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俺は物か?

放課後。

「和仁くぅーん、私が来たわよ」

蒸蒼院が歩きながら、呼んできた。

「蒸蒼院さん、今日って誘われてましたっけ?」

蒸蒼院が俺の目の前に立って、鼻にひとさし指を差されながら、注意を受ける。

「和仁くぅ〜ん、蜜璃でしょ。忘れたのかしら?」

「蜜璃先輩、今日って誘われてましたっけ?記憶力がなくて……」

「誘ってないわ。気分だったから、誘いに来たの。まずかったかしら?」

「いやぁ〜……今日はなんのようですか?」

「一緒に帰りたいだけよ」

「あぁーああっっ!!蒸蒼院先輩、またカズを奪いに来たんですか!?今日は私がカズと帰るんですから!!」

教室に戻ってきた谷之坂が、声を掛ける前に俺の腕を掴んで蒸蒼院と距離を取った。

「私に喧嘩を売ってるのかしら?谷之坂さん。和仁くんと交際もしていない貴女がでしゃばるところではないわ。さっさとうせなさい!」

「貴女だってカズと交際してないじゃない!!蒸蒼院先輩こそ消えたらどうです」

「言うじゃない……ここにあのケーキ屋の割引券がぁ〜」

高いで有名なケーキ屋の店名が書かれた割引券をチラつかせる蒸蒼院だった。

「えっあのケーキ屋の割引券……」

「和仁くんを貸してくれるなら、この割引券を渡してあげても良いのだけどぉ〜?」

ケーキ屋の割引券になびき出す谷之坂だった。

ケーキ屋の割引券を眼で追いだす谷之坂。

「貸すの?貸さないの?どっち」

「仕方ないわね、今日だけよ!」

谷之坂が蒸蒼院からケーキ屋の割引券をもぎ取って、投げやりに応えた。

「ありがとう。さぁ、行きましょう」

俺は蒸蒼院に手を繋がれ、教室から出ることになった。

周囲の視線が痛い。

「蒸蒼院先輩だ、今日も美しい」

「蒸蒼院先輩だ……可愛いなやっぱ」

「蒸蒼院さん……男の趣味が悪いわね」

やっぱり、俺って蒸蒼院さんとはつり合ってないよな。

男子には好かれているなぁ、彼女。

俺は手を繋がれながら、他人事のように彼女を眺めていた。

「私からすれば、和仁くんが女の趣味が悪いと思うわ。谷之坂さんのどこが良いの、和仁くん?」

「えぇっ……それは応えづらいです」

俺は蒸蒼院の残念なところを知っているから、どっちもどっちなんだと思う。


俺は、彼女に連れて行かれるままついていった。

カラオケ店に連れてかれ、地面に四つん這いになるように命令され、彼女の靴下を脱いだ裸足に頭を踏みつけられたのは意味が分からなかった。

「何故、俺は蜜璃先輩に踏みつけられているのでしょうか?」

つい、本音が漏れ、無駄に彼女の裸足の脚で踏みつけられた。



ケーキ屋の割引券は実際にはないでしょうが作り物ですから細かいことは無視してください……

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