表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輪廻の瑕疵  作者: 朔來 織
~思緋紡ぐ鈍色の鎖~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/1

第一話:『現世の須』

平穏な日常。

その影には必ず、救われぬ穢れが存在している。


陰陽の先にあるもの。

人を喰らう鬼。

人が齎す業。

救いを求めぬ魂。


力を持たぬ者の目には、恐れという色が例外なく鮮やかに映る。

その色を染める者。

祓う者の存在。


思緋しひ紡ぐ鈍色の鎖は、甘く爽やかな優しさが薫る季節に在った。




「……この辺りの穢れは、これで全部」


沙苗さなえは薄紫の法衣を翻し、額の汗を拭う。

呼吸が少しだけ荒い。


「言ったでしょ、あたし一人で――」


その言葉を遮るように、隣に座っていた男――らいが、音もなく立ち上がった。


抜刀の音すらしない。

ただ漆黒の刃が、沙苗の背後で蠢いた影を一片の花びらとともに、一瞬で霧散させる。


「……楽に死ねと言ったはずだ」


來は黒刀を鞘に収めると、再び座り直し、煙管を咥えた。


「……わざとよ。あんたが暇そうだったから、残しておいてあげたの」


悔しさを隠すように、沙苗はぶっきらぼうに言い放つ。


「沙苗」


「何よ」


「……腹が減った。団子だ……あと、苦い茶が飲みたい」


最凶の鬼と謳われた男の言葉とは思えない、その些細な要求に、沙苗は呆れたように息を吐く。


祓うものと、その理を外れたもの。

鈍色の鎖で繋がれた二人の背が、色のある陽光に照らされていた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

『輪廻の瑕疵』第一章~思緋紡ぐ鈍色の鎖~は、毎日18:00に更新予定です。


今作『輪廻の瑕疵』が、作家としての処女作です。

一つのエピソードに込めた魂を、読者の皆様に感じていただけますと嬉しいです。


もし「沙苗と來のコンビが良いな」「先が気になる」と思ってくださったら、

評価、ブックマークで応援いただけると、執筆の大きな励みになります。

今後ともよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