皇子様の情報
「リーナ様、そろそろ湯船の時間です」
そのソフィアの言葉で、ようやく15時を回っている事に気がついた
夕時にヴェザイン殿下主催のパーティーがある、それまでの間に部屋の整理を済ませのんびりとお茶をすすって読書をしていた
ソフィアの入れてくれる紅茶って、本当においしいんだよね
入れ方を教えてもらいたいくらいだけれど絶対に「あなたに教えても到底理解出来ないでしょう」と罵倒される自身があるので言わないのが正解だ
「リーナ様、本日は黒のドレスでよろしいでしょうか?」
「ん? あの黒一色のやつ? 別にいいけどそれって地味に思われないかしら?」
「いえ、デザインはかわいいですから大丈夫だと思いますけど、せめてそのお姿を解いてくれさえすれば、絶世の美女となるでしょうに」
「あははは・・・」
ここで、言っておこう
彼女ソフィアには、私が変身して平凡な顔に姿を変えていることを彼女は知っている
ちょっとしたことがあり、私が会ってそうそうにすべてを暴露してしまったのだ
でも、多分それが切っ掛けとなって私とソフィアは友達、そして親友となれたのだと思う
「ヴェザイン殿下はあまり社交場にでることがないため、どのようなものが好みかなどは分かりませんでしたので、いつも通りの色しか決めようがなかったんです」
「へぇ、殿下って色恋沙汰とかもあまり聞かれないんでしょう? もしかしてすでに意中の相手がいらっしゃるんじゃないかしら?」
「どうでしょう、でも大丈夫だと思いますよ。 聞いたところによると、殿下はずいぶんとこの王妃決めを楽しみにしている様子だと王宮の侍女たちが話していましたから」
「へぇ」
そういえば、私ヴェザイン殿下の王妃になるべく来たのに彼の事を何も知らなかったわ
「ところでソフィア、悪いんだけどそのヴェザイン殿下について知っている限りでいいから教えてくれないかしら? さっきから聞いている限りでは結構情報を集めているみたいだし、人柄とかいろいろ知っているんでしょう?」
「いいですよ、ヴェザイン殿下は私が知り得た情報からするに、リーナ様に近しい人見たいですね」
「近しい人? 気が合いそうとかそういうことかしら?」
「いえ、そうではなく国民から慕われている、微妙に天然、別名があるでしょうか」
国民から慕われているというところを聞いて、すこし会ったことはない殿下に好感が持てた
大抵、王族で国民から慕われている方は善良な方が多いと経験で知っているからだ
「別名とはどんな名前なの?」
「国民からは【無表情皇子】と呼ばれているそうです、でもこれは揶揄ではなく尊敬の意味を込めてだそうで、彼が何時何時も顔に感情が現れないのと、凛としていて動じない精神の持ち主、民を助け導く皇子という尊敬と崇拝の意味を込めての名前だそうで、皇子自身も気に入っている見たいですね」
「変わってるわね、でもかっこいいわ」
「顔も初対面の女性が見惚れるくらいにかっこいいそうですよ」
さすが、大国の皇子様だこと
顔を見るのが楽しみになったことはソフィアにはからかわれそうだから言わないことにした