表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パニカル!  作者: タナカ
85/98

寒い………





――― 筆記者 西村桃子教師 ―――


『第1班、A組陣地近くの森で野営開始 

 第2〜6班、城へ一時帰還

 第7班、城を警護

 第8班、未だ城の地下倉庫を探索中

      ………以上、4月30日夕刻時点までの、各班の動向』



――― 筆記者 異世界『サラマディウム』、管理塔責任者、松岡 ―――


 4月30日正午より、荒田学園の生徒たちが擬似的な篭城戦を開始する。

 A、B組(両戦術科)、小規模戦闘。及びA組陣地間際でB組の小規模グループが野営開始

 C組(魔術科)、自陣地モンスターとの大規模戦闘、及び自軍本拠地の守備を強化

 D組(魔術科)、C,E組陣地で、D組の小規模グループが野営開始

 E組(補助科)、各クラスの陣地へ諜報部員を送る

      ………以上、4月30日夕刻時点までの、各クラスの動向     







***







「ぶえっくしゅ!! …………あー寒い」

「なんでこんなに寒いんっスかぁ?」


 洋太が特大のくしゃみをし、龍二が荷物を抱えて少しでも暖を取ろうと、ひたすら丸まっている。


「………知るか」


 俺は周囲を警戒しながら、そう生返事をした。

 無駄に広大で真っ暗な地下倉庫だったが、夜になったのが原因だろうか? 

 今は唯一周囲を照らしていたホタルのような光も消え、本当に真っ暗になっている。

 結果、1歩も動けなくなった俺たちは、しょうがないからということで野営を開始することにしたのだが………


「寒い………寒いよぉ〜!」


 とっちゃ〜、ばっちゃ〜、と何やらテンパった時の洋太みたいな声を出す中居りりか。

 ………お前ら(ようたとなかい)、精神レベルが同じなんじゃないか?


「てかお前ら、口を動かす暇があったら身体を動かせ」


 そしたら多少は温くなるぞ?

 俺と沼田は、こいつらがブルブル震えている内に、せっせと薪を拾い、食えそうな物(俺調べのキノコとか果物)を集めていた。


「「「寒いから嫌!!」」」

「………あっそ」


 まぁいい。どうせいてもあんまり役に立たないだろうから。

 ………そして、約10分後。


「よっしゃ完了」


 俺はキャンプファイヤーの用に、沼田が拾ってきた木々を組み上げた。


「洋太」

「………了解」


 ひたすら手をこすり合わせながらも、洋太は木々の所までちょこちょこと移動し、『ヴィガムディセルミア〜……』とフレアを唱えた。


 ぼっ………

 ……………………


「………あれ?」


 拾ってきた木の葉と木に一定時間、ガスバーナーぐらいの大きさの火を当てたのだが。

 ………なぜかさっぱり火がつかなかった。


「なんで?」

「………さぁ?」


 洋太の呟きに、龍二も頭をかしげる。


「しけってるのかな?」


 服の上にタオルを巻いた中居が、ちょこちょこ移動しながら集めてきた木に触る。


「……それにしても、ウンともスンともいわなかったぞ?」


 洋太が困惑気味にそう言った。


「…………あ〜」


 俺は頭に手を当てると、ふと子供の頃のことを思い出した。

 ……そうだそうだ。そうだった。


「なんだ?」

「異世界の動植物は魔力を多量に含んでいて、俺たちの世界の物より数段頑丈なことがある」

「「「え………」」」


 洋太たちの声が重なる。


「つまり」


 ぴっと拾ってきた木々を指差した。


「これじゃ火をつけるには不向きってことだ」

「「うあ〜!」」


 洋太と中居は、本日何度目かわからないうめき声と共に、がしがしと頭をかきむしった。


「………ということは、他の木々で火がつくかどうか、試さなくちゃだめってことか?」

「そういうことだな」


 ……こりゃ、火にありつけるのは相当時間かかるぞ。


「………それと、なんかおかしくないっスか?」


 龍二が震えて縮こまりながら、ぽつりと言った。


「夜になると途端に寒くなるっていうのは、まぁ砂漠とかもそうですからぎりぎり納得できるっス。

 けど桃ちゃん言ってなかったっスか? 

 『防御魔法かけてるから熱いとか寒いとかあんまり感じませんよ〜』とかなんとか」

「ああ………」


 そういや言ってたな、そんなことも。


「………今、思いっきり寒いんスけど?」

「………」

 

 龍二のその言葉が、みなに嫌な予想をさせる。


 ………もしかして。

 俺たちに防御魔法がかかってない、もしくは弱まってるのか?


「「「「「………………」」」」」


 全員無言になる。

 その間、どこから吹いてきたのか、さ〜っと冷たい風が通り過ぎた。


「………………」


 何やら、想定外のマズイ事態になったのは間違いなかった。






 

うふふふふ……私の睡眠時間もここの所マズイです。言うなれば締め切り間際の漫画家みたいな?

……いや、比べたら漫画家の人に失礼ですね。とにかく今、この話の執筆以外にも、ちょっと頑張ってます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