職場にいる
この話だけは引っ越してからの物であり、いま思い出した話。
仕事帰り、バスの中で同僚の人たちが話をしていた。
同僚と言っても片方の人とは直接話したこともなく、名前も知らない人である。
話したこともない同僚さんをAさんとしよう。
どうも話を聞いている限り、Aさんは幽霊が見えるらしい。
「あの人、後ろに幽霊が付いてて、横を通るときに~」
「気分が悪くなるから、あんまり見ないようにしてる」
だとか色々ともう一人の同僚さんと話している。
思わずテンションが上がった。だって幽霊が見える人だぞ?
しかも、この職場に? 本当に? マジで?
あそこはそういうのが居てもおかしくない的なことも言っている。
まあ確かに川沿いだし、地名もだが、幽霊が集まりやすい立地ではあるのかもしれない。
盗み聞きのようであれだが、そもそも静かなバスの中で話してるのだから、仕方あるまい。
聞き耳を立てているのはご容赦願いたいところだ。
「〇〇にも何体かいるんだよね。見えない人が担当すればいいのに」
おいおい、待てよ。〇〇って、自分がよく担当する場所じゃないか。え、あそこに何体か幽霊いるの? マジで? 噓でしょ??
「まあでも悪さするわけでもなく、興味深そうに見てるだけだから」
そんなようなことを言っている。
見てるの?
あそこは普段は二人で作業をするのだが、たまに一人で作業をすることもある。
別にだから怖いとは思わないが……本当にいるのだろうか?
凄く気になる。できるなら、Aさんを紹介して欲しい。
そして話をもっと聞きたい。
が、そんな勇気もなく、顔も確認することが出来なかった。
話を聞いていたBさんは恐らく挨拶したり、少し会話する人だったと思う。
後ろ姿だから確信はないが、聞いて見てもいいかもしれない。
だがBさんに聞いたところで、そこからAさんに繋げることは難しい。
コミュ力が低い自分には、そんな恐ろしい勇気は到底持てない。
なので、疑問は疑問のままである。
が、他にもコミュ強で誰とでも親しく、自分もよく会話をする同僚が一人いる。
その人に、霊感持ってる人ってこの職場で聞いたことある?と尋ねてみるのはありかもしれない。
それならかなりハードルは低いし、もしかすると……やってみる価値はありそうだ。
ちなみにだが、〇〇には周りに人がいない。
あそこはよく機械にエラーというか、問題が起きたりする。
不具合というか。
そりゃぁ機械だらけの場所で毎日働いていれば、そういうことが頻発してもおかしくない。
おかしくないが、もしそれが、そこにいる幽霊たちの影響によるものだとするならば……?
考え過ぎだろうか。
しかし、怪談話に機械の故障、あるいは不具合は付き物だ。
であるならば、可能性としては十分あり得る話ではなかろうか。
そんな話。




