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精霊ピエロと迷宮な日々  作者: なお☆プリン
カウントアップ:3
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花園に近づく男 (灯太)

既に星や月が煌めいている、そんな夜。

俺が職員室で帰り支度をしていると、水森、鳥越、石町のそれぞれの家から、子供達がまだ帰ってきていない、という連絡があった。しかも、3人共『学校に行ってくる』と残していたみたいだ。

でも、今日の校内でその3人には会っていない。

……あの3人は夜遊びとかするタイプじゃないと思うし、なにより今は共通点がある。それゆえ、精霊絡みのことだとは思うが……。

ただ、スピカの連絡もつかないのが気にかかる。


とりあえず、俺の能力の出番だな。

一応、この能力にも効果範囲はあるっぽいが、それでもN市全域は見れるレベルなので、今さら心配することではないだろう。

さて、3人はどこに……




どこにも、いない。




そんな馬鹿な。360度見回しても反応が無いってことは、範囲外にいるか……死んでいるか。

……だが、学校に行くと残しているのに、市外へ行くか?

いや、普通なら無いだろう。市外に出るのにはそれなりの理由がある上で、関所も通らなきゃいけないのに……関所?

いや、そんな面倒なことをするとは思えない。

……だが、可能性が高いとはいえ、後者であるとは考えたくない。


とりあえず、今学校にいる人間に聞いてみよう。確か保健室に(すすむ)達が泊まっているはずだし、そこに路野江(ろのえ)もいたよな。


保健室の扉をノックすると、1秒足らずで開かれた。


「はや……」

「あれ?灯太じゃん。何?乙女の花園を汚しに来たの~?」

「んな訳あるか。君達に訊きたいことがあって来たんだ。」


路野江のイジリは軽く流し、保健室の中にいるであろう4人にも聞こえるよう声を大きめにして言った。

すると柄闇がカーテンから顔だけ出して、こっちを見てくる。


「誰……って、先生か。何の用だ?我は今忙しいんだ。」


そう言って、彼女はこちらに向かって来たが……


「いや……ゲームしてただけだろ。」

「……むぅ。」


俺のツッコミに対して、柄闇は頬を膨らませた。

……せめてその手に持ったトランプがなけりゃあ、すぐにはバレなかっただろうに。


「どうしたんですかー?」

「……もう少しで私の勝ちだったのに……あ、松原先生だっけ?どうしてここに?」


玉と栞……だったか、その2人も姿を現した。

しかし……カーテンの向こう、もう1人いるはずの彼女の気配はない。


「なぁ……進はいないのか?」

「呼んだ?」


突然、背後から返事が返ってくる。

だが……聞き慣れたその声に驚くのが、俺だ。


(おど)かすな!ビックリしただろうが!」

「ごめん……そんなつもりじゃ……」


後ろに向き直ると、そこにはしょんぼりした進が立っていた。

……怒った訳ではないんだが、驚きのあまり語気が強くなってしまったようだ。


「い、いや、俺も強く言いすぎた。すまん。」

「……大丈夫。それより、何かあったの?灯太の方からここに来るなんて……。」

「それなんだが……」


俺は再び皆の方を向いた。


「えーっと……水森ユウ、鳥越亮太、石町雫。この3人を、今日見た人はいないか?」

「なっ、何かあったのか!?」


柄闇が食い気味に訊いてくる。

しかし……下手なことを言っても、無駄に不安を煽るだけだしな……。


「ま、その……なんだ……あの……な。」

「……その反応!やっぱり何かあったんだな!」


上手いごまかしは浮かばず、それどころか柄闇がさらに食いかかってくるばかりだ。

……もう、正直に話すしかないか……。


「私、見たわよ。昼間、学校でね。」


路野江が手を上げ、はっきりとそう言った。

さらに彼女は続ける。


「そっちの3人は散歩に行ってたからいなかったけど……確か、私が進と一緒にいる時だったよね?」

「……!はい。教頭先生に頼まれて教室から荷物を運んでいた時だったと。時間帯はバラバラだったけど……みんな、忘れ物を取りに来たって言ってましたよね。」


進の台詞に、何度も頷く路野江。

そして、何か言いたげな柄闇の方を向いたかと思うと、


「柄闇さん。こう見えても、松原先生は一応先生だからね。色々な人から相談も受けてるの。あの3人だって……ね?」


そう言って、こちらにウインクしてきた。

もしかして、この2人は──


「あぁ。やっぱりプライバシーとかあるからさ。言っちゃいけないとは思ったんだけど……不安にさせてごめんな。すげーいい答えが出せて思わず、今日伝えなきゃと思っちゃったんだけど、よく考えたらこんな時間だし……後日ちゃんと本人たちの家に行って話してくるよ。」

「そ、そうか。誰にだって言いたくないことはある……深追いしすぎるのも良くないものな。先生、しつこく訊いてすまない。」

「いやいや!柄闇が謝る必要はないよ。じゃ、おやすみ。」


そっと保健室の扉を閉める。

……手がかり無し。

ますます分からなくなった俺は、そのまま職員室に向かう。



どうすればいいのか分からず、とりあえず椅子に座った時だ。

職員室の扉が急に開き、3人の人影が入ってくる。


「ねぇ灯太。どういうつもり?」

「あの3人に……何かあったんだよね?」

「ンフっ、路野江先生に呼ばれたので来ましたが……何かあったんですか?」


……路野江と進、そして鬼見だった。

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