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ミュウ・サイド


初めてユーティリア様を見た時は美しい方だ、としか思いませんでしたわ。


でも、いつもは冷静で何にも興味を示さないレイゴ兄様が、突然告白しても上手く躱した姿を見て思いましたわ。


この方なら信用出来る、と。


貴族は腹芸が得意ですから、信用出来る方が少ないのですわ。


「私もユーティリア様のこと好きですわ」


「ありがとうございます、光栄です。」


つけあがらず、どこまでも一歩引いた対応をするユーティリア様。


素敵ですわ。


何故、ユーティリア様の婚約者がレイゴ兄様ではなく、ライド兄様なのでしょう。


とても残念ですわ。


おバカなライド兄様となんて、幸せになれる訳ありません。


ユーティリア様が幸せになれないなんて、許せないわ。


それに、レイゴ兄様もユーティリア様以外と結婚する気なさそうですし。


ライド兄様には悪いけれど、ユーティリア様はレイゴ兄様と幸せになってもらいます。


そのためにも、ライド兄様には調子に乗って頂かないと、困りますわ。


おバカなのに、次期王になってしまっては、この国は終わってしまいますもの。


「ユーティリア、お前との婚約を破棄する! そして、俺はチュニカと婚約する!」


夜会で、堂々と宣言するライド兄様。


婚約者をエスコートせず、チュニカ嬢をエスコートして会場入りしたライド兄様に周囲はドン引きですのに、注目を浴びてご機嫌ですわね。


やれ、愛嬌がない。


やれ、くちうるさい。


やれ、偉そうだ。


ライド兄様がユーティリア様を罵倒するたびに、会場でご令嬢に囲まれていたレイゴ兄様の眉間のシワが深くなっていきますわ。


もはや、鬼の形相です。


周囲のご令嬢が怯えていて、可哀想ですわね。



ユーティリア様は、取り乱す事なく落ち着いた様子でライド兄様の話を聞いてますね。


流石ですわ。


やはり、ユーティリア様は次期王妃に相応しいですわ。


レイゴ兄様がユーティリア様を連れて会場から退出すると、ライド兄様が私を振り返ります。


「ミュウ! お前だって、俺にユーティリアは相応しくないと言っただろう?!」


えぇ、言いましたわ。


王宮の中庭で、ライド兄様が通るであろうタイミングで。


わざと誤解されるように。


だって、ユーティリア様がユグルタ王家の孫娘という、重要事項すら覚えてないライド兄様。


ユーティリア様には、おバカなライド兄様は相応しくありません。


ユーティリア様には、レイゴ兄様と一緒になっていただかなくてわ。


「良かったわ。ライド兄様が婚約破棄を宣言してくれて。生まれだけでライド兄様のモノになっていたモノが、相応しい者の手に渡るもの。」


そう言った時の、ライド兄様の愕然とした顔は忘れませんわね。


廃嫡され子爵家の婿養子となったライド兄様は、我々王家の人間に簡単に近づく事は出来ないでしょうね。


チュニカ嬢も、ライド兄様が第一王子だから愛を囁いていただけですもの。


今まで好き勝手していたライド兄様には、生涯かけて反省してもらわなくてわ。


レイゴ兄様の隣で幸せそうに微笑むユーティリア様。


誰の前でも隙を見せず気を張っていたであろうユーティリア様は、レイゴ兄様の前でだけ感情を表に出す。


レイゴ兄様も常に冷静沈着なのに、ユーティリア様の前でだけ、感情豊かになる。


互いに優秀で、互いに思い遣ってる二人。


この二人ならば、この国は安泰でしょうね。


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