17話 決着
アンドレとクレオが一騎討ちを始める。
「お前たち手を出すなよ」
「アンドレ様、御武運を」
「皆、ここは任せてくれ」
「クレオ様、御武運を」
アンドレの4連打攻撃を剣で防ぐクレオ。防戦一方だがアンドレの動きを冷静に見極めている。
「クレオ、どうしたその程度なのか。お前の怒りはその程度なのか」
「そんな煽りに乗ると思うのか。舐められた者だな」
「冷静さを失わぬか。ならばこれでどうだ」
アンドレは身体強化を行い。8連打攻撃を繰り出す。クレオは、剣で防御するが先程と違い重い一撃の数々に数発受けてしまった。
「ゴフッ。ハァハァハァ。まさかこれほどとは」
「今の俺は魔王アンドレなのだぞ。弱いと侮られていたとしたら心外だな。この薬は身体強化薬。お前に馴染み深い言葉で言ってやるならドーピング薬だ。圧倒的パワー。硬化の身体。驚異的なスピード。さぁ、どうするクレオ」
「ハァハァハァ。お前がどれほど強くなろうとも俺は決して負けるわけにはいかない。世界の平穏のために。力を貸してくれた同盟国のため」
「口だけは相変わらず達者だな。それだけでは俺には勝てんと知れ」
8連打攻撃を防ぐのでもやっとだったクレオにアンドレはその倍の16連打攻撃を繰り出した。クレオは、剣でなんとか防ごうとするが先程の倍の攻撃を前に数発防ぐのがやっとだった。
「ガハッ。ゴフッ。ハァハァハァ」
「クレオ様、アンドレー、俺が相手だ」
「や、め、ろ。て、を、だ、す、な」
「しかし、クレオ様」
「命拾いしたな。クレオに感謝するのだな小童よ」
「クレオ様はお前になんて負けない」
「だそうだぞクレオ。まさかこれで終わりなどと言うまいな」
「あ、た、り、ま、え、だ」
「息も絶え絶え、満身創痍のお前に次でトドメをさしてやろう。2度も殺すことになるとは可哀想にな」
「ハァハァハァ。こ、ん、ど、は、ま、け、な、い」
「良かろう。ならばこれでどうだ」
アンドレは力を貯めると渾身の一撃を放つ。
「(今だ)」
クレオは、待っていたのだ。相手が自分にトドメを刺すために放つ一撃をアンドレがクレオのことをよく知っているようにクレオもアンドレのことをよく知っていた。殺す時は一撃にこだわることを。闇の転移魔法でワープして、聖剣による一撃を放つ。
「クレオ、私の力を使う時よ。私の本当の真名はトツカよ」
「た、す、か、る(成程、トツカノツルギか。全くこの世界を造った神は、僕の元いた世界に馴染みのあるものばかりだな)」
アンドレの攻撃に手応えがない。
「何、どこに行った」
「こ、こ、だ、ぁ」
上から現れたクレオにより、腕を斬られる。
「ガハッ。流石だな。この俺の腕を持っていくとは。完敗だ。腕を亡くしては、攻撃の手段がない。さすが俺のことをよく見ているお前なだけはある。さぁ敵を討つがよい」
クレオはミミの薬を飲む。傷が少し癒えて、普通に話せる程度になる。
「あぁ、そうだな」
「お待ちください。確かにアンドレ様がやったことは酷いことです。ですがどうか命だけはお助けください」
額を地面に擦り付け、アンドレの命乞いをする中世的な顔立ちの邪竜族。
「よせ、ドラムス。俺のためにみっともない真似をするな」
「いいえ、みっともなくなんてありません。貴方様の命が救えるのなら」
「残念だが、俺はコイツを許すことはできない。君の命乞いは無駄になる」
「それなら、私も共に殺してください。アンドレ様が居ない世界に居場所などありませんから」
「それはできない」
「では、アンドレ様と共にここで自分で果てます」
「やめろ」
「ならアンドレ様の命だけはお救いください」
「なんて頑固な人だ。まるで母さんのようだ。そうか、成程な。わかった。なら交渉といこう」
「交渉?」
「あぁ、たとえば君が僕の慰み者になるとかね」
「!?お断りします。アンドレ様以外と寝るぐらいならここで舌を噛み切り死にます」
「ハッハッハ。全く母さんにそっくりだよ。自分の身を犠牲にしてまで父さんの仇を討つことにこだわった母さんにね」
「お前は知っていたのか?」
「義父さんが話してくれて合点が行っただけさ。母さんがどうして、お前に嫁いだのか。僕をじいじとばぁばのところに預けようとしたのか。その全てが繋がった」
「クレオよ。俺が死んだらドラムスのことを頼む。朱莉に良く似たコイツを」
「何勝手に死ぬ気でいてんの?交渉って言ったよな。アンドレを含めた忠臣全てを国外追放。酷いことをしたものたちに生きている間蔑まれながら生きろ。僕も大概甘いな。母さんと父さんの仇を許すなんて」
「許す必要はない。お前に一生恨まれることは覚悟している。俺はな。本当は、お前があの日、朱莉に連れられて、来た日に義父さんと呼んでくれた時、嬉しかったのだ。こんな俺にも家族ができたと。だが朱莉に拒絶され、歪んだ俺の心はお前に暴力を振るうことでしか行き場が無かったのだ。今更許してくれとは言わない。だが、本当にすまなかったな玲王」
「義父さん。いやアンドレ、今後一切会うことはないだろう。自分のために頭を下げてくれたもの。大事な人たちと共に新たな土地に行くが良い」
「あぁ、クレオよ。感謝する。最後の仕事がある。魔王国軍に継ぐ。戦争は終わりだ。我々は負けた。これより、この魔王領の統治者はクレオとなる。皆、武器を捨て、投稿せよ」
アンドレに最後まで仕えた魔族たちが涙を流しながら武器を捨てた。そして、そのものたちを連れて、アンドレは国外から退去。何も知らない逃げ出した民や魔族からはアンドレはクレオに討たれたと伝えられた。こうして、15年に及ぶ魔王国の内乱は治まり、新魔王にクレオが就任することとなる。
これにて本編は、完結となります。7ヶ月間、ありがとうございました。明日から終幕のエピローグを上げます。




