6-1
翌日、さっそく私はヴィンセントに付き添われ、神殿にやって来た。
「よく来たね、シャーロットちゃん」
テレンスは私を笑顔で出迎える。
「神官様、シャーリーをよろしくお願いします」
「はい、エヴァンズ公爵。どうぞお任せください」
テレンスはヴィンセントに向かって感じよく言う。ヴィンセントはこちらを振り返り振り返り、心配そうな顔で去って行った。
「それでは行こうか、シャーロットちゃん」
「はいっ」
テレンスに案内され、神殿の奥の部屋まで向かう。
テレンスはやたらと感じがよかった。
そんなに小さいうちからシスターになりたいなんて偉いねと褒め、聡明そうな顔つきをしていると褒め、さらにはエヴァンズ公爵に似て綺麗な顔をしていると褒める。私はヴィンセントと血のつながりなんてないのに。
「ここが普段シスターたちが使っている休憩室だよ。シャーロットちゃんもお仕事の合間にはここで休んでいいからね」
「わかりました!」
「それと子供用のシスター服も用意しておいたよ。はい、これを」
テレンスはそう言って小さなシスター服を手渡した。
「着替えたらさっそく神殿のお仕事をしてみようか。まずは礼拝堂で参拝客に挨拶をするのがいいかな」
「わぁ、楽しみです!」
私は元気に答える。テレンスは笑顔でうなずいた。
それからシスター服に着替え、礼拝堂に向かった。礼拝堂にやって来た人たちは、私の姿を目に留めると途端に頬を緩めて、「お手伝いをして偉いね」と褒める。
礼拝堂から出た後もテレンスは私につきっきりで神殿を案内し、色々な仕事を体験させた。仕事といってもどれも簡単なものばかり。というか、仕事ですらない遊びのようなものが多かった。
神殿で行われるイベントの招待状に絵を描いたり、すでに綺麗に磨かれた部屋の申し訳程度の掃除を任されたり。それが終わったら、神殿に保管されている宝石や絵画なんかを見せてくれた。
テレンスは嫌な奴だけれど、子供に簡単な仕事を体験させて楽しませてやろうという良心はあるのかもしれない。
「シャーロットちゃんは、エヴァンズ公爵の親戚か何かなのかな?」
神殿の奥の部屋で古くから保管されてきた絵画を見せてくれながら、テレンスは笑顔で言った。
「ううん、私は森で拾われたの」
「拾われた?」
私の言葉にテレンスは目を丸くする。
「私、二ヶ月くらい前に森の中で倒れていたの。でも、それ以前の記憶がなくて。偶然私を見つけたヴィンセント様が引き取ってくれたのよ」
「つまり……エヴァンズ公爵家とは何の関りもないと?」
にこにこしていたテレンスの顔が、急に真顔になる。




