婚約者の浮気相手と仲良くなる展開なんて……あるわけ、ないですよね!?
「ねえ、あんた。ロバートさまととっとと別れてくれない? 邪魔なのよ、あんた」
ある日突然私の前に現れた一人の女性。
美しい金髪が印象的な人。
とても美しい人ではあるのだけれどどこか高圧的でもある、そんな女性だった。
「え、っと……何のお話でしょうか」
「ロバートさまは別れたがってるのよ! あんたと!」
「何も聞いていませんが……」
「はあ? とぼけてんじゃないわよ! ロバートさまはいっつも言ってるわ。頼んでいるけど婚約者が婚約破棄を受け入れてくれない、って!」
女性は睨んできている。
表情には凄まじい圧が宿っていた。
笑みを浮かべていたならきっととても魅力的な女性だったのだろうに惜しいな……。
「あたしたちが進めないのはあんたのせいなのよ!」
「お待ちください。私は何も聞いていません。いきなりそのようなことを言われましても、信じられませんし、どう返せばよいものかも判断しかねます」
「ロバートさまと別れて!」
「……貴女は浮気相手ではありませんか?」
「うるさい! いいから別れてちょうだい! 今すぐに!」
この女性は一体何を言っているのだろう?
言えば言うほどに自身が悪い人間になっていくというのに。
話せば話すほどに自身が罪深い女となっていくだけなのに。
「貴女が仰っていることが事実なのだとすれば、彼は婚約者がいる身で他の女性にも手を出していたということになりますよね」
「ぅ……っ、う、うるさい!」
「そういうことはあまり話さない方が良いのではないですか? 慰謝料を払うことになってしまっても知りませんよ?」
主導権を握るのは彼女ではなく私。
「……話をしませんか」
向こうに好き放題な振る舞いはさせない。
「な、何よ」
「お互い思うことはあるでしょうが、取り敢えず、冷静になって話し合いましょうよ」
「まあ……そうね」
「ありがとうございます」
話し合いの結果、二人でロバートをはめることに決まった。
そして私はロバートとの婚約を破棄。
彼から高額な慰謝料を取ることに成功した。
一方女性には協力してくれたこともあったので慰謝料支払いは求めないことにしたけれど、彼女は、お詫びとして自身の意思で美味しいケーキを贈ってくれた。
それから少ししてロバートは亡くなった。
家の近くの花火大会の最中に川に落ちてしまい落命してしまったのだそうだ。
私はあの女性と今もそこそこ仲良しでいる。
出会いは最悪なものだったけれど現在の関係は決して悪いものではない。
彼女は案外良い人だ。
悩んでいたら寄り添ってくれるし、話を聞いてくれるし、時には一緒に怒ってくれる。
なのでこれからもそれなりに仲良しでいられればいいなと思っている。
◆終わり◆




