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僕らに吹く風に揺れる花  作者: ヨハン
未来へ走る少女
9/49

告白?

『私……ずっと好きだったんだ、君のこと』


『あぁ……俺も好きだ……』 

  

 俺と彼女は中学時代からの友人という関係だった。

 男子と女子の友情は、確かに俺達の間に芽生えていた。そしてそれはいつしか、恋愛感情へと変化した。

 なんでもないただの友人。そんな関係からの脱却。

 俺は今俺の下で自分を見つめている彼女が恋人になるなんて思ってもみなかった。

 

『っんく……あぁっぁ!』


『意外にお前って……っ--』


『言うな……あっ! 恥ずかしいだろ……!』


 彼女と一つになり彼女の体温を感じる。

 ただ愛おしい、思うことはそれだけだった。


『これからも……私とずっと一緒に……いてくれるか?』


『もちろんだろ……俺はお前が好きなんだ』


 

 俺が今プレイしている『僕らへ吹く風』は成人向けに近い、というか成人向けだった。

 ゲーム機の画面には主人公と、その友人であるボーイッシュな少女が十八禁的行為に及んでいるグラフィックが表示されている。

 普段の彼女からは想像出来ないような乱れた姿に主人公はさぞかし興奮しただろう。俺も少ししました、ごめんなさい。

 ギャップという言葉で真っ先に思い浮かぶのは今日の久代だ。

 

「なんであんな可愛い顔で見つめんだ……アイツ」


 脳裏に焼き付いたように忘れようとしても忘れられないあの表情。

 恥ずかしげに頬を赤らめつつ、持ち前の綺麗な顔の一部である瞳を潤ませながらの上目遣い。

 俺はこれ以上あの表情を思い出したらどうにかなってしまいそうだったので、ゲーム機の画面に視線を戻す。まだあのグラフィック。

 その刹那に思い浮かんだのは、このグラフィックのように久代と--って、俺ちょっと待て。

 相手は久代だぞ? いくらあんな表情されたとはいえ、男勝りでいつも元気でちょっとお馬鹿な久代だぞ? 確かにアイツのこと考えてたから自然とこんな想像をしてしまったのだが。


「ないない……」


 とりあえずゲームの話を進める。その後主人公達は今までと違う関係に戸惑ったり、時にはぎくしゃくしたりしてしまったわけだが……。

 やっぱり、現実ではこんなに上手い展開は無いと思うのが正直な感想だった。

 例えば、シナリオ内では普段と違う一面を見た主人公が相手に惚れ、相手も主人公との接する機会が増えたことで意識し始めるわけだが……そんな簡単に両思いになれたら苦労しねぇ! 

 それから嵐の日に主人公の家に泊まることになって、風呂上りにばったりだとかバスタオルが落ちただとかそんな美味しい展開が重なり、密室で二人きりになって途端に意識し始めて告白してそのまま【自主規制】なんて展開があってたまるか! 人生なめんな!

 とまぁ、このゲームはお色気展開においてかなり非現実的な部分が目立つ。しかし、葛藤などを描いたシーンは妙に感情移入できるしグラフィックも綺麗だと思う。脳内で妄想するにはそれなりにいいゲームだと思った。


「……」


 また悶々としてきた。理由は分かりきってる。

 たかがあんな一面を見せられたくらいで心が揺れ動くほど、人の心って軽いのか。それとも、そうさせるだけの魅力があったのか。

 きっとどちらもかな。そういう意味で、さっきのゲームへの批評を少し訂正したくなる。

 人を好きになることは、案外簡単なのかもしれない。何かのきっかけ一つで、俺はこんなに心がグラついてるのだから。

とりあえずただ一人で妄想に耽てほしかったのです

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