「婚約、破棄するわ」いきなりそんな言葉を投げられても戸惑いしかありません。
「婚約、破棄するわ」
生涯を共にする予定であった彼アンドロス・ジジ・ガンロトローベントスからそんな言葉を投げられたのは、ある平凡な夏の日であった。
「え……」
「だ、か、ら、婚約破棄だって」
「何を言っているの?」
「そのままの意味だよ」
「……そのまま、ということは……本気で婚約破棄するつもりでいる、ということね?」
すると彼はしっかりと頷いた。
「今までありがとな。けど、俺にはもうお前は要らないんだ。もっといい相手見つかったしさ」
「浮気していたのかしら」
「そうじゃない!!」
「っ……」
「そうじゃないそうじゃないそうじゃない! ふざけるなよ、お前! 俺を侮辱するなら許さねえ!」
急に怒り出すアンドロス。
「やっぱ婚約破棄して良かったわ! お前がこんなクズだなんて思わなかった。結婚する前に気づけてラッキーだった!」
「え、えええー……」
「じゃあな。永遠にさよなら。お前、不幸になれよ。俺は幸せになるから」
こうして私たちの関係は壊れてしまったのだった。
◆
あの後少ししてアンドロスは資産を失ったと聞いた。
なんでも、私がいた間は浮気相手であった女性に騙されてしまったのだそうだ。
惚れた女性が詐欺師だったというのだから……実に残念なことである。
一方私はというと、婚約破棄後しばらくは近所の本屋で手伝いをしていたのだがその時のお客さんで私のことを気に入ってくれた人がいて、良い意味で色々あってその人と結婚することとなった。
◆終わり◆




