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ネームイーター  作者: 河内三比呂
第三章
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サイド 朝倉康平 4

 PM20:06 日野警察署・特別捜査本部。


「はぁーまったくあの子らやってくれたよねー」

 額に手を当てながら朝倉はあきれ果てていた。

 先日、吉澤進という青年が「白いコート」―世間では《ネームイーター》として広まってしまった―に襲われ、間一髪のところを保護されたのだ。

 その時の事情聴取で、彼がユーチューバーをしており、

 《ネームイーター》について調べていたと供述したため厳重注意をされたばかりだ。

(お叱りの後に動画投稿って、あの子あーみえて実はけっこう図太いんじゃないのー?)

 確かに危険な目に遭って、他の人に被害が出てほしくないという思いも分からなくはない。

 だが、彼らは素人だ。

 こんな動画を上げれば返って犯人を刺激してしまう可能性もある。

(こりゃ、もっかいお叱りコースかな?っていうのは、今はおいといて・・)

 吉澤進の調書をに目をやる。

 というのも、実は彼の供述から不可解な点があったのだ。

 ‐吉澤進は、通報をしていない‐

 当初、通報したのは彼自身であると思われていたのだが、実際には事件当時、

 彼は家にケータイを置き忘れたまま近くの自販機に飲み物を買いに行っていたことが分かったのだ。

 そうなると、別の誰かが通報したことになるのだが、

(それにしては色々おかしいんだよねー)

 通報があってから現場に到着するまで約20分程度。

 だが、吉澤曰く追いかけられたのは10分程度だったという。

 個人の体感なので正確性には欠けるが、現実問題として恐慌状態の人間が20分以上暗闇を全力で走れるかは疑問符がつく。

 更に、証言によれば、吉澤は恐怖でとにかく逃げる事だけに集中していたため、闇雲に道を走り逃げ回ったという。

 いくら地元民とはいえ普段ありえない状況で、正しい道を選択できるとは思えないし、事実、駆け付けたとき彼は壁の前でうずくまっていた。

 つまり、襲われた当事者ですら分からなかった場所を正確に知り、かつ時間も把握した人物が通報したことになる。

(つーことは、吉澤くんの行動を知っていた?ってなわけになるとしてー狙いはなんだろうね?)

 朝倉は必死に思考を巡らせる。これ以上被害を出してはいけない。

 手柄はもちろんほしいが、なにより自分は、警察官なのだ。



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