表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界キャンプ ~チートはなくても美味しいものがあれば充分です~  作者: 綾川 鈴鹿
《カプト地方、砂漠編》一章、死の荒原
23/115

SS、ママの手紙

前回までのあらすじ!


「地球から転移したわたし[リリ]と砂漠で腹ペコな鬼族の少女[ラーナ]」

「二人は、革鎧を食べてお腹いっぱい!!」

「ラーナは過去をゆっくり話し出した!」

「次の話は『ママの手紙』どんな話がきけるのかなぁ?」


「さぁ本編が始まるわ! 『異世界キャンプ』楽しんでみてください」


“私達の可愛いラーニャへ”


 この日記を、あなたが見ているということは……

 ついに、私もお父さんもラーニャのもとへは戻れなかったのね。

 本当にごめんね。

 成人するまでだけでも、一緒に居たかったわ。


 毎日、ご飯は食べてる?

 ラーニャは何歳になったの?

 きっとママの想像しているよりも、ずーっと大きくなっているわよね。

 わんぱくは良いけどほどほどにするのよ?

 まだ小さなあなたを、今の辛く厳しい世界に、一人置いていってごめんね。


 私がこれを書いてる頃のラーニャは、まだちっちゃいけど、とてもわんぱくさん。

 毎日パパの肩に乗っては「冒険だー!」って外に出掛けてるわ。楽しい毎日だわ。


 あなたは覚えてるかしら?


「これは山で見つけた綺麗な石なんだ」とか、「洞窟で拾った宝物なの」って色んなものを見つけてきたこと。

 いつもキラキラした目で、とっても楽しい『ラーニャの冒険譚』を聞かせてくれたこと。

 ママは今日はどんな冒険なのかなぁって、毎日毎日、楽しみにしてるの。


 あの宝物はどうしちゃったかな?

 この日記を読んでるラーニャは、もう立派なレディだもの、流石にもう捨てちゃったのかな?

 ママはラーニャに誕生日プレゼントでもらった綺麗な石は今でも宝物よ。

 いつも大事に持ってるわ。

 もういつもの、楽しい冒険譚を聞くことは出来ないのね……。


 いけないわ、最後だもの明るい話をしなきゃ。

 んーと、そうだわっ!

 ラーニャはもう綺麗な石よりも、オシャレな可愛いお洋服や、お洒落なアクセサリーのほうが大事になってる頃よね?

 お母さんもラーニャと一緒に、色々なお洒落をしたかったわ、きっと楽しかったのになぁ。

 あーあ、残念だわ。

 でも二人でお洒落なんてしたら、集落でも人気になっちゃってパパが嫉妬しちゃうわね、ウフフッ、それも見てみたいわ。


 本当は思い出をもーっと書きたいし、叶うならあなたの成長を、ずっーとパパと二人で見ていたい。

 でも残念ね、そうはならなそうな状況になちゃったみたい。

 だから私達が帰ってこられなかった時の為に、ラーニャには手紙を残しておこうってパパと決めたの。

 だから、日記をラーニャに残しておくわ。


 あとね、大人になったら言おうと思ってた、大事なことをここに残すわ。

 まずは、お母さんもお父さんも、ラーニャが生まれる前に大陸へ冒険に出てたことがあるのよ?

 冒険好きな所はやっぱり親子ね。


 だから私達の可愛いラーニャには、特別に教えてあげる。


 ルベルンダの外にはラーニャの知らない楽しいことが、たっくさーんあるわ。

 美味しい物も、キレイな景色も、とーっても良い出会いがたくさんあるの。

 彩り豊かな自然に、始めて食べる食べ物。

 もちろん大変なことも色々とあったけど、見るもの全てが新鮮で、それも含めてすーっごい、楽しかった。

 私達の大切な思い出の一つよ、ラーニャもきっと気に入ると思うわ。


 きっと私達が居なくなってからのラーニャには、悲しいことや辛いこと、世の中の理不尽がたくさん襲ってくると思う。

 ううん、確実にそういうことが増える、守ってあげられなくてごめんね。


 辛いものしか残してあげられなくて、ごめんね。

 最後までそばにいてあげられなくて、ごめんね。

 本当に、本当にごめんなさい。


 生き抜くために必要な事、世界の仕組み、気をつけないといけない事。

 私達の伝えられる一通りの事は教えているけど、まだ小さなラーニャには難しくて分かんないわよね。

 思い出したら役に立ててちょうだい。


 最後の最後よ、ワガママなお願いなのは分かっているけど、それでも私達から一つだけラーニャにお願いがあるわ。


『この世界を嫌いにならないで欲しい』


 世界を嫌いになると、生きているのが辛くなる、自分のことも嫌いになる、誰も信じられなくなる。

 それはきっと、ものすごーく大変な道よ。


 私達はそんなラーニャを見たくないわ。


 だってラーニャは笑っている時が一番魅力的だっていう事を、パパもママも知っているもの。

 だからラーニャには、お母さん達の代わりにいろんなものを見て、いろんなことを知って、たくさんの出会いと別れを繰り返して、小さくても良いから、幸せをたっくさん見つけて欲しいの。


『寿命が尽きるまで、明るく笑って生きていてほしい』


 それが、お父さんとお母さんの最後のお願い。


 っあ! ごめんね、もう一つだけ、これはお願いじゃあないわ。

 体には気をつけてね!

 ラーニャは女の子なのに、いっつも傷だらけで帰ってくるから、お母さんは少しだけ心配だわ。

 まぁ強いパパと、なんて言ったって私の子なんだし大丈夫、だからこれはお願いじゃなくて最後の注意よ。


 ほどほどにしなさい!!


 長くなっちゃったけど、お父さんもお母さんも心の底からラーナを愛してるわ。


 この大いなる大地と共に、貴女の生と希望ある未来の支えとならんことを


                          ダリア・ヴォルコヴァ

                          ボリス・ヴォルコフ

「ヤッホー、ラーナだよー!」

「ヤッホー、リリよ!」


「……」

「いいご両親ね!」

「うんっ、あんまり覚えてないんだけどねー」

「日記があって良かったわね!」

「うんっ! ありがとうリリ!」



「「次回『二人の旅立ち』その1」」


「異世界って理不尽だわー」




明日からは、1日1話投稿です!

13:30、もしくは21:30にアップする予定ですが

前後する可能性があるのでご了承ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