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第3話 「まさかの」

遠くから声が聞こえてくる。


「オギャーオギャー」


(なんだよ、うるさいなぁ。赤ちゃんの声、か?)


「オギャーオギャー」


(ん?てか、これ俺から聞こえね?まさかこの展開は…)


俺は目を開けると、20代後半くらいに見える金髪のイケメンな男と、20代前半くらいに見える緋色髪の可愛いとも美人ともとれるような女がいた。


「エレノア、よく頑張ったな。これが俺たちの子か」


「えぇ、あなた。私たちの子よ。あなたに似てイケメンに育ちそうね」


「君に似て優しい子に育ちそうだ」


「はははは!」(うふふふ)


2人は褒めあったタイミングがあったのが面白かったのか、笑い合っていた。


この2人が俺の両親ってことだよな…?


って、それよりこの展開は!

心の底から願っていた転生じゃねぇか!

ヤッホーい!テンション爆上がりだぜー!


「ばぶぶぶぶ!」


「あなた見て!この子が笑ったわ!」


「おぉ、元気な子だなぁ、健康に育ちそうだ」



3人はちょっとの間、笑い合っていた。














状況を整理しよう。


まず、俺の名前は、アルス・ヴァーミリオン。

ヴァーミリオン王国の王子らしい。


俺の親父、要するにヴァーミリオン王国国王の名前は、エクス・ヴァーミリオン。


賢王、そして愛妻家として知られているが、なにやら事情があったらしく、側室を1人迎えたらしい。

どんな事情か知らないが、羨ましいぞ親父。


そして俺のおフクロ、要するにヴァーミリオン王国王妃の名前は、エレノア・ヴァーミリオン。


元々、アルカールという公爵の令嬢だったらしいが、親父が王子のときに見初められたそうだ。

おフクロも見初められたから仕方なく結婚したわけではなく、親父のことを愛しているそうだ。

仲良しで何より。


ちなみに爵位は、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の順番だ。


そしてさっき言った側室さんは、マリア・ヴァーミリオンというらしい。


親父から一応大切にされているそうだが、愛されてはいないらしい。

事情ってやらが気になるな。







そんなこんなで生まれて半年がたったある日、俺は魔法という存在を知った。




それは、俺が暇を持て余して喋る練習をしようとしていた時だった。



(そういや転生したのはいいけど、魔法とかないのか?)


俺が、ばぶばぶ言いながらその事を考えていると、


「アルスちゃーん、ママでちゅよー」


と、とろけるような笑みで母さん(王族は丁寧な言葉で親を呼ばないといけないらしい。面倒だが仕方ないな)がこちらにやってきた。


あんたほんとに王妃か? と、俺が心配していると、


「今日はアルスちゃんに魔法を見せてあげまちゅよー」


なにが、ちゅよー、だ。

って、今、魔法って言ったか!?


「神よ、我に力を"ライト"!」


すると母さんの手のひらに小さな光が灯った。


(すげぇ!まじもんの魔法じゃねぇか!なんだこれ、もしかして神かなんかがまじで俺の願い聞いてくれたのか!?)


「ばぶぶぅー!」


すると、俺の心からの喜びの叫びを勘違いしたのかは分からないが、


「なに?アルスちゃんも魔法を使いたいの?でも、まだ赤ちゃんだし…。あぁん、もうそんな目で見つめないで!特別に教えてあげるわ。」


(おっ、まじ?なんか母さん勘違いしたみたいだけどラッキーだな。ここで俺の天才児っぷりを見せておくか)


と、この時は冗談で言ったのだが。


「まず、精神を集中させて、手のひらに光を集めるイメージをするのよ。そしてこう唱えるの、"ライト"」


また母さんの手のひらに小さな光が灯った。


(なるほど、イメージが大事っぽいな。よし、やってみるか)


(目を瞑って精神を集中して…右手のひらに光を集めるイメージ…そして、唱える、"ライト")


「でも、アルスちゃんはまだ喋れないし、私たちの子でもさすがに無…アルスちゃん!?」


母さんの叫び声が聞こえてきたので、目を開けて見ると、


バカみたいに輝いている右手がそこにあった。


(なんだこれどうなってんだ!?)


「アルスちゃん大丈夫!?もしかして魔法を使ったの!? ていうか無詠唱!?あなた!ちょっと来て!」


(おいおい、これはまじで天才児パターンか?)


光が収まった後、しばらくすると父さんがやって来て、


「エレノア、本当にアルスが無詠唱で魔法を使ったのか?」


「本当よあなた!私この目でみたもの。」


「お前が言うなら本当なんだろうが…にわかには信じがたいな。とりあえずこの事は皆には伏せておこう」


「分かったわ。この歳で魔法を使ったら気味悪がられるかもしれないものね」


「そういうことだ。アルス、俺たちはお前を気味悪がったりしないからなぁ、むしろお前が天才で嬉しいぞ、はははは!」


「私もよ、アルスちゃん、うふふ」


と両親は笑いながら部屋を後にした。


(まじで天才だったのか俺…王子+魔法の天才児。ハーレムの夢も遠くないな!ははは!)


アルスはよく見ないと分からない程度に光っている右手の甲の痣を見ながら笑った。

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