プロローグ
あたり一面真っ白な世界。
異世界転生系のラノベとかでよく出てくる光景そのまんまな空間で俺は女神を名乗る謎の球体と向かい合っていた。
「まさか自分がラノベの主人公みたいな事になるとは思いませんでした」
「信号無視のトラックに轢かれてここにいるという、まさに異世界転生の冒頭って状況ですからねぇ、島崎大和さん」
この球体の言う通り、俺は横断歩道を歩いていると横から凄まじい衝撃を受けたと思ったら痛みを感じる間もなく即死、気が付くとここにいた。
意味不明な状況にフリーズする俺の前に突如として現れたこの球体は俺の死因と自分が女神である事を目が眩むほどの光を放ちながら伝えてきたのだ。
死んだと聞かされたのにやけに冷静な自分に驚きを禁じ得ない。
「死んだことを突き付けられるとパニックになると思っていたけど、意外と冷静なもんですね」
「あ、それは私が精神操作したからですね」
今なんつったこの女神。
「何してくれてんですか」
「取り乱して話ができないと面倒だなぁと思ったのでさっきピカッと」
「何この女神怖い」
神の価値観怖いよ。
てゆうか登場した時やけに眩しかったのはそれか。
「とりあえず俺はこれからどうなるんですか?小説よろしく異世界に転生でもするんですか?」
「そうですね、これから大和さんには私が管理する世界に転生してもらいます」
「俺は転生して何をすればいいんですか?」
「特に何かしてほしいとかはないですよ。地球で流行っていたラノベを読んでいたら、たまたまトラックに轢かれるというラノベまんまの死にかたをしたあなたを見つけたのでやってみたいなと思ったので」
「なんじゃそら」
「まあまあ、ゲームのような剣と魔法の世界で自由に冒険するも良し、可愛い女の子を侍らせてハーレムを作るも良し、何をするも自由な二度目の人生ですよ?これはもう行くしかない!」
「…ちなみに地球に戻る、ないしは生まれ変わるというのは?」
「できなくはないですけど…せっかくなら転生しません?大迫力の冒険と可愛い女の子たちがあなたを待っていますよ?」
「異世界の強みその2つだけかい」
「転生しましょうよ〜、今なら言語理解と魔物を倒すことへの拒否感・背徳感の除去もついてきますよ?」
「前者はともかく後者は持っているべきだと思いますが」
「でしたらおなじみのチートをあげますからぁ」
チートか。
俺もその手のラノベはよく読んでいたらから正直憧れはある。
他を寄せ付けない圧倒的なチートで邪魔者を蹂躙しながら我が道を行く。
そんな人生を妄想したことは何度もある。
この魅力的な提案を拒否することは俺にはできない!
「…わかりました。転生します」
「本当ですか!いやぁこれでラノベでよく見た日本人を異世界に送り出す神の仲間入りです」
「それで、チートというのはどういうのですか?」
チートっていったらやっぱり魔法系かな?
凄まじい魔力と全属性の魔法の適正とか!高威力・広範囲な魔法で敵を薙ぎ払う爽快感。
それとも肉体系か?
圧倒的なパワーと決して傷つかない肉体で敵をちぎっては投げちぎっては投げ、真正面から打ち倒す。
他にも色々思いつくがどれが来るだろうか、俺の思いもよらないチートがくる可能性もあるな。
ともかく楽しみでしょうがない!
「では、私があげるチートは超強力な肉体です!」
お!肉体系のチートか。
「さあいきますよ!はあ!」
女神様がそう言った瞬間、腕にずっしりとした何かが握られた。
細長い棒の両端に付けられた重り。
360度どこからどう見てもダンベル…なにこれ?
「あの、女神様?これは?」
「ダンベルです」
「いやあの、それはわかるんですけど。このダンベルがチート?めちゃくちゃ強い武器的な?」
「いえ普通のダンベルです」
なにか特殊な能力があるわけでもない普通のダンベル?
「いやいやいや!どういうことですか!?ダンベル!?なんで!?なんでこの流れでダンベル!?圧倒的な肉体は!?」
「まあまあ落ち着いてください、私は数々のラノベを読んで思ったのです。神からポンってもらった能力って本当に自分の力と言えるのかって」
「いや、たしかにそうかも知れませんけど!そこは異世界転生のお約束と言いますか!」
「ですので私、考えたのです!チートをそのまま渡すのではなく、チートといえる肉体まで鍛えれば良いのだと!」
「このダンベルで鍛えろと!?」
「ご安心を、鍛えるための設備は整っています!」
女神様が指を鳴らすと周囲の景色が変わり、それまで白一色だった空間が最新式のトレーニング機器が充実したジムとなった。
「さあ大和さん!憧れのチートフィジカル目指してレッツトレーニング!」
二度目の人生早まったかもしれない。




