鮮やかな青空の美しさに気づいたのは。~出会いも別れもすべて人生なのです~
鮮やかな青空の美しさに気づいたのは、彼と初めて会った日だった。
けれどもそれから時は流れて。
いつしか二人の関係は変わってゆく。
私と彼は婚約者になった。それは一見幸運なことで。意中の人と婚約できた、と聞けば、誰だってそう思うだろう。しかしそれは間違いだ。パッと見た感じでの幸運と本当の意味での幸運というのは必ずしもイコールではないのである。
婚約者となった彼はことあるごとに私に対して心ない言葉を投げつけてくる
顔を合わせるたびに溜め息をついたり嫌みを言ってきたりする、そんな彼は心の汚い人だった。
「お前、もう要らんわ」
そんな彼がそう言ってきたのは、なんてことのない平凡そのものな日であった。
「要らん、とは……?」
「そんなことも分からんのか。アホやな。婚約破棄する、ってことや!」
「……婚約破棄、ですか」
「そういうこと」
「……そうですか」
「ここまで相手してやったんや、感謝せえや」
彼はどこまでも上から目線で。
「んじゃ、バイバイな」
――こうして私たちは終わったのだった。
◆
唐突な婚約破棄は災難のようにも思えた。
しかし実際にはそうではなくて。
彼から解放されたことによって心がすごく楽になった。
……彼と別れて、鮮やかな青空の美しさに気づいた。
それは、かつて彼が教えてくれたものだった。
彼と出会って気づいたこと。でもいつしか分からなくなっていた。忙しい日々の中で見失ってしまっていた。
でも彼と離れた再び気づくことができた。
どんな時も空は美しい。
だから心が重い時は視線を上げてみよう。
それだけでも傷んだ心は救われる。
◆
元婚約者である彼は、あの後結婚相手を探そうとしたものの、なかなか良い相手が見つからなかったそうだ。それで段々心を病んでしまったらしくて。しまいには生きる気力を失ってしまい、自室に引きこもるようになっていったそうで。その果てに風邪をこじらせて落命してしまったそうだ。
一方私はというと、あの婚約破棄から数ヶ月が経った頃に知り合ったこの国で一番人気な花屋を営む青年と親しくなり結婚した。
◆終わり◆




