友好の酒場
ロボットは今、「超優秀戦士」になるために任務をこなしている。超優秀戦士になれば、タマシイ星での任務を任されるかもしれないからである。
「よーし、前ので来てから5つ目の任務か!順調だな!」
ロボットはグリームと右棟の一階で話をしていた。
「俺がついてやってるからな。まったく、法律についてここまで無知だとはな。」
「いやー、ありがとうな!俺だけだったらどうなってたことか!」
「まあ、後輩を育てるのは先輩の役割だからな。」
「え、お前って先輩?」
「そうだが?」
「あー、そうか。良く考えりゃそうか。」
「?」
ピロンッ
2人のポーチの中から音がした。
「お、次の任務か?」
ロボットとグリームはポーチの中から連絡カードを取り出す。
パァー
連絡カードは指令を空間に映し出した。
"サタンエンジェル星にて重要任務
詳しくは右棟、司令室にて。"
2人は司令室に向かっていく。
〜〜〜右棟 司令室〜〜〜
「失礼します。」
ウィーン
自動ドアが開き、グリームとロボットが部屋の中に入った。
そこには、ライトンと1人のプライド星人、そして手前にフレイムがいる。
「お、フレイム、ライトン。久しぶり。」
ロボットは2人に声を掛けた。
「おう。」「最近上手くやれてるようで良かった。」
フレイムとライトンはそう返事をする。
「おー、えーと、初めまして!おばさん!」
ロボットはグリームに教えられたことを生かして(笑)、プライド星人に挨拶した。
「な…。」
そのプライド星人は唖然としている。
「…。」
グリームは頭を抱えていた。
「ん?もしかしておばさんじゃなくておっさんだった?ごめんな!プライド星人の性別って見分けにくくてな!」
「そうじゃない!この人は超優秀戦士のベテランなんだ!その呼び方自体がな!」
ライトンは必死に訂正させようとする。しかし、
「アッハッハ!君が噂のメカ戦士か!面白い奴だね!アタシはバスター、『“剣”の戦士』やらせてもらってる。よろしく!」
バスターは前に出てきて手を前に出した。
(危なかった…この人じゃなかったら半殺しにされてたかもしれん…)
グリームはホッとする。
「おう!」
ガシッ
2人は握手した。
ライトンが喋り出す。
「さてと、早速今回の任務について話す。サタンエンジェル星では、長年エンジェル国とサタン国の仲が悪く、今でこそ平和が模索されているが、戦争を繰り返してきた。そんな中、エンジェル国の有力政治家がサタン国民と思われる者達に襲われ、重傷を負った。ここまでは知っているな?」
サタンエンジェル星は、サタン国とエンジェル国という2つの大国で構成されており、サタン国は立憲君主制、エンジェル国は絶対王政を敷いている。
「あっ、最近そんなことがあったんだな…。」
ロボットは知らなかった。
ライトンは続けて話す。
「その有力政治家は、サタン国に対して情けをかけるべきではない、徹底して戦い続けるべきだ、という強硬派だった。それを気に入らないサタン国側が刺客を送り、その政治家を襲わせたのだと、エンジェル国側は主張しているが、サタン国側は事件への関与を否定している。」
「ふむふむ。」
ロボットは真面目に聞いていた。ええっと、そもそも2国がどうして仲が悪いのかというとだな、サタン国側は絶対王政は悪しき制度と考えてて、度々打倒のためにエンジェル国に攻め込んでる。それに対してエンジェル国側は、サタン国民は野蛮で邪悪な存在だとし、成敗するということで度々サタン国側に攻めてきた。しかし、近年ではその理由も形骸化し、お互いがお互いを憎み合ってきた。今は、それを両国の王が努力し、落ち着かせていたのだが…。
「ここで、我々宇宙超警察が仲介し、事態を鎮静化させようというわけだ。」
ライトンが締めくくった。
