第五章の1ー戦い終わって
第五章 元の世界へ!
戦い終わって!
ユン教の教会のあった場所は瓦礫の山となった。ヘリコプターから降りて、その瓦礫の山を見ていたかける達だった。
「これで本当に、ユーベルタンは死んだのかなぁ?」と俊一が訊いた。
「生きている可能性はゼロに近いわ」とキャサリンが言った。
「あいつも、ちょっとは可愛そうな奴だったかも知れないわね」と加奈が言った。
「そうね、誰も信じられることなく、自分一人だったんだもんね」と美樹が言った。
「自業自得さ!奴は自分以外を、トカゲの尻尾として切り捨ててきたんだからな」とキムが言った。
「そうさ、奴には仲間がいなけりゃ、子供達もいなかった。トカゲの頭と胴体である自分と、トカゲの尻尾である自分以外だ」とホルヘが言った。
皆、何も言えずに黙っていた。
「でも、何故、ユーベルタンサイボーグが、ユーベルタンの命令を聞かずに暴走したのかしら?」と美樹が疑問を投げかけた。
「恐らく、クローンの技術はそこまで進んでいなかったのよ。一つの個体のDNAを使って幾つもクローンを作る。一体や二体なら良かったかも知れないけど、その内DNA情報が希釈されたのかもしれないわ。だから人類軍の催眠ガスや攻撃を受けた際に狂ってしまったんじゃないかしら?あの時もボロボロのユーベルタンサイボーグが、先に変になっていたじゃない!」とキャサリンが言った。
「ロボットであれば、命令に服従してユーベルタンに背くこともなかったろうにね。でもユーベルタンサイボーグは脳がユーベルタンのクローンで人間のものだった。人間は迷うものだよ。自分で考える頭脳を持っている。命令通りではなく自分の意志を持っている」とかけるが言った。
「それじゃ、何故サイボーグではなく、ロボットにしなかったのだろう?」と俊一が言った。
「全て機械のアンドロイドであったダンやクリスティーナやザルドーが僕達に敗れたからだろう。全部機械のアンドロイドは、命令通りに動かすだけなら、サイボーグよりも数段優れている。でもユーベルタンは戦場兵器として開発したんだ。戦場では、自分の意志で判断する時があると踏んだんじゃないのかなぁ。そんな時はロボットでは役に立たない。だから、最高の頭脳で、常に合理的に判断出来る頭脳ということで、ユーベルタンは自分の脳のクローンを考えたんじゃないかな」とかけるが言った。
「彼は自分以外を信用していなかったから、他の人の脳のクローンなんて、考えてもいなかったのかも知れないわね」と美樹が言った。
「そう考えると、やっぱりユーベルタンも可愛そうだわね。誰も信じず、自分だけを特別な存在として、思い込んでいたなんてね」と加奈が言った。
皆再び黙り込んでしまった。
ユン教は今回の事件の首謀者として責任を取らされた形で法的に解散させられた。教祖のメシストはテロを企てたとして逮捕された。ユン教も教団教祖のメシストでさえも、ユーベルタンの企みを知らなかったのだが、誰か犯人として捕まらないと世論の不安が抑えられなかったからだ。「首謀者が既に死んでしまっている」では、これだけの騒動に終止符を打てなかったのだ。
今回の事件の死者は手厚く葬られ、負傷者にも入院からその後の就職から最大限のはからいを受けた。
マイクと一緒に脱獄した囚人達は、ユン教教団でマイクと共に死んでしまっていた。ユーベルタンの娘のアイラとユリサ、そして息子のサイキスについては、脱獄の罪が加わり刑期が延びた。
かける達はこの世界の英雄となった。
度重なる戦争の危機を回避したことが評価されたのだ。
この世界にコーネリアに呼ばれて来た時、コーネリアと一緒にテレビ放映されてこの世界の人々の知るところになった。
それが今、かける達七人は、人類国のコーネリア大統領とゴルゲ国のリォウ総書記とロイド国のレキシン首相とキーワイル国の市長であるソビリス、そして地底王国のサラ王妃と一緒に世界を守った英雄として、テレビの中で全世界の人々に紹介された。
平和を訴えるキャンペーンである平和パレードにもパレードカーに乗って手を振る存在となった。
パレードの後には、この戦争で亡くなられた人々への黙祷が行われた。
かける達が派手に活躍している裏で犠牲者は相当数出ていたのだ。
かける達は子供達の憧れの的となった。キャラクターグッズや写真まで販売され人気を集めた。




