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メルのいなくなった親友の少女のこの異世界の惑星であるメビウスを探索、探検するゲーム、メビウスオンラインでのプレイヤーネームは『カラ』と言った。
それだけがメルの知っているこの世界での親友、つまり、カラの情報だった。それ以外はなにも知らない。
でも、メルはそれほど途方にくれているわけではなかった。
なぜなら、プレイヤーカラは、この惑星メビウスでは、ちょっとした(と言うかかなりの?)名前を知られた、有名人だったからだ。
そのことをメルが知ったのは、本当につい最近の(現実の時間で言えば、約二週間前くらいのことだ)ことだった。
それまでメルは現在プレイしている大人気ゲーム、メビウスオンライン(登録者数が世界で一千万人を超えている)はおろか、子供のころからほとんどのゲームをやったことが一度もなかった。
メルはゲームがあまり好きではなかったのだ。(だって、それは現実ではないから)
「私は私。どこにいても、それは絶対だ」
メルは言う。
メルは自分の姿を見る。
……近未来の、まるでどこかの軍隊にでも所属しているかのような、深緑色を主な色とした、特殊なスナイパーのような服装をメルはしていた。
それはメルの選んだ、メビウスオンラインのゲーム内に初期からある(自分で一から服装をデザインすることもできる)デフォルトのデザインの服装だった。
それはかなりきつめの体のラインにぴったりとあった黒色のラバースーツのような服で、その上には一応、深緑色のハーフパンツや、短めのやはり深緑色をしたジャケットのようなものを着てはいるのだけど、現実の世界ではこんな服、絶対に着ることのないような(もちろん、実際にの軍隊でも)服装の服だった。(それでも一番、メルが見た服の中では、現実のデザインに近い服だった)
持っているアイテムは、メルが持ち込んだある特殊なアイテムをのぞけば、古風な本のみ。
メルはその場に立ったまま、青色の空を眺める。
メルの視線は、その空の中にある二つの白い月に向けられている。
しばらくの間、その二つの白い月を見たあとで、メルは視線を見慣れない異世界に向ける。
そして、メルは初めて見る惑星メビウスの風景を観察する。
それは、信じられないくらいに美しい風景だった。
東京では絶対に見られないような、広大な自然と、遠とどこまでも続いていくような緑色の大地と遥か上空まで続いている青色の空が、そこにはあった。
ゲームが好きでない(慣れていない)メルも、意識的にその世界の風景に目を向けてみると、その世界の光景には、しばらくの間、その目を完全に奪われてしまった。(もともと、そういう風に見る人が感動するように、作られていはいるのだろうけど……)
とても、ここがゲームの空間の中だとは思えない。
(でも、それでもここは現実の世界ではない。ただのオンラインゲームの世界の中なのだ。つまり、……偽物なのだ)




