第1話 ノーボディーが捨てられた夜
本作は、著者が考案したプロットや世界観、ロジック(設計図)をベースに、生成AIを執筆の補助・テキストの一部出力エンジンとして使用して制作しています。最終的な推敲・クオリティ管理はすべて著者自身の手で行っております。
風が強い。
砂が頬を打つ。
痛い。
魔王城が遠くに見える。
黒い塔。
空は赤い。
決戦前夜だった。
野営地の中央に
勇者ジャスティが立っている。
地図を踏むように押さえている。
「正面突破だ」
声が響く。
兵士たちの背筋が伸びる。
聖騎士ピューリがうなずく。
聖女ペイシェンは目を閉じて祈っている。
賢者デリィジェだけが腕を組んでいる。
ノーボディーは円の外に立っていた。
呼ばれていないわけじゃない。
でも中心でもない。
いつもの位置だ。
「城門を破壊する」
勇者ジャスティが言う。
「そのまま玉座の間まで突っ込む。
魔王はそこで討つ」
誰も反論しない。
だからノーボディーは口を開く。
「別案がある」
ざわめき。
勇者ジャスティの半目が向く。
「言え」
「あなたたちが陽動になる」
空気が固まる。
ノーボディーは続ける。
「魔王軍の主力は外に出る。
その隙に現地軍と裏から侵入する。
魔王を孤立させる」
賢者デリィジェの目が鋭くなる。
理解している顔だ。
だが勇者ジャスティは笑う。
鼻で。
「卑怯だな」
「合理的だ」
「英雄はそんな勝ち方をしない」
ノーボディーは肩をすくめる。
「これは戦争だ」
「違う」
勇者ジャスティが地図を閉じる。
乾いた音。
「これは決闘だ」
兵士たちの目が輝く。
分かりやすい。
正面から勝つ。
強い者が勝つ。
それは物語になる。
ノーボディーは静かに言う。
「魔王の魔法には段階がある。
攻略アイテムが必要になる」
「知っている」
勇者ジャスティが近づく。
距離が近い。
「それも乗り越える。
それが勇者だ」
――ああ。
ノーボディーは思う。
この人は嫌いじゃない。
でも、こういう人だ。
だから最後の確認をする。
「なら俺は別働で動く」
沈黙。
聖騎士ピューリの手が剣に触れる。
聖女ペイシェンの祈りが止まる。
賢者デリィジェの眉が動く。
勇者ジャスティが言う。
「お前は必要ない」
静かな声。
だが決定だった。
「ここまで来たら選ばれた者だけで十分だ。
薄汚いシーフに魔王戦は任せられない」
胸が少し痛む。
でも怒りはない。
悲しみも薄い。
ただ。
――やっぱりな。
そう思う。
「分かった」
ノーボディーは荷物を背負う。
誰も止めない。
賢者デリィジェだけが一瞬こちらを見る。
言葉はない。
視線だけ残る。
野営地を出る。
風が冷たい。
草が揺れる。
空は赤い。
遠くで魔物の咆哮。
「あなたがノーボディー?」
声。
振り向く。
赤髪の女。
鎧は傷だらけ。
でも立ち姿が綺麗だ。
「剣士レイよ」
「知ってる」
「作戦、聞いてた」
「全部」
剣士レイが笑う。
白い歯。
「いいじゃない。やりましょう」
「勇者ジャスティが陽動になる」
「最高の餌ね」
さらっと言う。
ノーボディーは苦笑する。
「嫌な言い方だな」
「でも事実でしょ?」
否定できない。
角笛が鳴る。
低い音。
空気が震える。
決戦開始。
ノーボディーは空を見上げる。
黒雲。
赤い光。
綺麗だと思う。
「怖い?」
剣士レイが聞く。
「怖いよ」
正直に答える。
「でもまあ」
息を吐く。
「頑張れるさ」
剣士レイはうなずく。
「いい顔してる」
二人は歩き出す。
勇者ジャスティたちとは逆の道。
砂を踏む音。
鎧の音。
遠くで爆発。
空が揺れる。
誰かの悲鳴が混ざる。
運命が分かれた音だった。
まだ誰も気づいていない。
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