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あべこべ世界で~プロ棋士として生きる~  作者: 田中悠平
第3章 あべこべ世界で~プロ棋士編~
52/61

29連勝

【桐島歩四段歴代1位タイ記録29連勝達成!!!】


新聞各社の一面があゆむを称賛している。

去年、天王寺めぐみが達成した歴代1位の記録に並んだのだ。


【運命のイタズラか、30連勝の単独記録をかけて対局するのは、天王寺めぐみ七段!】


30連勝をかけて対局するのは、竜玉戦決勝トーナメント1回戦。

6組で優勝した桐島歩は、5組で優勝した天王寺めぐみと対局する事が決まった。



よく晴れた六月の後半、対局の日がやって来た。

あゆむのお陰で将棋ブームが起きている。

将棋会館の前には沢山の報道陣が待ち構えている。


「桐島四段、今日の意気込みをお願いします」

「連勝記録が掛かっているのは分かってますが、いつも通り指せればと思います」


無難な返事をして対局に向かう、今は集中したい。


あゆむが対局室に向かうと、既に天王寺めぐみが将棋盤の前に静かに座っている。

その姿だけで強者と判るぐらいだ。


振り駒が記録係によって行われる。

今回も桐島あゆむが先手に決まる。

前回の対局では、非公開の対局だったが、あゆむが先手で天王寺めぐみに勝っている。



「時間になりましたので、桐島歩四段の先手でお願いします」

「宜しくお願いします」

「お願いします」


定刻通りに対局が始まる。


初手▲7六歩、△3四歩、▲2六歩、△4二飛、▲6八玉、△8八角成


「もしかして……角交換四間飛車!?」


振り飛車相手には角交換と教えられた常識を、振り飛車側から代えて来たる戦法だ。

『地球の裏側の新たな鉱脈を見つけた』と言われた程革命的で、こちらの世界ではまだ見かけた事は無かった。


「さすが『革命児』天王寺めぐみさん、自分で見つけて来たか」


そう目の前に座っている少女いや、女性は紛れもない天才なのだ。


顔を上げてめぐみの方を見ると「どうだ」と言わんばかりにあゆむを見ていた。


「悪いけどめぐみさん、相手が悪かったね、角交換振り飛車相手も充分勉強しているんだよ」


対局が進む。

あゆむの方がこの戦法に精通していて有利と思われたが、かなり均衡した序盤と中盤になっている。











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