「本来ならサタンエンジェル星に赴任している戦士がやるのだが、今はちょうど空席だったので、君らを集めた。それがこの豪華メンバーだ!」
ライトンが腕を広げて言った。
「豪華なのか…?」
ロボットは疑問を持っている。
「失礼な!超優秀戦士2人、優秀戦士2人で任務なんて中々ないぞ。それだけ重要だってことだ!」
グリームが説明した。
「へ〜。」
「というわけで、明日の8時出発だから、準備を頼む!詳しいスケジュールは宇宙船内で確認してくれ!」
ライトンが4人に呼びかけた。
「あとは任せときな、ライトン。今回の任務、当然成功させる!」
バスターはそう意気込む。
〜〜〜翌朝 宇宙船内 出発した少し後〜〜〜
「まず、サタン国には大悪魔っていう称号を持つ者達が8名いて…、彼らはみな大きな功績を持っているんだ。」
グリームがロボットとフレイムに話している。
「そいつらって強いのか?」
ロボットが聞いた。
「まあ、全員魔法は使えるし、民間人よりかは強いと思うが…。人によるな。」
「なるほど。」
ロボットは相槌をうつ。
「で、それの対になるように存在するのがエンジェル国の大天使。まあ、どちらが先にできたのかは諸説ある。彼らは今は9人いて、王から称号が授与されたわけだ。そのうち1人が今回の事件で被害にあった政治家、太陽の大天使サン。ここまでいいか?」
「ああ。ギリ。で、そいつは強いのか?」
またロボットがそう聞いた。
「なんで毎回強さを聞くんだ!まあ一応説明すると、サンは魔法の火力こそ強いものの、戦闘力で言えば他の大天使には劣るな。だから、襲った犯人を仕留められなかったわけだが。」
「何でも知ってるんだな〜。」
ロボットは感心している。
「宇宙超警察の戦士として当然だ。お前もこれくらいの知識は付けとけ。」
「まあ、頑張る。」
「ならよし。」
「で、初日は着いた辺りをうろちょろした後に宿で泊まって、事務係と合流。まずはサンのトコに行くらしい。」
フレイムが手元の紙を見て言った。
「ソイツんトコ行って何すりゃいいんだ…?」
ロボットは分からないでいる。
そこにバスターが割り込んで言った。
「まあ、そうだね、まずはどうやって襲われたか、どんな服装をしていたかとかを詳しく聞いて、犯人の目的とかを探ることかね。」
「その後にエンジェル国王の所に行くと。」
グリームが言った。
その後、一同はスケジュールの確認などを行なった。
〜〜〜約15日(ライト星換算)後 宇宙船内〜〜〜
「さあ、大気圏に突入したが、サタンエンジェル星の歴史は大体覚えたか?」
グリームがフレイムとロボットに聞いた。
「はあ…大体が復習(体感)だからつまらなくてしょうがなかったぜ。」
フレイムは他の機会で既にある程度勉強していたようだ。
「この情報量は死ぬかと思った〜。やっと終わるのか…。」
ロボットはほぼ1から学んだため、くたくたである。
「その知識を使うのはこれからだぞ!むしろ始まるんだ!」
グリームはロボットに喝を入れた。
「へい…。」
ロボットがそう弱々しく返事をした、その時だった。
ドガン!
宇宙船が大きく揺れた。
「なんだい!?」
バスターが動揺している。それは他3人も同様だった。
『緊急事態発生!何かがこの宇宙船に当たり、宇宙船が大きく傷つきました!まもなくこの宇宙船は墜落します!直ちに脱出してください!』
ナレーションが流れた。
「おい!ドアが開かねえぞ!」
それを聞き、フレイムはドアを開けようとしたが、びくともしなかった。衝撃の影響だろうか。
「やばいやばいやばい!」
ロボットは焦って結局何もできていない。このままでは墜落してしまう。
「全員パラシュートを持って伏せな!」
バスターが呼びかけ、大剣を鞘から出して構えた。その剣は、鞘に入っていた時よりも、なおさら大きく見えた。
「栄光の大剣(グローリー・スラッシュ)!」
ザン!
