491話 星空
「疲れたよね…」
飛翔を見つけた真音は、開口一番にそう言った。心配の声なのだろうか。
「…正直今回は審査員長のコメントしか発表できてないのだから、気になるのも当然だよ…」
「飛翔、お疲れ…まだ聞きたい学校さんもあるから答えてあげて」
「飛翔さんの分も、私が持っておくよ」
「沙恵さん、吉乃さん、ありがとう…よし、答えてきますか!」
次に来たのは大海大学だ。
「…私たち、間違っていたのでしょうか…」
「今日は君なんだ…」
「真音さんにもちょっとダメ出しされて…結構萎えているのです…」
「…冬華ちゃん、コンテストに正解はない。でも、正解から不正解になるのには様々な理由がある。大海は美味しかった。でも、アイデアが一つ先を行きすぎていた。だから設備が足りなかった。愛梨がちゃんと解説していれば良かったんだよ…」
「そうですよね…」
「…過ぎたことは気にしない。また来年、がんばろう!」
冬華がお礼を言って、次の人と話す。それぞれ評価や次の大会のためのアイデアを聞き出す。それらを聞くと、満足そうに立ち去った。そして残り1校、さっき言いそびれたところがあった。
「俊徳大学のお二人さん。お待たせしました」
「…部長が本当にすみません…」
「で、何か文句あるの?」
「…君たちってさ、なんで毎年空気悪いの?」
「あいつが…あいつが悪いんだよ!」
部長は卒業した吉乃を口汚く罵って、そのあといかに素晴らしい料理をしたかを語った。
「…まず、吉乃さんのどこがそんなに気に食わないのかな?妥協せず究極を目指すことのどこが悪いわけ?一昨年嫌がらせして、場を壊したのは君なの?」
「そうですよ?」
「はぁ…どうして君が部長なんだか…正直今年の油淋鶏定食、美味しかったけど…どこがダメだったか知りたい?」
「ダメなところはないです。しのん、行こう」
「…」
部長は足早に去ると、しのんは1人で泣き出した。
「はぁ…萱島さんには教えるね。味は美味しかった。でも、中は生で冷え冷えだった。審査の時って料理だけじゃなくて工程も見てるんだよ。それで、君たちは明らかにコミュニケーション不足、部長が圧力かけてるよね。吉乃とか涼ってそれでも状況を読んでどうにかするんだけど…今の部長が元々圧力かけるようなタイプだからね。意味ないんだよ…ストッパーがいないから、このような事態になったわけ…」
「本当にすみません…」
「来年、待ってるよ」
こうして交流会は終了した。疲れた飛翔の元に、皿が置かれた。唐揚げとオムライスだった。
「真音が唐揚げ、吉乃がオムライスを作ってくれたんだ。飛翔、お腹すいたでしょ…今日はおつかれさま」
オムライスも唐揚げも美味しかった。そして、4人で帰った時の星空は…とても美しかった。




