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パニカル!  作者: タナカ
57/98

ジュラ●ックパーク?



 ………さて。

 怪しい人間Aは縛ったし。 

 なんか今井の叫び声が聞こえた気がするが、まぁ死にゃしないだろう、ということで無視してよろし。

 てなわけで、とりあえず桃ちゃん捜しを再開するか。

 ………再会するよ?

 ………………再会、したいなぁ。


「グルルルル………」

「……………………」


 ………ここはいつからジュラ●ックパークになった? 

 俺が行こうとしていた図書館の方から、俺と同じぐらいの身長で二足歩行の肉食恐竜がいた。

 ●●サウルスとか名前がついてそうなヤツ。

 その恐竜はこちらを認識すると、威嚇するようにうなり声をあげた。


「………おーい、恐竜ちゃーん。俺はうまくないよ〜?」


 とか言っても、恐竜に言葉が通じるわけがないのだが。

 ルミナスの剣を使えばある程度抵抗できそうだが、普通に怪我はしそうだ。それはヤだ。

 ………あ、そうだ。


「ほらほら、これなんかどう? 丸々してて美味しそうだろ?」


 俺は縛っていた怪しい人間Aを躊躇(ちゅうちょ)なく差しだそうとしたところで………


「なんでやねん!」


 パリィンッ!


「うおっ!」


 いきなり窓が割れ、そこから湊がハイキックを繰り出してきた。

 俺はバックステップしてそれを避ける。


「いくら悪者相手でも、恐竜の餌にしちゃあかんやろ!!」


 危なげなく着地した湊が、恐竜みたいにガオー、と俺に向かって吠える。


「……てか、なんでここにいる、湊」


 しかもここ、3階だぞ?

 なにゆえ3階の窓から飛んでくる。

 ……まあ、ウィンド使って飛んできたんだろうけど。


「ふっ、ウチのつっこみセンサーをなめたらあかんで! ウチは半径3km以内のボケに反応できるんや!」

「………んで、ほんとのところは?」

「忘れ物取りに来たんやけど……」


 お前もかい。


「なんや、大変なことになっとるみたいやなぁ」 

「ガアアアアアア!」


 あ。

 湊とぐだぐだやってるウチに、恐竜がしびれ切らして襲いかかってきた。


「おっと!」


 湊は背中からスキュアの杖を取り出した。


「ヴィガム、ディセルミア!」


 ゴオッ!


 バレーボールぐらいの大きさの炎が放たれる。


「ギャインッ!」


 恐竜は犬みたいな声を出しながら、火に包まれた。


「悪いけど、眠ってえな」


 湊は恐竜に杖を向けると、


「クロワシリエ、モンティコル」 


 恐竜を囲むようにして、結界を作った。 

 ………10秒もかからなかった。

 ほぼ一瞬で、恐竜は牢獄の中で火だるまになった。


「ギイヤアアアアア!」


 逃げ場を失った恐竜は、そのまま断末魔の叫びをあげる。

 真っ暗な廊下の中で、ただ苦しむ恐竜の姿だけが火でライトアップされた。


「………当然やけど、あんまりええ眺めやないな」

「やらなきゃやられるんだから、しゃーないだろ」


 俺は火に包まれ絶命していく恐竜を、冷めた目で見下ろした。


「………あかん」


 湊は杖を出すと、それを無造作に横に降る。

 すると自らが出した結界と炎が、かき消えた。


「………キ………ィ………」


 ほぼ力のなくなった恐竜が、その場に残った。


「アホだな。敵に情けなんかかけるなよ」

「………うん。わかっとる。わかっとるんやけど」


 湊は恐竜を諦めたような目で見下ろす。


「………どうしようもないねん。それだけは」

「………………あっそ」


 甘いヤツだ。

 だが………正直、この結果は予想できていた。

 湊はなぜか知らないが、誰かが死ぬのを極端に嫌う性格だからだ。


「んで、一体何なん? この事態」

「知らん」

「………まーやんもわからんの?」


 仕方なかろう。校舎入ったらいきなりこのバカにつけられたんだぞ。

 ………あ、そうだ。


「………こいつに聞くか」


 俺はにやりと笑いながら、隅の方で縛られて気絶している怪しい人間Aを見た。


「あー………あんまりひどいこと、せんといてやりーな」

「へいへい」


 俺は湊のその言葉に、生返事を返した。












「………なるほど? 学校襲撃ね」


 およそ5分後。


「ひっ、ひいいいいい!」


 そこには怯える怪しい人間Aと、


「………どこぞのヤクザかいな、まーやんは」


 俺の拷問の様子を見て、呆れ眼の湊がいた。


「こうでもしなきゃ、はかないだろ?」

「………ノーコメント」


 何をしたかは、ご想像にお任せする。

 下手したら年齢制限つきそうだからな。


「狙いはこの学園のメインコンピューターかいな。まったく、んなとこ(ねろ)うて何するつもりかいな」


 この怪しい人間Aはどうやら雇われの暗殺者らしく、詳しい事情は知らなかった。


「………とにかく、そうなると1番危険なのは図書室じゃなくて……」

「管理室やな」

「……ああ。そうと決まれば、さっさと行くぞ」


 ゴスッ!


「うっ!」

 

 俺はまた怪しい人間Aを気絶させると、管理室に向かって走り出した。






 

 



そろそろ、パニカル連載2ヶ月記念日です。

早いものですね。

………ホワイトデー? なんですかそれは。www

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