺の名は渋川シュン、
第2級整備技術者で3年以上をもここ、宇宙構造物建造船、宇宙蜘蛛で働いている
筈だが、何故か記憶が曖昧だ。
「さて、どうしようかな」
現状を整理しよう。
何かが起こった。
そう何か《..》が
最後に覚えているのは、船体の衝撃だった。
現在、周りは静寂その物。
俺自身の怪我や近くの端末の損傷。
なのに注意や案内アラームが一つも鳴らない。
アラームセンサーの故障かと思えばそれもあり得るが
地上ならともかく、ここは宇宙船内だ。
何か内部で正常動作しない物があれば確認のためにドローンが
見に来たり既に直したりしたはず。
おかしい
俺は47時間も船内作業をさぼって罰点どころか懲罰もののすごく大変な状況のはずだが、あまり
慌てて無いのもだ。
あ、こいつらのお陰かな。
足元を見る
5つの死体が転がっている。
「事故? ヤバいな、こりゃ」
死体を見るのは久しぶりだった。
大体は行方不明だったりする過酷な労働環境の作業者の死亡に対し
まっくろに焦げている死体はある意味新鮮だ。
同僚への憐みや、そこらへんの人情らしきものが宇宙であまり
役に立つことは
いや、あるにはあるが、こいつらには何故か全然そんな感情は湧かなかった
理由はわからないがだ。
とりあえず所持品を漁る
「えっと、ライフサポートバンドやネックレスはっと」
このクモのなかにいる人間は皆着用が義務付けられている
ライフサポートバンドには非常時のため、個人識別情報が記録されている。
もちろん、プライベートな部分は開示されないが、怪我をした時の治療に必要な情報とかも要るので
意識がなかったりする者に対しては勝手にある程度閲覧出来る。
まあ、逃げ場のないこの宇宙蜘蛛の中に送り込まれた時点で高尚なプライベート維持なんかに構っていられるのは、こく僅かの上位階級だけだしな。
因みに俺みたいな下級作業者は彼らとはまったくと言っていいほど、接点がない。
正に地球古代国家の平民と貴族だ。
うん、無いな。
異常なほどに死体からなんの情報も得られなかった。
バンドからの情報は皆無、腕ごとぶっ飛んだ場合のための予備の情報端末のハズのネックレスも
見当たらないしな。
体のどこかに埋め込まれているかも知れない生体チップは俺じゃアクセス権限は無いし
そもそもほとけさんの体をこれ以上べたべた触るのもな。
所属、人種?、俺との関連性? などなどまったく不明。
死因は感電かな。
じゃ近くにいた俺は何で無事だ?
事故かなと最初思った俺だがすぐ自分の推測の間違いに気づいた。
「こいつら、武装していやがる、なんだテロリスト集団か?」
死体からやや離れた所に武器が転がっていたために気づくに時間がかかった。
ちなみに船内で武装が許されるのはもっぱらの安全維持局だけ。
しかも非常時のみだ。
「うわ、見たことないやつじゃん!! 」
ライフルにナイフ、明らかに俺の給料よりも高そうなやつだから上手くどっかに売れないかと
思ったりするのは貧しいい整備士のサガかな。
船内安全維持局の連中の携帯する物よりも本格的な物騒なやつだった。
エネルギーを収束して放つタイプで対人用にしてはかなりの威力がありそうだ。
こちらも大体に破損しているが、状態のいいものを一つ手に取って見た。
しっくりくる。
上手く言えないが少し体が熱っぽく、かすかに震える感覚に苛まれながら
立ってみた。
ライフサポートバンドの状態がいまいちなところはあるが移動して見よう。
出来れば誰かに会ってこの現場のことを報告して俺も医務室に行きたい。
大体の方向はわかったため、まずそちらへ移動を開始した。
よし、テロリストに出会ったらライフルで威嚇してやる。
歩いて数十分ぐらい? バンドで時間をいちいち確認はしていないが結構移動した。
