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異世界人の名前って大体すこし長い

ベッタベタの展開でヒロイン(?)登場。

「いや、どこだよここ!」


 ここは絶賛深い森の中。一瞬立ち尽くした俺だが、あれから体感1時間。とりあえず真っ直ぐに森の中を歩いていた。

 なぜ体感なのかといえば所持品に不具合がでたからだ。

 スマホはつながらず。それゆえ地図アプリでは位置がわからず、時計はなぜか動かなくなったため時間分からず。


 無人島でだってまともに動作する、はずだ。せめて時計くらいは。


「くっそ、歩いても歩いても緑ばっかだよ。いや、緑は目にいいっていうけどさ」


 こんなのもう独り言を呟いてないとやってられん。一人無言で1時間も見たことも来たこともない森の中を歩いてたら頭がおかしくなる。


「あのぉ」


「そもそも俺がいたのは路地だよな?なんで森にいんの。もしかして夢遊病かなんかなの?」


 それともあれだろうか。あの鏡は実はドコデモなんたら的なもので、一度原子にされた上で転送されたのだろうか。


「あ、あのぉ?すみません、聞こえてますか?」


「……まてよ?となると今の俺はかつての俺では、ない?」


 ハッと気がつく。

 そうだ、きっとこれは青い未来から来た例の……


「あのっっ!!!」


「どぅうわっ!」


 疲労からかアホな考えが頭に浮かんでいる中、耳元で聞こえた(かすかに聞こえていたような気もするが危険な幻聴かと思って無視していた)急な声に驚き、俺は尻餅を着く。

 だがこんな状況でしっかりと確かに聞こえた人の声。縋るような気持ちで声の聞こえた方を尻餅をついたまま見上げると、そこには。


「あ、良かった!わたしの声聞こえてますか?」


「お、女の子?」


 さらさらとした金の髪をした笑顔の女の子が、ふわふわと浮いているのだった。




「いやなんというか、ごめんね。森の中ずっと歩いてたから幻聴かと思って」

「あー、ありますよね。私も実家の裏で似たような状況になったことありますし」


 女の子はそっと地面に降り立つと、俺の手を取り立ち上がらせてくれた。

 続けて思わず見惚れてしまうような、流麗な動きをともなって名を告げる。


「私はエファリア。エファリア・シュドル・ラスタ・フォスです。気軽に、エファちゃんとお呼びくださいね」


 ニコリと可愛らしい笑みを浮かべるエファリア。さらさらとした金の髪。俺の肩ほどまでしかない背丈ながらも凛とした気品と、綺麗な青い瞳。

 思わず見惚れてしまったが、俺は頷き、名乗り返す。


「俺は逆鏡響也。声をかけてくれてありがとう。本気で助かった。ええと、エファリアさん?」


 そういうと、彼女はニコリとしたまま微動だにしない。


「エ、エファリアさん?」


 彼女はニコリとしたまま動かない。無言の圧を感じる。なんだろうこの圧力。


「え、えふぁちゃん?」


 気恥ずかしい。とんでもなく気恥ずかしいが、このままでは姫の救出のために首を振らなければ話が進まないRPG並に会話が進まないため、とりあえずそう返す。およそ30近いおっさんが中高生くらいの女の子にちゃん付けで会話する、事案な絵面がここに誕生してしまった。


 だが、そんな俺の心中とは対照的に、エファリアは目を輝かせて頷く。


「はい!なんでしょうキョウヤさん!」


「あの、ここはどこ?というか、さっき浮いてたのって、なに?」


「はい?妙なことをおっしゃいますね。ここは迷いの森。戦術式かくれんぼでうってつけと巷で有名なダンジョンじゃないですか。キョウヤさんもそうなのかと思ったんですが、あまりにも鬼気迫る顔で歩いてらしたのでついお声がけをしてしまいました」


ふふふと可愛らしく笑うエファリアだが。まて、今聞き慣れない言葉があったぞ!?


「戦術かくれんぼってなに?というか、ダンジョン!?」


「はい。それに、さっきのはエアシフターですよ。幼年学級でも習う初歩の初歩。所謂初級魔術ですし、というかキョウヤさん、驚きすぎです」


「まじゅつ!?」


 訳のわからない状況が加速していく。口が開いて塞がらない俺を見て、さらにおかしくなったのかくすくすと笑うエファちゃん。


 そんな彼女を見て、俺は呆然と立ち尽くすのだった。


前書きは嘘かもしれない。きっと多分、メイビー

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