宇宙船はバスターの一撃によって真横に真っ二つに切られた。
「全員パラシュートを開いてこのまま降りるよ!」
〜〜〜数分後 地上〜〜〜
エンジェル国の領土、白い大地の上にロボット達4人は立っていた。
その向こうには黒い大地、サタン国の領土が広がっている。
「いやー、死ぬかと思った〜〜〜。」
ロボット達はホッとしている。
「おそらく何者かに攻撃されて、それでパラシュートで降りてきたところ。うん、うん、OK。じゃあスケジュール通りね。」
そんな中、バスターは空話を用いて司令部と連絡を取っていた。
空話ってのは…まあ、簡単に言うと、どれだけ離れていてもほぼラグ無しで通話ができる機械のことだな。電波をワープさせているらしい。
「サタン国の勢力か、エンジェル国の勢力か、それともそれ以外か、どの勢力が邪魔してきたのかは分からないけど、警戒はするべきだね。」
バスターが3人に言った。
「はい。」
グリームは返事をした。
「それはそうと、あそこに建物があるね。あれは確か…。」
バスターが少し遠くにある建物を指差して言った。
「友好の酒場です!」
グリームが答えた。
「おお!宇宙船内でやったやつだ!」
ロボットもこれは覚えていたらしい。
「よし、じゃあそこに行くことにしよう!」
バスターは3人に向かって言った。
「やったーー!」
ロボットは喜んでいる。酒好きだからな、良かったな。
〜〜〜友好の酒場〜〜〜
友好の酒場は両国の停戦を記念して、そして平和を願って作られた国境にある大きな酒場だ。サタン国民もエンジェル国民も、楽しく酒を飲み交わしている。
「おお!賑わってんねー!」
バスター達は酒場の中に入って席に座る。
「宇宙超警察の方々ですね!どうぞなんでも注文してくださーい!」
店員は4人を歓迎した。
一同はメニューを見て考えた。
「じゃあアタシはこのソフテンダーってやつでお願い!」
「オレは生ビール!」
バスターとロボットが注文した。
「オレはソーダ!」
「俺は…トッファージュースを頼みます。」
フレイムとグリームも続けて注文する。
「了解でーす!少しょーお待ちくださーい!」
店員はかけ足で店の奥に入っていった。
「俺はサタンエンジェル星にきたらまずはこのジュースを飲むことにしてるんだ。本来なら空港内の店で飲むつもりだったんだが。」
グリームが語り出す。
そしてフレイムが聞いた。
「そういえば、お前が炭酸を飲めないって本当なのか?」
「なっ、誰からそれを!」
「そうなのか、炭酸の何が嫌なんだ?」
「パチパチするのが嫌いというか…。」
「はぁー。人生損してるぜー。」
「余計なお世話、だよ!」
グリームが珍しくキレる。
〜〜〜10分後〜〜〜
「もう一杯ソフテンダー!」
バスターが店員に注文した。
「かあー、やっぱビール最高!!」
ロボットは酔って気持ち良くなっている。
「バスターさん、何杯目ですか?」
グリームがバスターに聞いた。
「これからくるので4杯目だね。」
「お酒強いんですね。あんまりそういうイメージありませんでした。」
「いや、酒はあんまり飲めないよ?」
「え?」
「これノンアル。」
「あ、そうだったんですか!…じゃあなんでわざわざ酒場に?ロボットのためって訳じゃないですよね?」
「見たかったんだよ、今のサタン国民とエンジェル国民の仲を。ここではまだ仲良くしてるみたいで良かった。」
「そういう…。」
「じゃ、そろそろ宿に行こうか。店員さん、おあいそ!」
「はいはーい。」
店員がやって来て、バスターは会計を済ませた。
〜〜〜宿への道〜〜〜
「うぃ〜。」
ロボットは気持ち良く酔っている。しかし、若干千鳥足だ。
「おい、酔い過ぎだぞ。」
グリームが注意した。
「あっ、じゃあやめるわ。」
ロボットは一気にシラフになった。
「そんなこともできるのか!?」
グリームは驚いた。
フレイムがバスターに聞く。
「なあ、アンタって超優秀戦士の中でどれくらいの強さなんだ?」
ゴンッ!
バスターがフレイムの頭をぶった。
「敬語を使いな、下っ端。」
「あれって問題じゃないのか!?」
後ろにいたロボットがクリームに聞いた。
「宇宙超警察のルールの範囲内だ。が…あまりこの文化は好きではないな。」
「…俺もだ。」
空気が少し、ピリついた。




