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第2話 ガーディナーベイ(2)

航宙検査局(SIA)局所空間異常調査および処分報告書


1. 事案概要


事案名: 大型貨物船『ガーディナーベイ』不正規航路進入および局所空間歪曲巻き込まれ事案


被処分者: 『ガーディナーベイ』船長 [黒塗り] 一等航宙士、および幹部航宙士2名


事案発生日時: 星暦[黒塗り]年[黒塗り]月[黒塗り]日


管轄部局: 航宙検査局 辺境臨検第3支部



2. 探知および捜査の経緯


本局の「超時空断層監視ネットワーク」が、航行禁止宙域(特異空白域)の辺縁部において、通常の宇宙海流では発生し得ないレベルの局所的な空間反発反応(クラス4テラ・パルス)を検知。同刻、当該領域から通常領域第4セクターへ、空間ごと「弾き出される」ように出現した超巨大質量を捕捉。


追跡調査の結果、該当質量が定期商業貨物船『ガーディナーベイ』であることを突き止め、本国ドック入港と同時に、特別査察官による強制臨検および航海データ記録装置ブラックボックスの押収を実施した。



3. 被疑事実および隠蔽工作の露見


① 航海日誌の虚偽記載


船長らは提出した航海日誌において「通常航路上の突発的な宇宙海流に遭遇し、不可抗力で数千宇宙海里流された」と主張。しかし、本局が押収した隠しログおよびエンジン出力履歴の解析により、意図的に航行禁止区域のショートカットを選択していた事実が明白となった。


② 動力および機体データの矛盾


船長らの主張する「激しい海流による漂流」であれば、船体表面に相応の摩擦熱やデブリによる損傷が残るはずであるが、『ガーディナーベイ』の船体装甲は無傷であった。その一方で、推進機関は「出力120%(限界突破駆動)」を維持したまま、空間そのものが数ミリ秒で移動したことによる「慣性座標の強制書き換えエラー」を240箇所で記録していた。


③ センサーデータの復元(最重要機密)


遮蔽・消去されかけていた外壁光学センサーの残像データを本局の技術班がサルベージした結果、以下の「非論理的画像」が検出された。


【添付資料: 復元画像解析(File: GB-V-092)】


本艦が空間ごと通常海域へ弾き飛ばされる直前、船体左側面に位置する空間そのものが、繊維状の微細構造を持つ「白い壁」によって完全に閉塞。

その後、5つの円形からなる超重力源が、本艦が位置する座標を「物理的に押し退けた」形跡を観測。この衝撃波により、船体は損傷することなく、空間ごと通常領域へとスライドしたと結論づけられる。



4. 審議結果および決定処分


被処分者らは、本局の提示した航行ログの整合性不一致および復元画像データの前に、先の提出報告が虚偽であった旨を認述した。なお、被処分者らが一様に供述する「巨大存在の前足による一払い」等の現象については、未定義の精神汚染に起因する非科学的言動と認定し、事故の直接要因としては採用しない。


本局は、中央省庁の定める『航宙安全基準法』第12条(禁止宙域への不法進入)および同法第34条(公的監査に対する虚偽報告)の規定に基づき、以下の通り厳重処分を言い渡す。


[別紙]宙界交通安全局 処分通知および是正勧告書

件名:禁止宙域無断侵入事案に対する行政処分および運航停止命令について



5.付帯処分(特別機密指定および口外禁止命令)


(1)調査対象船『ガーディナーベイ』から回収された全航行記録データ、ならびに復元画像データ一切は、本日付をもって「クラスA指定機密」に指定し、航宙検査局の厳重管理下に置く。


(2)被処分者らに対し、本件記録に記録された「宇宙海流以外の不確定要因」に関する一切の情報について、公私を問わず口外することを禁止する。本命令に違反した場合は、『国家安全保障法』第7条の規定に基づき、国家叛逆罪に相当する厳罰を適用することを被処分者全員に通告・講評済みである。


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