だが誰にも会ってないし、生きている端末が無い。
これはただ事ではないな。
辛うじてなにものにも優先するようになっている重力発生装置や空調、照明のお陰で今すぐどうにかなったりはしないんだが……。
ちなみに大昔の宇宙探査初期は、船内重力や照明はあまり重視されなかったと聞く。
映画とかに出る無重力環境でライト持って照らしたりしながら宇宙探査するやつだ。
時代が変わり宇宙空間の闇と無重力が、人間にいかに悪影響を及ぼすかが明らかになった。
それはもう、何かのゴシップ記事になり得そうなレベルの荒唐無稽な事件さえも多発した。
割愛するが人間という生物には酸素以外にも重力と光というのが必要不可欠なもんらしい。
急に目の前の壁が光だした。
何かのトラブル?、いや何時ものことじゃないか。
思ったより俺は動揺しているらしい。
この船、宇宙蜘蛛の中では常に
重力と酸素、そして照度が確保出来るようになっている。
すべては船内を構成する素材に含まれているナノマシンのお陰だ。
この船が宇宙蜘蛛と呼ばれる理由は船体の形や変な命名が好きなお偉いさんのせいではない。
実際、生物のように生きていてやってる仕事の内容が蜘蛛にそっくりだからだ。
小っちゃい蜘蛛がたんぱく質で構成される糸を吐くなら
こっちはエネルギの粒子だけとね。
兎に角
この船の中で壁が急に光ったりすることは、そこまで珍しいことではない。
光が収まると、そこには通路が出来ていた。
とりあえず
入ってみることにした。
すると10メートルくらい下から人々の声が聞こえた。
「やはり、システムが復旧したんだ」
「やった。助かったのね」
「……」
5人くらいのチームらしい。
俺が通路から出るとそこは整備ドックぐらいの広さの空間だった。
ざっと学校の建物一棟くらい?
下まで飛び降りるわけにも行かず戸惑っていたら、向こうから階段からこっちに
近づいて来た。
男性が3人と、女性1人、残り一人はパワードスーツを着込んでいて性別が分からん。
こいつ、なんで船内でパワードスーツを着込んでいる?
「システムはどこまで復旧したのかね?」
「安全な場所に、案内して」
「それよりセンターとの連絡だろう?」
「あんた、安全維持局だろ?」
「……」
質問の嵐。
「俺の名は渋川シュン、整備士だが……」
曖昧な記憶を自分なりに販推してみんなに説明した。
「なんだ、武装してるからてっきり安全維持局かと」
「じゃ、あんたもうちらの一緒なのか?」
同じ服装の男2人は余程がっかりしたらしく顔をしかめた。
「システムは? 通信はまだダメってこと?」
女性1人は完全に泣き面
「どういうことだよ!!!」
一番年長者のおっさんはいきなり怒り出した。
「……」
俺にあたってもしょうがないだろうに。
あ、そうだ。あれを確かめなくては。
「えっと、俺も質問があるんだが
船内システムは、何時からこの調子なんですか?」
一番年長者のおっさんがいきなり怒り出した。
なんかまずいこと聞いたのかな。
みんなが急に黙り込んだ。
うん?
よく見るとみんなかなり消耗してる感じだ。
服も顔も。
気まずい沈黙のしばし後
一番年長者のおっさんが答えてくれた。
「一応、みんな違うが、私が一番長く、1っか月前だ」
え?
何?
みんな違う?
47時間前じゃないのか?
いやいやいやいや、誤差があったとしても最長で一か月はありえないだろう。
一体、どうなっているんだ。
まさか、あれか?
「わたしらは超空間跳躍事故じゃないかと思っている」
お読みいただきありがとうございます。
気になる部分がありましたら気軽にご自適、質問してください。
読んでくださる方が一人でもいたらいいなと思います。
よろしくお願いいたします。




