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マンションの東棟

 あれは以前住んでいたマンションでのこと。

 このマンションというのが10階以上ある中々に大型のもので、中庭スペースもあって、駐車場と駐輪場とゴミ集積場を兼ねていて、ある程度の広さは何となく想像できるかと思う。

 自分自身も怪談好きなのであるが、よく怪談界隈で言われる、コの字型の建物は良くないってのはよく聞く話。

 それは防犯上であるとか、建物の構造上の湿気や風通り、あるいは風水的なことも一般的には意味するのではあるが……



 そこに二十五年以上住んでいたのだが、10回近くは飛び降りがあったように思う。

 学生の頃からだったので、次第に「また飛び降りか……」と、なんだか麻痺してしまっていたところもある。

 しかし、いくら慣れていたとはいえ、さすがにこの回数は多いのでは?とは思うようにはなっていた。

 更に言えば生粋の怪談好きである。そっちに考えが引っ張られるのは当然のこと。



 非常階段が6か所あるのだが、棟の端っこにある4か所と、東棟と西棟エレベーターホール横(以下、中央階段)にある二か所。

 この東中央階段からの飛び降りが圧倒的に多かった。

 逆に、自分が住む西棟からの飛び降りは少なくとも記憶の中ではゼロだったはず。

 ほぼ同じ作りをしているが、西棟の一階には管理室があるためなのか、飛び降りと言えばもっぱら東の中央階段からだった。

 ゆえに、中庭スペースに出て東棟一階の非常階段あたりを見ると、飛び降りという認識を嫌でも思い出させられる状況で、不気味ではあった。



 東棟と西棟の一階ホールには正面玄関と、その脇には非常階段への扉があり、扉を開けると右が外階段、正面すぐ目の前にはもう一枚扉があって、日中はホール側と中庭スペース側の扉は解放されており、自分が外出する時は東棟の非常階段に視線が通って丸見えの状態になっている。



 バーン!!というマンション全体に響き渡るほどの大きな、叩きつけられた様な音が響くと、もしかして飛び降りか?とまず思うようになった。

 警察が来ていて、ブルーシートで……これも割と慣れた光景だった。



 そんな状態ではあったものの、やはりそんなに飛び降りが多い、ましてや東中央階段からばかりだと、不気味なものがある。

 昔、東棟で爆発事故もあって、上下階にも被害が及んだという話も聞いたことがあった。

 飛び降りが多くて管理室もないから、そちらの方が飛び降りしやすいという心理的に基づいて、東に偏っている……という見方もできる。



 以前、買い物帰りに雨が急に強い降りだしてきてしまい、傘を持っていなかったのもあり、店から近かった東棟玄関から入ったことがあった。

 棟は繋がっているので、棟伝いに歩けば西棟に回れるわけだ。

 電灯は付いていたのだが、住んでいる西棟の一階と比べると、なんか暗い気がする。

 よく暗く感じる部屋は止めた方が良いというのが怪談ではお決まりの話なのであるが、これは先入観からくる気のせいなのか、実際に電灯が暗いのか。もしくは……

 しかし主観的に感じたのは、明らかに西棟よりも暗いとしか思えなかったこと。

 解放されている非常階段から覗く、幾度となく飛び降り現場となったであろう地面が目に映った。

 なんだかゾっとしてしまい、すぐにここから離れたいと思った自分は東棟エレベーターに乗らずに、まず西棟まで廊下を回って、西棟エレベーターから自宅に戻りましたとさ。



 このマンションでも心霊現象のようなことが何度かありましたが、それはまた後ほど。

ご飯食べたら、時間までどんどん書いていきます。

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