【102話】切り札殺し(エースキラー) 4
「うゆぅぅぅ!」
ミサキの渾身の正拳突きが紫月の腹部に炸裂!
高らかな粉砕音とともに、紫月のからだは鏡の破片になって砕け散った。
すぐに鏡の破片は紫色の炎に包まれた。
「ミヅキはわたしたちふたりの切り札。ひとりで使いこなせるものじゃないの」
炎のひとつにミユキはそう告げた。
「それから、ミサキ。〝切り札殺し殺し〟にふさわしいナイスパンチだったわ」
「あれぐらいできないと、ミヅキのパワー担当は務まらないのです」
ミサキが得意げにウサミミを立てる。
「ミユだって、以前よりスピードがあがっているのです」
「当然よ。こっちの世界に来てから、そうとう鍛錬したんですもの。まぁ、そのせいでコピー相手に苦戦することになったんだけど」
ミサキとは逆に、ミユキは肩をすくめた。
合体怪異は合体元の能力を、より強化した状態で備えることができる。
ミユキ以上のスピードとミサキ以上のパワーを兼ね備えているからこそ、ミヅキはふたりにとっての『切り札』なのだ。
「あいつ、言ってたわよね。わたしたちを厄介に思ってる怪異はたくさんいるって」
「うゆ」
「世界どころか並行世界を股に掛けた魔廻りなんですもの。咎人(犯罪者)に疎ましく思われるのも仕方ないわ」
「ミユ……」
「ま、いつか、そいつら全員つかまえてあげるけど」
不敵に笑って、ミユキは平手にこぶしを打ちつけた。
「鏡の破片はすべて燃えたし、あいつの霊力も感じられない。さ、巡回を再開しましょう」
「うゆ」
すがたを消して、ふたりは静かに業堕丘公園を立ち去るのだった。
(切り札殺し・完)
【あとがき】
ムラサキカガミ(紫鏡・紫の鏡とも)は、その言葉を二十歳まで憶えておくと不幸になる、または死ぬとされる「言葉」の都市伝説です。
紫鏡の効果を打ち消すには「白い水晶」や「ホワイトパワー」などの言葉を憶えておくとよいそうで、これらの言葉を憶えておくと逆に「幸せになれる」とも言われています。
これからもゴクハナのエピソードは投稿していく予定です。




